“世界最強ブランド”として君臨するピナレロ

「最近のピナレロには勢いがある」と言われ続けてもう何年経つだろう。かつてはカーボンバックやインテグラルヘッド、近年では完全左右非対称設計や超高弾性カーボンの採用など、「自転車界で初」もしくは「自転車界で唯一」と称することのできるテクノロジーを数多く産み出してきた。それらをニューモデルに惜しげもなく投入することで、世のロードバイク乗りを魅了しているブランドだ。

サイクルモード2012に来日した現ピナレロ社長、ファウスト・ピナレロ氏。ツール・ド・フランスでブラドレー・ウィギンズが駆ったマイヨジョーヌカラーのバイクとともにサイクルモード2012に来日した現ピナレロ社長、ファウスト・ピナレロ氏。ツール・ド・フランスでブラドレー・ウィギンズが駆ったマイヨジョーヌカラーのバイクとともに
1953年に元プロレーサーのジョヴァンニ・ピナレロによって立ち上げられたピナレロ社は、1960年には早くもプロチームへのフレーム供給を開始するなど、常にレースと共に成長してきた生粋のレーシングブランドである。1975年のジロ・デ・イタリア制覇を皮切りに、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャ、数々のクラシックレース、そしてオリンピックなどのビッグレースを次々と制覇。瞬く間に常勝ブランドとなってロードバイクメーカーの頂点に立った。以降も数々の新規格や新思想を提唱し、スポーツバイク界に強い影響力を持つトレンドリーダーとして確固たる地位を確立した。

ウィギンズのツール制覇を支え、カヴェンディッシュの爆発力を受け止めた2012シーズン

今年、2012年のレースシーズンで特にピナレロの活躍が顕著だったのがツール・ド・フランスだろう。旗艦ドグマ65.1Think2を駆るブラドレー・ウィギンズが総合優勝を達成してマイヨジョーヌを獲得し、「世界最速スプリンター」と名高いマーク・カヴェンディッシュもスプリントステージで大暴れしてみせた。ピナレロは今年も“世界最強ブランド”としてロード界に君臨することになったのである。

マイヨジョーヌを着て走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを着て走るブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) (c)Makoto Ayano4年連続シャンゼリゼを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)4年連続シャンゼリゼを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ) (c)Makoto Ayano

昨年はほぼすべてのラインナップに手を加えたピナレロだが、2013シーズンもフラッグシップであるドグマをフルモデルチェンジさせた他、エントリーグレードに2台のニューモデルを追加するなど積極的な姿勢を崩さない。ピナレロの「勢い」は今でも全く衰えていないようだ。

ピナレロ2013ニューモデルを一挙インプレッション

今回のインプレッションでは、FPデュエを除くほぼ全てのピナレロのロードラインナップを、なるしまフレンドの二戸康寛さんとYOU CANの白川賢治さんという、メカニックの腕にも覚えのある二人の健脚ライダーに評してもらった。常にテクノロジーを研ぎ澄まし、時代の最先端を走るイタリアンブランド、ピナレロの今とは?。

ドグマ65.1 Think 2

フレーム素材はついに65トンカーボンへ!独自のテクノロジーを満載し、2012ツールを制したピナレロ至高の一台。

ドグマK

ドグマ65.1と並ぶトップモデル。レースユースを前提とした動力性能と、高い快適性・走破性を同居させたグランフォンド最速バイク。

パリ50-1.5

かつての旗艦、プリンス・カーボンと同等の高弾性50トンカーボンを用いた実戦モデル。今年はプライスダウンで魅力が大きく増した。


FPクアトロ

左右非対称設計、1.5インチヘッド、ONDAフォークなど上位機種の性能を受け継ぐ、ピナレロの中核を担うハイパフォーマンスモデル。

ロク

ドグマKの流れを汲み、快適性を重視したグランフォンドバイク。ピナレロがロングライドフリークに贈るミドルグレード。


FPチーム

ミドルグレードに投入された新作。フレーム素材は30トンカーボン。万人に使いやすい剛性感に仕上げられ、オールラウンドに使える。

FPウノカーボン

アルミ/カーボンバックモデルのFPウノに、フルカーボンモデルが追加された。24トンカーボンを使用した注目のエントリーモデル。


インプレライダーのプロフィール

二戸康寛(なるしまフレンド立川店)二戸康寛(なるしまフレンド立川店)
二戸康寛(なるしまフレンド立川店)
なるしまフレンド神宮店販売チーフを経て現在は立川店勤務。かつて実業団チーム日本鋪道(昨年までのチームNIPPO)に所属してツール・ド・北海道をはじめとした国内外のトップレースを走った経験を持つ。高校時のインターハイ2位を始めツールド北海道特別賞(堅実なアシストに贈られる賞)やツールド東北総合4位等の実績を持つ。なるしまフレンドに入社後もレース活動を欠かさない37歳にしていまだ現役のJPTレーサー。ショップではレースから得た経験を通じ自転車の魅力と楽しさをより多くの人に伝えられるよう日々自分磨きに勤しんでいる。現在の愛車はタイム NXR INSTINCT。
→なるしまフレンド



白川賢治(YOU CAN リバーシティ店)白川賢治(YOU CAN リバーシティ店)
白川賢治(YOU CAN リバーシティ店)
2010年4月に山梨県中央市にOPENしたYOUCANリバーシティ店の店長。高校時代から20代後半まで競技に打ち込み、現役時代にはツール・ド・北海道総合スプリント賞や全日本選手権100kmチームタイムトライアル優勝、全日本選手権ポイントレース3位等の成績を収める。実業団レースを走った経験や、輸入代理店において広報車両のセットアップを担当した経験を生かしながら、自身の「自転車大好き」な気持ちで一生つき合える自転車の楽しみを提供できるショップを目指している。普段はキャノンデール・スーパーシックスHI-MODに乗る。
→YOU CAN

編集:シクロワイアード 提供:カワシマサイクルサプライ