国内チームの監督と選手に現状を聞く第2回は、チーム右京とマトリックスパワータグ。アジアツアーNo1奪回を目標に準備を進めていたチーム右京と、昨年大活躍したオールイス・アルベルト・アウラールに次ぐベネズエラ人選手が加入したマトリックスパワータグ。両チームは現在の状況をどう捉えているのか?



国内主要チームにメールで以下の質問事項を送り、監督(又はGM、チームマネージャー)と選手にご回答頂いた。

監督への質問
・チームの現状を教えてください。(選手への練習内容や普段の行動についての指示、現在チームとして取り組んでいること、新たに始めたことなど)
・緊急事態宣言以降、それまでと変えたことはありますか?
・6月までのレース開催が絶望的となった現在、今後の見通しをどのように考えていますか?
・UCIが各国選手権を8月に指定しました。全日本選手権の開催が8月で決まった場合、どのような事を予想しますか?(レースに向けての準備やレース展開など)
・所属している外国人選手の状況と、自国の状況について聞かれていることはありますか?

選手への質問
・普段の練習はどのように行っていますか?。特に緊急事態宣言以降、気をつけていることや、変えたことはありますか?
・この先6月までレースが開催されないことについて、何か思うこと、考えることはありますか?
・全日本選手権が延期になったことについて、思うこと、考えることはありますか?
・練習以外で力を入れていること、新たに始めたことなどありますか?
・練習のことなど、ホビーレーサーにアドバイスはありますか?
・ファンやサポーターに一言お願いします。


チーム右京

今季のチーム右京日本人メンバー 負傷から復帰療養中の吉岡直哉の姿も(右から2番目)今季のチーム右京日本人メンバー 負傷から復帰療養中の吉岡直哉の姿も(右から2番目) ©️TeamUKYO
桑原忠彦GM「コロナウィルスが終息した後にレースが出来るコンディションを保つようにしています」

練習は普段よりかなり自粛させています。チームからは外での練習はなるべく一人もしくは2人で自転車のソシアルディスタンスを守って、コンビニとかに立ち寄らず1時間から2時間以内で終わるよう指示しています。その他、なるべく室内ローラー練習、Zwift、筋力トレーニング、ストレッチなどのコンディションイングを推薦しています。若い選手にはコーチを付けて練習させています。

3月初めに開催されたツール・ド・台湾に出場したチーム右京3月初めに開催されたツール・ド・台湾に出場したチーム右京 photo:Satoru Kato6月までのレース開催が無くなったので、選手のコンディショニングの調整が大事です。選手個々で自分をどこのレースにピークを持って行くかが大事ですが、今現在ではスケジュールが出ていないので合わすことが出来ません。それでも新型コロナウイルスが終息してレースが再開して、何週間後かにレースが出来るコンディションを保つようにしています。現在は8月末開催が予想される全日本選手権がターゲットになるかと思います。海外選手は国によって状況が異なりますが、自国の法令に基づいて同じ指示をだしています。

全日本選手権が仮に8月開催となった場合、想定でしかありませんので難しいです。精神的にも身体の方も、そのつもりで準備しています。練習環境に従って練習方法が大事になってきますので、全日本選手権が広島で行われる前提でコンディションを上げていきたいと考えています。

しかし緊急事態宣言中は自粛していますので、その期間が伸びたとしても時間はあると思うので、上手く調整していくしかありません。
 
海外選手は全員母国に戻っています。チーム全員(監督、マネージャー、メカ、マッサー、全選手)で顔が見えるビデオチャットで集まって全員で話をして自分の近況を報告しあいました。英語でのコミュニケーションだったので最初は少し難しいかなと思いましたが、案外全員喜んで笑顔で話をしてくれて良かったです。結束力も高まるしコミュニケーションは大事だなと感じました。中では初めて顔を合わす選手同士やスタッフもいたので新鮮でよかったです。

武山晃輔「レースや合宿などが行える日常に戻れるのが待ち遠しい」

3月に日本大学を卒業した武山晃輔(写真右)同じ大学の沢田桂太郎(チームブリヂストンサイクリング)と3月に日本大学を卒業した武山晃輔(写真右)同じ大学の沢田桂太郎(チームブリヂストンサイクリング)と 武山晃輔ツイッターより最近になって、チームからのコーチにお願いしてメニューを見てもらっています。練習方法としてロード練習で外に行く場合、基本的にコンビニなどに立ち寄る事が無いようにして短時間で練習して、補給食を持って練習しています。以前より圧倒的にスマートローラーを使ってズイフト上で乗っている回数と時間が増えています。室内で筋トレやストレッチも取り入れています。

