ランス擁するドリームチーム、コンタドールの大会2勝目なるか

世界屈指のオールラウンダーがズラリと揃うアスタナ。ツール、ジロ、ブエルタを全て制した26歳アルベルト・コンタドール（スペイン）の大会2勝目が期待される。そして注目は現役復帰を果たしたランス・アームストロング（アメリカ）。かつてツール7連覇の偉業を成し遂げた男が、フランスに帰ってくる。

大会2勝目を狙うアルベルト・コンタドール（スペイン、アスタナ） photo:CorVosアスタナは、当時のチームリーダーヴィノクロフ（カザフスタン）の尽力により、カザフスタン企業のバックアップを得て2006年に誕生した若いチーム。ドーピング違反により大将ヴィノクロフがチームを去ると、2008年にチームは選手とスタッフを大規模に入れ替える改革を行なった。

現在チームを取り仕切るのは、かつてアームストロングのツール7連覇を指揮した名将ヨハン・ブリュイネール監督。チームはスポンサーの資金繰り悪化により一時は存続の危機を迎えていたが、ツール開幕を前に無事に財政危機を乗り越えている。

現役復帰を果たしたランス・アームストロング（アメリカ、アスタナ） photo:Kei Tsujiチームのリーダーは、ディスカバリーチャンネル所属時代の2007年に24歳の若さでツールを制したアルベルト・コンタドール（スペイン）。アスタナに移籍した昨年はツール出場を逃したが、急遽参戦が決まったジロとブエルタで総合優勝。なんと25歳の若さでグランツール全てを制した。

今のロードレース界を牽引するこのヒーローの強みは、その抜群の山岳力。しかしクライマー体型ながら、同時にタイムトライアル（以下TT）でも強さを発揮する。コンタドールは直前のスペイン選手権TTを制しており、ツールのTTではナショナルチャンピオンジャージを着て走る。

7度目のツールに出場するリーヴァイ・ライプハイマー（アメリカ、アスタナ） photo:Kei Tsujiジロでもブエルタでもなく、このツール一本に集中するコンタドールは、ブエルタ・アル・パイスバスコで総合優勝し、前哨戦ドーフィネ・リベレで総合3位。マイヨジョーヌの最有力候補だ。

そして、コンタドールと“一回り”ほど離れた37歳のアームストロングが今シーズン電撃復帰。2005年に前人未到のツール7連覇の偉業を成し遂げたこのアメリカンは、かつて自らを苦しめた難病ガンの撲滅を世界にアピールするために再び立ち上がった。

2004年と2006年ツールで総合2位に入っているアンドレアス・クレーデン（ドイツ、アスタナ） photo:Cor Vos今年1月のツアー・ダウンアンダーで1274日ぶりのレース復帰を果たしたアームストロングは、3月末のブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオンで落車し、鎖骨を骨折。しかし驚異的な回復を見せ、初出場のジロでは精彩を欠きながらも総合12位完走。健在ぶりを見せつけた。

アームストロングはコンタドールのアシストに回ると宣言しているが、コンタドール不調の場合、アームストロングがツール8勝目を狙う可能性は無くはない。これまでステージ通算25勝を飾っているこのレジェンドの注目度はナンバーワンだ。

アスタナの強みは、コンタドールを支えるその充実したアシスト体制。アシストと呼ぶには気が引けるほど強力なメンバーが集結した。

中でもリーヴァイ・ライプハイマー（アメリカ）とアンドレアス・クレーデン（ドイツ）は、ツールの総合表彰台経験者。自身も総合上位を狙える実力の持ち主だ。TTに長けたライプハイマーはツアー・オブ・カリフォルニアで3連覇を達成。エースとして挑んだジロ・デ・イタリアでは山岳で失速して総合6位だった。

クリストファー・ホーナー（アメリカ）とホセルイス・ルビエラ（スペイン）はメンバーから外れたが、2003年ジロ総合3位のヤロスラフ・ポポヴィッチ（ウクライナ）や、2003年＆2007年ツール総合5位アイマル・スベルディア（スペイン）らはセレクション入りしている。

ステージ優勝を狙うスプリンターは誰一人としておらず、コンタドールの2度目のツール制覇に全力を注ぐ。間違いなくマイヨジョーヌ争いにおける最強チームだ。


アスタナメンバー
アルベルト・コンタドール（スペイン）
ランス・アームストロング（アメリカ）
アンドレアス・クレーデン（ドイツ）
リーヴァイ・ライプハイマー（アメリカ）
デミトリ・ムラフエフ（カザフスタン）
セルジオ・パウリーニョ（ポルトガル）
ヤロスラフ・ポポヴィッチ（ウクライナ）
グレゴリー・ラスト（スイス）
アイマル・スベルディア（スペイン）

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