世界最大のスポーツサイクルメーカー、GIANT。そのラインアップはとても多彩で、日本で販売される2009年モデルのロードバイク完成車だけでも20種類を超える。しかし、これだけラインアップが多いと「いったいどこが違うの?」といった疑問が生まれてくるのも確かだ。

各モデルのキャラクターを読み解く鍵となるのが、ロードレースのための「TCR」と、サイクリングやロングライドのための「DEFY(ディファイ)」という、2つの大きなシリーズ分け、そしてフレームに用いられている素材の違いだ。これらの要素を表に整理してみると、ロードバイクラインアップの全貌がよくわかる。

フレーム素材→ Advanced SL グレード
カーボンコンポジット
Advanced グレード
カーボンコンポジット
ALLIANCE :
Advancedカーボンと
Aluxx SLアルミとのハイブリッド
Aluxx SL グレード
アルミニウム
TCR series
純レース
TCR Advanced SL Team
TCR Advanced SL 0
TCR Advanced SL 1
TCR Advanced SL 2
TCR Advanced 1
TCR Advanced 2
TCR Advanced 3
TCR Alliance SE
TCR Alliance 1
TCR
Defy series
幅広い用途
  Defy Advanced 0
Defy Advanced 1
Defy Advanced 2
Defy Advanced 3
Defy Alliance 1 Defy 1
Defy 2
Defy 3

しかし、もっとも気になるのは「乗ってみてどうか」ということ。TCRシリーズとDEFYシリーズは、いったいどう違うのか。そして、フレーム素材の違いは各バイクの走行性能にどのような個性を与えているのだろうか。今回は、全ラインアップの中から注目の5台をチョイス。元プロライダーの戸津井俊介氏と、ジャーナリストの山本健一氏の2人が試乗を行った。そしてまずはインプレに移る前にジャイアントのスポーツバイク造りの歴史をひも解いてみよう。

GIANT HISTORY

ヒストリーへ
GIANT 37th Anniversary

創業37年のジャイアント その歴史


プロサイクリングシーンの機材に変革をもたらし続ける
プロサイクリングシーンに対して常に新しい「何か」を投入し続けてきたジャイアント。その代表例が、スペインのチーム“ONCE(オンセ)”に機材供給していた頃に提唱した「コンパクトロード」という概念、つまりスローピング形状のフレームだ。オンセ所属選手が活躍することによって多くのメーカーがこの概念を模倣し、ジャイアントの先見性が証明されたのだった。そんなジャイアントのロードバイクの歴史とテクノロジーを紐解いてみよう。

インプレッション

インプレッションへ
この1台から始まる本物のロードバイクライフ

DEFY 3


街乗りやサイクリングだけではもったいない高性能
新たに登場したDEFY(ディファイ)シリーズのエントリーグレードがこのDEFY 3だ。フレーム素材は、かつてツール・ド・フランス等のレースバイクでも使用された素材「ALUXX(アラックス)SL アルミ」。そこにビギナーのニーズに配慮したパーツを組み合わせ、普段使いから週末のサイクリング、そしてイベントライドやホビーレースまで幅広くカバーできる1台に仕立てられている。はじめてのスポーツサイクルとしても十分におすすめできる内容だ。
インプレッションへ
ロングライドもレースもOKのGTマシン

DEFY ADVANCED 1


コンフォート性能とキレの良さを優れたパッケージで両立
一般的に「コンフォート性能が高い」などという言葉を聞くと、レース用のロードバイクと比べてレベルが低いのではないか——そんな既成概念を良い意味で打ち破るのが、Advanced-Grade Compositeフレームを採用した「DEFY ADVANCED 1(ディファイ アドバンスド)」だ。少し上体が起きてリラックスできるポジションやコンパクトドライブ、そして高い振動吸収性といったコンフォート性能を持つ一方、レースで使えるキレの良さ、安心してスピードが出せる安定感なども併せ持っている。
インプレッションへ
アルミ+カーボンの新境地を開拓する

TCR ALLIANCE 1


アルミとカーボンの特性を「イイとこ取り」した意欲作
TCRシリーズでは中堅に位置する「TCR ALLIANCE」シリーズだが、フレームはかなりの意欲作。フレームの上半分にはカーボンを、下半分にはアルミを用いているのだ。これにより、カーボンが持つ振動吸収性能を保ちながら、アルミらしいカチッとした走りも可能になっている。価格もお求めやすい設定になっているので、初めてロードレースにチャレンジする人のバイクとしても適している。2人のインプレライダーは、ただアルミとカーボンを組み合わせただけではない「よく考えられたフレーム」と話す。
インプレッションへ
コアライダーも納得のグッドバランス

TCR ADVANCED 2


アルミとカーボンの特性を「イイとこ取り」した意欲作
プロツアーで活躍するTCR ADVANCED SLの流れを汲んだレース仕様モデルだが、大きく異なるのはフレーム素材。TCR ADVANCED SLシリーズが「Advanced SL-Grade Composite」のカーボンなのに対し、TCR ADVANCED シリーズは 「Advanced-Grade Composite」のカーボンフレームなのだ。もちろん価格はTCR ADVANCEDシリーズのほうが安い。しかし、価格の高低だけでは測れない価値がこのTCR ADVANCED 2には存在する。
インプレッションへ
レースで育った渾身のフラッグシップ

TCR ADVANCED SL Team


まさにプロユースのトップグレード
2008年のプロロードレースシーンでテストされ、期待を一身に背負ってリリースされた、TCRシリーズの最高峰「TCR ADVANCED SL」。 フレームはもちろん 「Advanced SL-Grade Composite ISP」だ。2009年シーズンでは、有力チームの「ラボバンク」にも供給されることになった。今回試乗したのは、シマノ・デュラエース完成車の「TCR ADVANCED SL Team」。レース経験豊富な2人のライダーも、そのポテンシャルの高さに舌を巻いた。

ライダープロフィール

山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。
戸津井俊介(over-do)
元マウンテンバイクプロライダーで、元アジア大陸マウンテンバイク選手権チャンピオン。ロードレースの経験も豊富だ。現在は埼玉県川越市にてショップ「over-do」(オーバードゥ)を経営、選手の経験から得たさまざまなノウハウをユーザーに提供している。
http://www.over-do.tv/
 
創業37周年のジャイアント その歴史

ジャイアントオフィシャルサイトはこちら
提供:株式会社ジャイアント 企画/制作:シクロワイアード TEXT:須貝弦