躍進のXDSアスタナが降格圏から脱出　コフィディスはプロチーム転落の危機

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資金増と的確な補強が生んだ大躍進

中でも大躍進をしているのが、シーズン開幕前の21位から降格圏外である17位にジャンプアップしたXDSアスタナだ。その最大の要因は、昨年末に中国のバイクブランド「XDS」を新たなタイトルスポンサーに迎えたことによる資金力の大幅アップ。潤沢な資金を元手に、ワウト・プールス（オランダ）やディエゴ・ウリッシ（イタリア）といった活躍の計算できるベテランを獲得し、さらに下部チームからの昇格組を含め、チームの約半数にあたる14名を入れ替えた。

その効果は絶大で、チームはここまで18勝（総合優勝を含める）を記録。2025年シーズンだけでUCIチームランキング（6月10日時点）4位となる9617.66ポイントを稼ぎ出し、ワールドツアーやプロレースといった格の高いレースで勝利を量産している。

特に輝きを放っているのが、新加入のアーロン・ゲイト（ニュージーランド）だ。34歳で念願のワールドツアー入りを果たしたベテランは、すでに3勝（総合優勝含む）をマーク。2位だったカデルエヴァンス・グレートオーシャン・ロードレースをはじめ、勝てないレースでも着実にトップ10入りを果たし、チームに貴重なポイントをもたらした。

そしてチームの勢いを象徴するのが、先日のジロ・デ・イタリアでの大活躍だろう。ディエゴ・ウリッシ（イタリア）のマリアローザ着用から、第16ステージではクリスティアン・スカローニとロレンツォ・フォルトゥナート（共にイタリア）がワンツーフィニッシュを決め、フォルトゥナートは山岳賞も獲得。勝利とポイントだけでなく、強烈なアピールに成功した。

崖っぷちに立たされるフランス勢

一方、深刻な状況に陥っているのがフランス籍の2チームだ。これまで降格圏外の18位を維持してきたコフィディスが、ついに19位へ転落。今季6勝（ワールドツアー2勝を含む）と成績自体は決して悪くないが、ポイントを伸ばしきれずにいる。残留ラインの18位ピクニック・ポストNLとの差はわずか140ポイントと、1レースの結果で順位が入れ替わるまさに崖っぷちだ。

同じくフランスのアルケア・B&Bホテルズも、19位から21位へと順位を落とし苦境に喘ぐ。今季7勝と勝利数こそ悪くないが、そのすべてがUCIポイント配点の低い「1クラス」のレース。稼いだポイントは今シーズン3500点（22位）に留まり、正念場で迎える母国のツール・ド・フランスで、起死回生の活躍を見せられるか。

ツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャ、秋のクラシックシーズンと高ポイントを獲得できるビッグレースが続くシーズン後半戦で、生き残りを懸けたチームの戦いに注目だ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos