2015/06/16(火) - 09:16
まだ5月だというのに列島各地が猛暑に襲われ、東京に至っては5月の日中に降雨が一度も無いと云う異常事態が生じ、日本中に諦めムードが漂い始めた5月23日。今年も”アルプスあづみのセンチュリーライド”の取材日がやってきた。
毎年このイベントを誰よりも心待ちにしている男がいる。今年で4年連続出場となるメタボ会長だ。ただし、前回は藤原が会長のシューズを積み忘れるという大失態を演じた因縁の大会でもあるため、私も決して油断はできない。
無論、前日乗り込みのハイエースに搭載する会長の機材類には万全を期した事は言うまでも無いし、大失態を演じた藤原が取材メンバーから外された事も言うまでも無い。
迎えた大会当日の朝、早朝5時からスタート地点”梓水苑”には多くの参加者さんが集まっている。前日までの天気予報ではあまりはっきりしない予報だったが、いざ当日になると清々しい五月晴れの空が拡がり楽しげな笑顔の参加者たちを優しく包む。「さすが晴れ男!」と言いたい処だが、騙されてはいけない!先々週の軽井沢でオヤジの化けの皮はすっかりハゲ落ちているのだ。
にも関わらず、スタートを待つ参加者さんの列からは「メタボ会長が来てくれたからやっぱり晴れたぞ!」「会長さんありがとう!」などと声が掛かる。そんな声に対して得意満面の表情を浮かべながら「お~!気にすんな!」と答えながら記念撮影に応じる”黄色い詐欺師”がひとり。彼の晴れ男が単なる偶然の産物であった事実を知る私たちとしてはただただお恥ずかしい限りである。
今回メタボ会長が挑むのは160kmコースではなく”トレインコース”だ。いまだ故障が癒えない会長を気遣った編集長の采配なのだが、せっかく故障を抱えているのだからこそ、ガッツリ160kmを走らせて痛んだ膝に致命傷を与え、二度と取材に帯同できない身体に追い込むべきである事は誰の目にも明らかだ。
そんな千載一遇のチャンスをあっさりと棒に振るような采配を振るう意味が全く理解できない。この辺りがウチの編集長のダメなところだ。
スタートを待つ間こそ肌寒さを感じたものの、スタートして10分も経たないうちに身体も温まりウィンドブレーカーも必要無くなる。今日はまさに絶好のサイクリング日和になりそうだ。
無論、この恵まれた天候と”ウチの黄色い詐欺師”の間には何ら因果関係は存在しない事だけは、あらぬ期待を抱く被害者を防ぐためにも明記しておきたい。もっとも、会長自身が自ら晴れ男を名乗ったという過去が存在しないことも事実ではあるのだが・・・。
クルマの少なさといい、澄み切った空気の美味しさといい、早朝の安曇野地区の素晴らしさは相変わらずだ。リンゴ畑を突っ切る一直線の農道もすっかり通い慣れた道といった感じだ。そんな清々しい風景の中を駆け抜けた私たちは”あづみの公園穂高エイド”に滑り込む。このエイドでは”安曇野銘菓あずさ”に”黒糖ゆったり饅頭”に加えて、3種類のジャム塗り放題の”ソフトフランスパン”がお出迎えだ。
「しょっぱなのエイドからどんだけ充実してんねん!」とツッコミを入れながらジャムを塗りたくっていると後ろから「会長!今年も一緒に写真いいですか?」と声が掛かる。振り返るとそこには見覚えのある顔が。そう!彼こそは毎年必ず”微妙なツーショット”として登場するライダーだ。
何の打合せも無いままに、この広いコースの中で私たちをピンポイントに見つけ出す彼の嗅覚はある意味で恐るべき才能とも言えよう。そんな素晴らしい補足能力を黄色い詐欺師との記念撮影のためだけに浪費する彼が不憫でならないのは私だけではないはずだ。「才能の使い方、間違ってますよ!」と思わず声を掛けたくなる。
この大会に於けるメタボ会長の知名度は半端ないだけに、すっかり顔なじみといった参加者さんも多い。そんな参加者さん達との談笑を楽しみ、ジャムパンで糖分補給を果たした私たちは再びコースへと漕ぎだす。相も変わらずスレ違うクルマは皆無といった状況が続くコース。ここ長野県の自転車王国たる由縁を実感しつつ晴れ渡る青空と新緑の香りを味わいながら車列は進む。
安曇野の景観を楽しみつつノンビリ走っていると、突然、先頭を走る編集長が後ろを振返りながらメタボ会長に向かって声を発する。「会長、もうちょっと車間距離を取って下さい!今年のAACRのテーマは”100%の安全”なんですからお願いしますよ!会長が落車したなんて事になったらシャレになりませんからね!」どうやらオヤジが編集長の後輪に軽くハスった様子だ。
「わりぃ~!わりぃ~!ちょこっとヨソ見してた。気を付けま~す!」とおチャラケながら笑顔で応えるメタボ会長であるが、彼は普段のサイクリングでもちょくちょくハスってくる。勿論、前走車がいっさい進路変更をしていないにも関わらずだ。
