9月初旬にドイツで開催された世界最大規模の自転車ショー「ユーロバイク」。1400社ものブランドが集結するこの展示会の中から、FSA/ヴィジョン、ズイフト、ステージズ、キャットアイ、ミルキットをピックアップして紹介しよう。



FSA/ヴィジョン ミドルグレード帯のホイール&E-BIKEユニットに参入

FSAの電動アシストユニットが搭載されたロードバイク。その存在はほとんどわからないFSAの電動アシストユニットが搭載されたロードバイク。その存在はほとんどわからない
リアハブに駆動ユニットが搭載されているリアハブに駆動ユニットが搭載されている FSAのE-BIKEユニットはトップチューブにボタンが設けられるFSAのE-BIKEユニットはトップチューブにボタンが設けられる


EFエデュケーションファーストやバーレーン・メリダ、アスタナ、ユンボ・ヴィズマなどUCIワールドチームをはじめ、数多くのプロチームをサポートするコンポーネントブランドのFSA(FULL SPEED AHEAD)。彼らがサポートするチームの一つであるブルゴスBHは、電動無線コンポーネントK-FORCE WE DISCを使用する唯一のチームであり、K-FORCE WEに初勝利をもたらしている。

プロチームが関連するプロダクトでいうと、ヴィジョンになるが、ユンボ・ヴィズマが使用するビアンキ AQUIRA CVにあわせて開発されたベースバーと、3Dプリンティングで成形したかのようなDHバーが展示されていた。もちろんバーレーン・メリダの要望から生まれたMETRON 6Dも製品版としてラインアップされている。

ヴィジョンはMETRONシリーズとミドルグレードのSCシリーズが並ぶヴィジョンはMETRONシリーズとミドルグレードのSCシリーズが並ぶ
55mmハイトと40mmハイトが用意されたSCシリーズ55mmハイトと40mmハイトが用意されたSCシリーズ 3SPOKEホイールとディスクホイールにディスクブレーキ仕様が登場している3SPOKEホイールとディスクホイールにディスクブレーキ仕様が登場している

METRON TFAという新しいエアロバーが登場したMETRON TFAという新しいエアロバーが登場した プロ選手用に開発されたDHバーが展示されていたプロ選手用に開発されたDHバーが展示されていた

バーレーン・メリダの要望から生まれたというMETRON 6Dバーレーン・メリダの要望から生まれたというMETRON 6D グラベル用コンポーネントとして変形ドロップハンドルA-WINGとC-WINGがリリースされるグラベル用コンポーネントとして変形ドロップハンドルA-WINGとC-WINGがリリースされる


この2つのブランドでの新製品のトピックは、ヴィジョン SCシリーズというミドルグレード帯のチューブレスレディホイールが登場したこと。ハイエンドモデルのMETRONと同じカーボンリムを使用しながらハブでコストカットを行うことでコストパフォーマンスを向上させているという。リムハイトは40mmと55mmの2種類が揃う、それぞれにリムブレーキモデルとディスクブレーキモデルが用意される。またMETRONには3SPOKEホイールにディスクブレーキバージョンが追加された。

FSAのニュープロダクトは、グラベル用ハンドルC-WING AGXとA-WING PROの2種類だ。ハンドルのフラット部分がステムクランプよりも上にライズ、ドロップ部分がややフレアした形状をとる。この2モデルの大きな差異は、Cはカーボン製、Aはアルミ製ということだ。ドロッパーシートポストも新たにリリース。昨年にグラベル用軽量クランクセットK-FORCE MODULARがリリースされているため、FSAのグラベル用コンポーネントが増々充実している。

