レディオシャックが2011年シーズン限りで解散する可能性が出てきている。チームの設立者ランス・アームストロング(アメリカ)が引退した今、レディオシャック社は当初の予定通り2年間でスポンサー活動を終了する予定だ。

今年ツール・ド・フランスに出場したレディオシャック今年ツール・ド・フランスに出場したレディオシャック photo:Makoto Ayanoテキサスに本拠地を置くレディオシャック社が2年間のスポンサー活動を発表したのは今から1年前のこと。当時のプレスリリースの一行目にこんな一文がある。「ツール・ド・フランス7連覇を達成したランス・アームストロングとパートナーシップを組む」。

そのアームストロングは7月のツールを最後に引退。ドーピングの申し立てを行なったフロイド・ランディスとの係争が続いている。2011年以降もスポンサー活動を継続する理由がレディオシャック社には無いのだ。

ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック)ランス・アームストロング(アメリカ、レディオシャック) photo:Cor Vos更にアメリカのバイクメーカー・トレック社も同チームとの関係を終了することを臭わせている。先週トレック社はアンディとフランクのシュレク兄弟が立ち上げるルクセンブルクチームへのバイク供給を発表。ツール・ド・フランスでアルベルト・コンタドール(スペイン)の唯一の対抗馬とされるアンディがトレックを駆る。グランツール9勝という記録を破るのに打ってつけの人材だ。

「ルクセンブルクの新チームは、我々の伝統を継承するポテンシャルを秘めている。新チームの立ち上げを聞いたときから、トレックバイクが似合うと思っていた」。トレックのジョン・バーク代表はそう語る。

研修生としてレディオシャックで走るタイラー・フィニー(アメリカ)研修生としてレディオシャックで走るタイラー・フィニー(アメリカ) photo:Cor Vosレディオシャックという名の船を降りるのはスポンサーだけではない。アメリカが最も期待を寄せる若手のタイラー・フィニーもアームストロングの支配下を離れる可能性がある。現在トレック・リブストロングに所属し、研修生としてレディオシャックで走るフィニーは、シュレク兄弟のルクセンブルクチームでプロデビューを迎えることを示唆している。その理由はレディオシャックの将来性の欠如だ。

「プロ入りに際して最も重要なのは、そのチームが将来ずっと継続するかどうか。チームレディオシャックの問題は、あと一年でスポンサーが撤退すること。BMCレーシングチームも僕に興味を示してくれていて、他にも沢山のチームから話がかかっている。トレックバイクを使用するシュレク兄弟の新チームからもね」。

レディオシャックのチームマネージャーでアームストロングの友人でもあるヨハン・ブリュイネール氏は、2007年と同じ状況に置かれている。当時もアームストロングの引退によって興味を失ったディスカバリーチャンネル社が、スポンサー活動から手を引いた。

今年レディオシャックはジロ・デ・イタリアを自主的に欠場。しかしシーズン後半の目標レースだったブエルタ・ア・エスパーニャの出場権を逃した。更に、先日RCSスポルトが発表したヨーロッパ最終戦ジロ・ディ・ロンバルディアのスタートリストの中にレディオシャックの名前は無かった。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji