スペインで6日間のステージレース、ブエルタ・アル・パイスバスコ(バスク一周レース)が開幕。最終盤のアタックを凌いだスプリンターの争いとなり、マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)が勝利を飾った。



昨年の総合優勝者であるアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)昨年の総合優勝者であるアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVosコリンと共にインタビューに応える新城幸也(バーレーン・メリダ)コリンと共にインタビューに応える新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:CorVosメイン集団をコントロールするチームサンウェブメイン集団をコントロールするチームサンウェブ photo:CorVos山岳を越えていく新城幸也(バーレーン・メリダ)山岳を越えていく新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:CorVos/Miwa/Iijima集団前方に位置取るワレン・バルギル(フランス、チームサンウェブ)集団前方に位置取るワレン・バルギル(フランス、チームサンウェブ) photo:CorVosフランドル地方が熱狂に包まれる一方、スペイン・バスク地方では6日間のステージレース、ブエルタ・アル・パイスバスコ(バスク一周レース)が開幕した。

1924年に第1回大会が開催された歴史あるステージレースであり、1936年から1968年までの中断区間を挟んで今年で開催57回目を迎える。舞台となるバスク州は17あるスペインの自治州の中でも伝統的に多くのロードレーサー、特にクライマーを輩出する地域。その山がちな地形を利用した山岳コースが多く設定されていることが特徴で、例年1分以内の僅差(昨年は12秒差)で総合が決まっているため、僅かな遅れも許されない緊張感あるステージが続く。

今年総合争いを賑わせるのは、一向に衰えを感じさせない走りでカタルーニャ総合優勝を掴んだアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)や同2位で昨年の総合優勝者アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)、今季好調のサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル・ラモンディアール)ら、グランツアーを狙う豪華面々。ホン・イサギレ(スペイン)がエースナンバーを付けるバーレーン・メリダからは新城幸也もスタートラインに並んだ。

サン・フェルミン祭(牛追い祭り)で有名なパンプローナからスタートする初日は集団スプリントの可能性が高いステージで、序盤から中盤にかけて2級、2級、3級と3つの山岳が用意されているものの、後半は下りと平坦基調。コース延長は153.3kmだ。

この日序盤から逃げたのは、バスク出身のクライマーであるイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)と、ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)、ルイス・マス(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)の3人。快調に逃げたものの、マイケル・マシューズ(オーストラリア)のスプリントを狙うチームサンウェブが徹底的にコントロールを行ったため、4分以上のタイム差は許されなかった。

3つめの山岳ポイント通過時点ではバゴが14ポイントを獲得し、翌日の山岳賞ジャージ着用を決定させる。しかしその後アントンが遅れ、2人になると徐々にペースを上げメイン集団が残り20km地点で二人を飲み込んだ。」

広い幹線道路をフルに使って各チームが位置取りを繰り広げる中、残り5kmから始まるカテゴリー無しの登りではアタック合戦が勃発。集団スプリントを嫌ってジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)がアタック。軽やかに後続を引き離したアラフィリップだったが、肝心なタイミングで後輪パンクに遭い後退。集団が長く伸びた状態だったためチームカーの到着が遅れ、アラフィリップは2分以上の手痛いタイムロスで総合圏外に脱落してしまう。



スプリント勝負を制したマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)スプリント勝負を制したマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ) photo:CorVos


記者会見に臨むマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)記者会見に臨むマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ) photo:CorVosリーダージャージを着用したマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)リーダージャージを着用したマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ) photo:CorVos続いたニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やバルベルデのアタックは全て残り1km前後で飲み込まれ、各チームがバラバラとなりながら集団スプリントへ。真っ先にもがきはじめたジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)とマシューズの一騎打ちとなり、タイミングを待ったマシューズが先着。3位にはサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)が入り、オーストラリア勢が表彰台を独占する結果に。マシューズにとっては嬉しい今季初勝利だ。

また、スプリントに加わった新城は位置取りに苦戦して17位。「今日はあの『牛追い祭り』が行われる街だった。 一度は見てみたいが7月はツールがあるから無理か(笑) なんて、市街地をパレードしながら思った。今大会はイザギレがチームリーダー。彼の総合表彰台(上位3位以内)が今回のチームの目標。開幕から2stageは集団スプリントが予想され、このレースは道幅も狭くチームカーの隊列も重要になってくるので、自分が任された2stageのスプリントが大きな責任を担うことになった。今日はゆっくりな1日で残り20kmからがレースが始まった感じ。みんな余力を残した状態でのゴールスプリントになってしまい、位置取りに苦労してしまった。結局、ラスト700mのロータリーを良い位置で通過できずに、集団に埋もれて終わってしまった。しかし、自分にも十分チャンスがあると分かったので、このようなエースを任されるチャンスを活かしたい」とコメントしている。

残り700mで発生した落車にはコンタドールが巻き込まれた。「目の前の2人が真っ直ぐコース外に突っ込んでしまい、自分もそうする他に術がなかった。幸い芝生の上に転がったので何もトラブルは無く、救済措置を理解していたので落ち着いてフィニッシュラインまで走ったよ」と幸いノーダメージだったようだ。



ブエルタ・アル・パイスバスコ2017第1ステージ結果
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)        3h45’07”
2位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)
4位 ホナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)
5位 ショーン・ドゥビー(ベルギー、ロット・ソウダル)
6位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)
7位 ロゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
8位 アントニー・ルー(フランス、FDJ)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
10位 グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

個人総合成績
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)        3h45’07”
2位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)
4位 ホナタン・レストレポ(コロンビア、カチューシャ・アルペシン)
5位 ショーン・ドゥビー(ベルギー、ロット・ソウダル)
6位 マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、クイックステップフロアーズ)
7位 ロゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
8位 アントニー・ルー(フランス、FDJ)
9位 ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)
10位 グレゴール・ミュールベルガー(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)

ポイント賞
1位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームサンウェブ)    
2位 ジェイ・マッカーシー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 サイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・スコット)

山岳賞
1位 ヨアン・バゴ(フランス、コフィディス・ソルシオンクレディ)
2位 イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)
3位 ルイス・マス(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)

チーム総合成績
1位 ボーラ・ハンスグローエ
2位 ロットNLユンボ
3位 モビスター

text:So.Isobe