ヴィジョンはACRというケーブル内装システムを発表したヴィジョンはACRというケーブル内装システムを発表した
さて、FSAからリリースされた大きなニュースは、ACRというケーブルをフル内装できるハンドル、ステム、ヘッドセット周りのソリューションを打ち出したこと。既にいくつかのバイクブランドは採用しているが、バイクブランド独自の設計ではなくコンポーネントブランドが用意したことがポイントだろう。ACRにはステム一体型ハンドルだけではなく、別体式のものも用意されているため、選べるパーツの幅が徐々に増えていくことが期待できる。ロード向けだけではなく、マウンテンバイク用のパーツもラインアップされるようだ。

また、ユーロバイクではE-BIKEユニットに参入することもあわせて発表された。リアホイールのハブがアシストユニットとなるタイプを採用しており、ロードバイクやグラベルロード、コミューターに搭載するシステムとなっている。ユニットのシステム全体で4kgと軽量性に優れていることもポイント。バッテリー容量は250Wh。FSAのユニットを搭載したE-ROADの登場を期待したい。



ズイフト バーチャルサイクリングについにハンドル操作が加わることに

ズイフトは各社の最新ローラー台やスマートバイクを用意したデモブースを展開したズイフトは各社の最新ローラー台やスマートバイクを用意したデモブースを展開した
スマートトレーナーの火付け役となったバーチャルサイクリングアプリのズイフト。サイクリストが出力したパワーに応じてバーチャル世界のアバターのスピードが増減、走っているコースの勾配や路面状況をトレーナーで再現することができるとして、日本のみならず世界的にユーザーを増やし続けている人気アプリケーションだ。

そこにハンドル操作がついに加わることとなった。導入方法は至って簡単。スマホ用のズイフトコンパニオンアプリをハンドルバーに取り付けるだけ。スマホの姿勢検知機能がハンドル操作を認識し、バーチャルサイクリングの世界に反映するのだ。ユーロバイクではトレイルのデモコースが用意されており、数多くの人がハンドル操作に挑戦していた。

ズイフトが用意したハンドルシステムを試すキッズズイフトが用意したハンドルシステムを試すキッズ タイヤ下には回転する台を用意する必要があるタイヤ下には回転する台を用意する必要がある


Watopiaの最新拡張コース内に設けられているというため、気になる方は挑戦してみても良いかもしれない。Titan's Groveはトレイルコースであり、目標スコアとタイムをクリアするとマウンテンバイクなどがアンロックされるという。ただ、ホイールのライザーブロックを使用する場合は、タイヤが回転するようなものが必要となるため気をつけたい。

また、ズイフトでは2019年のロード世界選手権の舞台であるヨークシャー州ハロゲートの周回コースをユーロバイクで発表。近日中に走れるようになるとのことだ。




ステージズ シマノ12速MTBクランクのパワーメーター&スマートバイクをリリース

12速化を果たしたDeore XTのステージズ パワーメーターが登場する12速化を果たしたDeore XTのステージズ パワーメーターが登場する
左側クランクで独立したパワー計測を実現したステージズ。現在は両側計測も可能なデュアルサイドのパワーメーターを用意しているが、彼らが本領を発揮するのはやはり左側計測のプロダクト。本来パワーメーターが備えられていないクランクまでパワーメーターを搭載し、非常に多彩なラインアップを揃えていることが特徴だ。

新型コンポーネントに対応するスピードも早く、シマノDeore XTやGRXモデルが登場。最新オフロードコンポーネントでもパワーを計測することができるため、XCレーサーのみならず、グラベルのエンデュランス系レース参戦を視野に入れている方にはぴったりかもしれない。もちろんXTRやカンパニョーロのSUPER RECORD 12s、RECORD 12sなど2018年に発表されたコンポーネントにも既に対応している。また、ステージズのサイクルコンピューター「DASH」がいよいよ販売開始になるとも。

サドルハイトや前後位置などを自由に調整できるサドルハイトや前後位置などを自由に調整できる ブラケットの内側にシフトボタンが配されているブラケットの内側にシフトボタンが配されている

ズイフトなどと連携するスマートバイク「STAGES BIKE」をリリースしたズイフトなどと連携するスマートバイク「STAGES BIKE」をリリースした
クランク長も数種類から選ぶことができるクランク長も数種類から選ぶことができる ボトルホルダーも装備しているボトルホルダーも装備している