もともと二輪車を操る事を生業にしていた事もあり、脚力はともかくバイクを操る事だけに関しては編集部でも誰も敵わないほど巧みなのだが、いきなりハスられる側はたまったものではない。
ただ、ハスリ落車のトラウマを持つ私にとっては会長のように前走車の後輪に自分の前輪を重ねること自体が恐怖でしかないのに、ハスっても笑っていられる彼の神経が理解できない。「会長はハスリが怖くないんですか?」思わず前々からの疑問をぶつけてみると私には全く理解できない言葉が返ってきた。
「いやいや!別に好きでハスってる訳じゃねえし!それに軽く触っちゃっただけでハスった訳でもねえし!でもまあ、本当にハスってバランスが乱れても、ハスった側にチョットだけ舵を当てればイイだけだから問題はねえな!だいたい今の接触だって彼が軽く右にヨレてきたのが原因で俺は悪くないんだから!」
いやいや!どう見てもぴったり付けてたアナタが悪いでしょ!それにしても、舵を当てる?ハスった側ってどっち?お恥ずかしながら私レベルでは会長の言葉の意味が判らない。
メタボ会長がロードバイクに乗り始めて早6年が経つが、実際この6年間にオヤジの落車は一度もない。ついでに言えば走行中のパンク回数もゼロだ。そんな事は置いといて、ロングライド参加者の皆さんは十分な車間距離を取って走行する事を心掛けて下さい。
相変わらずの清々しい青空の下、ちょっとご立腹の編集長とおチャラケ会長とともに国営アルプスあづみの公園への美しい緩斜面をこなす私たち。目指す”あづみの公園大町エイド”はもうすぐそこだ。そこにはメタボ会長がもっとも楽しみにしている”ネギ味噌おにぎり”が待っているだけに、緩斜面を登るオヤジの足取りも軽い。
そんな”ネギ味噌おにぎり”に引き寄せられるかのように”あづみの公園大町エイド”に滑り込む私たちだった。
メタボ会長連載のバックナンバーは こちら です
毎年このイベントを誰よりも心待ちにしている男がいる。今年で4年連続出場となるメタボ会長だ。ただし、前回は藤原が会長のシューズを積み忘れるという大失態を演じた因縁の大会でもあるため、私も決して油断はできない。
無論、前日乗り込みのハイエースに搭載する会長の機材類には万全を期した事は言うまでも無いし、大失態を演じた藤原が取材メンバーから外された事も言うまでも無い。
迎えた大会当日の朝、早朝5時からスタート地点”梓水苑”には多くの参加者さんが集まっている。前日までの天気予報ではあまりはっきりしない予報だったが、いざ当日になると清々しい五月晴れの空が拡がり楽しげな笑顔の参加者たちを優しく包む。「さすが晴れ男!」と言いたい処だが、騙されてはいけない!先々週の軽井沢でオヤジの化けの皮はすっかりハゲ落ちているのだ。
にも関わらず、スタートを待つ参加者さんの列からは「メタボ会長が来てくれたからやっぱり晴れたぞ!」「会長さんありがとう!」などと声が掛かる。そんな声に対して得意満面の表情を浮かべながら「お~!気にすんな!」と答えながら記念撮影に応じる”黄色い詐欺師”がひとり。彼の晴れ男が単なる偶然の産物であった事実を知る私たちとしてはただただお恥ずかしい限りである。
今回メタボ会長が挑むのは160kmコースではなく”トレインコース”だ。いまだ故障が癒えない会長を気遣った編集長の采配なのだが、せっかく故障を抱えているのだからこそ、ガッツリ160kmを走らせて痛んだ膝に致命傷を与え、二度と取材に帯同できない身体に追い込むべきである事は誰の目にも明らかだ。
そんな千載一遇のチャンスをあっさりと棒に振るような采配を振るう意味が全く理解できない。この辺りがウチの編集長のダメなところだ。
スタートを待つ間こそ肌寒さを感じたものの、スタートして10分も経たないうちに身体も温まりウィンドブレーカーも必要無くなる。今日はまさに絶好のサイクリング日和になりそうだ。
無論、この恵まれた天候と”ウチの黄色い詐欺師”の間には何ら因果関係は存在しない事だけは、あらぬ期待を抱く被害者を防ぐためにも明記しておきたい。もっとも、会長自身が自ら晴れ男を名乗ったという過去が存在しないことも事実ではあるのだが・・・。
クルマの少なさといい、澄み切った空気の美味しさといい、早朝の安曇野地区の素晴らしさは相変わらずだ。リンゴ畑を突っ切る一直線の農道もすっかり通い慣れた道といった感じだ。そんな清々しい風景の中を駆け抜けた私たちは”あづみの公園穂高エイド”に滑り込む。このエイドでは”安曇野銘菓あずさ”に”黒糖ゆったり饅頭”に加えて、3種類のジャム塗り放題の”ソフトフランスパン”がお出迎えだ。