やはり、目標とするレースが無い中で、トレーニングへのモチベーションを保つのは難しいです。大学を卒業しプロ選手としての1年目という事で、環境が変ったタイミングにイレイギュラーな状況が重なってしまい、不安を感じているのは確かです。レースや合宿などが行える日常に戻れるのが待ち遠しいです。

今シーズン1レースを終えていますが、大きく期間が空いてしまっています。なので、久しぶりに走るレースが全日本選手権になるよりは良かったのかなと感じています。レースまでの期間はまだあるので、今できる事をていねいにこなし、選手権で思いを爆発させたいです。

例年のシーズンと比べると、レースへの参戦が無い事で、気持ち的にもゆっくり出来ています。もちろん、特殊な状況ですので、それがストレスに感じる事もあります。だからこそ、時間がある時は自分の好きな事をして、リラックスするようにしています。最近はコーヒーにハマっていて、淹れ方や豆の品種、焙煎具合などを変えることで、飲み味が変わるのを楽しんでいます。初めて出来た趣味かもしれません。

ツール・ド・台湾では見せ場も作った武山晃輔ツール・ド・台湾では見せ場も作った武山晃輔 photo:Satoru Katoホビーレーサーの皆さんもレースの中止が多く、自転車仲間と一緒に走る機会が減り、モヤモヤとした気持ちを抱える方が多いかと思います。この期間中外で走るのは禁止ではありませんが密集は避けてグループライドは今は我慢しましょう。走行中は交通ルールを守って安全第一でお願いします。室内で自転車を楽しむ場合、ズイフトのような仮想世界では、いつも走る仲間や、普段観戦している選手と一緒に走る事ができます。色々な自転車との関わり方に挑戦してみて下さい!

これまで僕の応援をしてくださっているファンの皆様、本当にありがとうございます。また、この記事を見て知ってくださった方は、ぜひこれから応援よろしくお願いします!新型コロナウイルスが収束し、レース会場やイベントで皆さんとお会いできる日を楽しみにしています。

チーム右京公式サイト http://www.teamukyo.com/
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マトリックスパワータグ

ジャージを一新したマトリックスパワータグ ジャージを一新したマトリックスパワータグ ©️MATRIX Powertag
安原監督「今後の見通しはつかないが、すぐに対応できるようにしている」

今年のテーマ「極(GOKU)」を掲げる安原監督今年のテーマ「極(GOKU)」を掲げる安原監督 ©️Matrix Powertag現状で選手に特別な指示はしていません。練習にはついては選手自身が今の状況をよく理解してそれぞれが十分に注意してトレーニングしております。緊急事態宣言以降は、練習前の検温や練習コース内容を事前にチームに申請してもらうようにしています。

6月までのレースがなくなり、今後の見通しは想像もつきませんが、チーム、選手としてはどのようになろうとすぐに対応できる体制は整えております。

全日本選手権が8月になった場合、コース内容にもよりますが、最大の敵は暑さでしょう。その対策が重要と考えています。

現在日本に滞在する外国人選手は、規制はあるにせよ外で自転車に乗れるので、練習環境は自国(ヨーロッパ)に比べかなり良いと思います。スペインではほんの少し制限は緩くなったものの、いまだ外では練習で来ていないと聞いています。

「その先にあることを考えての準備や日頃試せないトレーニングをする絶好の時期」

新ジャージの写真の中には、新加入のベネズエラ人選手・レオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガの姿も(下段右から2人目)新ジャージの写真の中には、新加入のベネズエラ人選手・レオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガの姿も(下段右から2人目) ©️MATRIX power tag普段の練習は緊急搬送されるリスクを最大限に減らすように、感染しないよう注意しています。(単独練習、マスク着用、人から離れた場所での練習)レースが無い期間が長くなっていますが、その先にあることを考えての準備や日頃試せないトレーニングをする絶好の時期です。

全日本選手権の延期は決まったことなので、それに合わせて調整するのみです。

練習以外で新たに始めたことは内緒です。

ホビーレーサーの皆さんには、フィジカルを鍛えるばかりが練習ではないので、ハンドルさばきなどのスキルを勉強する(落車回避などのために)練習をこの機会に取り入れて欲しいと思います。

選手はこの間も準備してます、もうしばらくお楽しみにしてください。

マトリックスパワータグ 公式サイト https://team-matrix.jp
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text:Tadahiko Kuwabara, Kousuke Takeyama, Masahiro Yasuhara
edit:Satoru Kato

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