ステージズのブースで最も大きな話題はスマートバイクをリリースしたことだろう。パワーメーターブランドが何故という気持ちもあるが、本国ではフィットネスジム用スピニングバイクを既に用意しており、ズイフトなどに対応したスマートバイクを開発することは必然であったようだ。

スペックとしてはスポーツサイクル愛好家たちに合わせた設計が施されている。例えば、左右のパワーメーター搭載とバーチャルサイクリングの勾配再現、ロードバイクのようなアグレッシブなポジションが可能となる点だ。また、STIレバーに模したブラケットでは電動変速、ブレーキが可能であり、ズイフトなどを存分に楽しむことができるはずだ。



キャットアイ 新しいライトシリーズAMPPがお披露目

キャットアイの新シリーズAMPP(アンプ)キャットアイの新シリーズAMPP(アンプ)
キャットアイはユーロバイクで新しいライトシリーズAMPP(アンプ)をリリース。バッテリーをビルトイン、中光量モデルのボディを樹脂製とすることで、主力のVOLTシリーズよりもリーズナブルな価格設定を実現したモデルだという。大光量モデルは放熱性を考慮し、アルミボディだ。

ボックス形状のボディとされているが、ライトの配光はキャットアイが得意とする丸形。前方に満遍なく光を届け、サイドにはクリアパーツから光を届けてくれる設計だ。ブースで展示されていたのは400、500、800、1000という3種類だが、日本で展開予定なのは500の1種類。

コイン型電池を利用していたORB(オーブ)の充電式モデルもデビュー。これまで同様ラバーバンドで各所に装備する方式には変わりないが、ライトがマウントから外すことのできる設計を採用している。充電はライト本体をマウントから取り外し、本体背面のMicroUSBポートから行う。日本ではサイクルモードでこれら新製品をチェックすることができるだろう。

スマホと連携するSYNC COREも注目製品として展示されていたスマホと連携するSYNC COREも注目製品として展示されていた
充電式となったセーフティライトORB充電式となったセーフティライトORB ドイツで開催されるだけあり、ドイツ国内に対応したGVOLTシリーズのラインアップが並べられていたドイツで開催されるだけあり、ドイツ国内に対応したGVOLTシリーズのラインアップが並べられていた




ミルキット ユーロバイクアワードを獲得したチューブレスタイヤインフレーター

ユーロバイクアワードを獲得したチューブレスタイヤインフレーターユーロバイクアワードを獲得したチューブレスタイヤインフレーター
スイスを拠点にチューブレスタイヤ関連アクセサリーを手掛けるミルキット。弁を設けた独自のバルブシステムが特徴で、バルブコアを抜いた状態でもエアやシーラントが流出しにくくしたことがポイントだ。弁が設けられたバルブにより、シーラント補充などの作業性を高めている。

そんな独自のバルブシステムを活かしたチューブレスタイヤインフレーターをミルキットはリリースする。インフレーターと言っても仰々しいシステムではなく、ボトルと専用のヘッドを組み合わせたもの。専用のヘッドにバルブから取り外した仏式のバルブコアを装着し、空気を充填。もう一方の開口部からバルブを通じてタイヤ内に空気を送り込むというシステム。

ミルキットはチューブをバルブに差し込み、シーラント剤を注入するミルキットはチューブをバルブに差し込み、シーラント剤を注入する ユニークなチューブレスバルブシステムを採用するミルキットユニークなチューブレスバルブシステムを採用するミルキット


この時ミルキットのバルブコアは外されているが、空気がもれないのは弁のおかげ。ちなみにインフレーターはバルブコアが装着されている、仏式バルブにも空気を送り込めるという。インフレーターを使用していない時はウォーターボトルとして活用できるというユニークなプロダクトだ。


text&photo:Gakuto Fujiwara