「しょっぱなのエイドからどんだけ充実してんねん!」とツッコミを入れながらジャムを塗りたくっていると後ろから「会長!今年も一緒に写真いいですか?」と声が掛かる。振り返るとそこには見覚えのある顔が。そう!彼こそは毎年必ず”微妙なツーショット”として登場するライダーだ。
何の打合せも無いままに、この広いコースの中で私たちをピンポイントに見つけ出す彼の嗅覚はある意味で恐るべき才能とも言えよう。そんな素晴らしい補足能力を黄色い詐欺師との記念撮影のためだけに浪費する彼が不憫でならないのは私だけではないはずだ。「才能の使い方、間違ってますよ!」と思わず声を掛けたくなる。
この大会に於けるメタボ会長の知名度は半端ないだけに、すっかり顔なじみといった参加者さんも多い。そんな参加者さん達との談笑を楽しみ、ジャムパンで糖分補給を果たした私たちは再びコースへと漕ぎだす。相も変わらずスレ違うクルマは皆無といった状況が続くコース。ここ長野県の自転車王国たる由縁を実感しつつ晴れ渡る青空と新緑の香りを味わいながら車列は進む。
安曇野の景観を楽しみつつノンビリ走っていると、突然、先頭を走る編集長が後ろを振返りながらメタボ会長に向かって声を発する。「会長、もうちょっと車間距離を取って下さい!今年のAACRのテーマは”100%の安全”なんですからお願いしますよ!会長が落車したなんて事になったらシャレになりませんからね!」どうやらオヤジが編集長の後輪に軽くハスった様子だ。
「わりぃ~!わりぃ~!ちょこっとヨソ見してた。気を付けま~す!」とおチャラケながら笑顔で応えるメタボ会長であるが、彼は普段のサイクリングでもちょくちょくハスってくる。勿論、前走車がいっさい進路変更をしていないにも関わらずだ。
もともと二輪車を操る事を生業にしていた事もあり、脚力はともかくバイクを操る事だけに関しては編集部でも誰も敵わないほど巧みなのだが、いきなりハスられる側はたまったものではない。
ただ、ハスリ落車のトラウマを持つ私にとっては会長のように前走車の後輪に自分の前輪を重ねること自体が恐怖でしかないのに、ハスっても笑っていられる彼の神経が理解できない。「会長はハスリが怖くないんですか?」思わず前々からの疑問をぶつけてみると私には全く理解できない言葉が返ってきた。
「いやいや!別に好きでハスってる訳じゃねえし!それに軽く触っちゃっただけでハスった訳でもねえし!でもまあ、本当にハスってバランスが乱れても、ハスった側にチョットだけ舵を当てればイイだけだから問題はねえな!だいたい今の接触だって彼が軽く右にヨレてきたのが原因で俺は悪くないんだから!」
いやいや!どう見てもぴったり付けてたアナタが悪いでしょ!それにしても、舵を当てる?ハスった側ってどっち?お恥ずかしながら私レベルでは会長の言葉の意味が判らない。
メタボ会長がロードバイクに乗り始めて早6年が経つが、実際この6年間にオヤジの落車は一度もない。ついでに言えば走行中のパンク回数もゼロだ。そんな事は置いといて、ロングライド参加者の皆さんは十分な車間距離を取って走行する事を心掛けて下さい。
相変わらずの清々しい青空の下、ちょっとご立腹の編集長とおチャラケ会長とともに国営アルプスあづみの公園への美しい緩斜面をこなす私たち。目指す”あづみの公園大町エイド”はもうすぐそこだ。そこにはメタボ会長がもっとも楽しみにしている”ネギ味噌おにぎり”が待っているだけに、緩斜面を登るオヤジの足取りも軽い。
そんな”ネギ味噌おにぎり”に引き寄せられるかのように”あづみの公園大町エイド”に滑り込む私たちだった。
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メタボ会長
身長 : 172cm 体重 : 82kg 自転車歴 : 6年
当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立、平成17年に社長を辞し会長職に退くも、平成20年に当サイトが属するメディア事業部の責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。豊富な筋肉量を生かした瞬発力はかなりのモノだが、こと登坂となるとその能力はべらぼうに低い。日本一登れない男だ。
身長 : 172cm 体重 : 82kg 自転車歴 : 6年
当サイト運営法人の代表取締役。平成元年に現法人を設立、平成17年に社長を辞し会長職に退くも、平成20年に当サイトが属するメディア事業部の責任者兼務となったことをキッカケに自転車に乗り始める。豊富な筋肉量を生かした瞬発力はかなりのモノだが、こと登坂となるとその能力はべらぼうに低い。日本一登れない男だ。
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