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Above Bike Store(アバブバイクストア)

「ワクワクするカッコいいモノ」を届ける、オリジナルとカスタムが満載のショップ
「自転車が好きだし、キャンプも釣りも、アウトドア全般が好き。例えば山に登ってコーヒー沸かして帰ってくるだけでも生活が豊かになりますよね。そんな風に、より生活に溶け込んだ自転車の楽しみ方を伝えたいんです」。

東急田園都市線、二子玉川の多摩川を隔てた隣駅、二子新地から徒歩5,6分。多摩川の堤防上を走る県道から一段降りた側道沿いをしばらく歩けば、賑やかなショーウインドウが見えてくる。ここがAbove Bike Store(アバブ・バイクストア)。オーナーの須崎真也さんが迎えてくれた。

最初に断っておくと、Above Bike Storeには一般的なショップにあるような、大手ブランドのバイクはほぼ見かけない。代わりに店内に並ぶのは、ショップオリジナルの「Steel Era(スティールエラ)」や「LROM(ロム)」をはじめ、スクウィッド、クオリス、エクイブリウムといった、ハンドメイドのスチールフレームたち。サーリーやサルサなど奥にずらり並ぶファットバイクの数は他に類を見ないほどだし、HOW I ROLLを始めとするBMX、各種ピストフレームやカーゴバイク、ロングテールバイクなど、そのバリエーションは限りなく豊富で、ボーダレスだ。

パーツにしても、ホイールやコンポーネントはもちろん、キャリアやバスケット、ピストやBMX用の各種アクセサリー、タウンユースで重宝しそうな、オシャレで可愛いバッグやアパレルもぎっしり。ショーケースで輝くクリス・キング、DIYで作ったと言う丸太のチェーンリングディスプレイ。木のぬくもりある広い店内は、まるで子供にとってのおもちゃ箱のような空間だ。

ふと壁際に目をやれば、白地に赤ラインの「Above Bike Store」ロゴ入り全日本チャンピオンジャージが目に止まる。関東のシクロクロッサーにはお馴染みの、元全日本ジュニア王者である織田聖選手もこのショップチームの出身。ストリートカルチャーだけに留まらない奥深さがここにはある。
木のぬくもりある広い店内。まるで子供にとってのおもちゃ箱のような空間が広がる
Above Bike Storeを盛り上げるスタッフの皆さん。中央は看板娘のカレンちゃん、一番奥がオーナーの須崎真也さん
どんなオーダーにも応えてくれるSwamp Thingsのカスタムペイント。完全に自分色の一台を組むことができる
ポップな雰囲気に入り混じるのは、少し青っぽい生のスチールと、ほのかに甘い塗料の匂い、そして奥様が淹れる美味しいコーヒーの香り。入り口左手には工作機械が詰め込まれたビルディングスペースがあって、その反対側にはエアブラシや無数の塗料缶が並ぶペイントスタジオ「Swamp Things」がある。そう、ここはフレームビルダーがいて、ペインターがいて、そしてメカニックがいる、自転車のことなら全てをまかなえる唯一無二のバイクショップだ。

2017年6月、オープン10周年を機に設けたばかりのビルディングスペースを任されているのは、気鋭のビルダー、高橋学さんだ。サイクルデザイン専門学校在学中から出色の作で注目されていた彼は、Above Bike Storeと同じ神奈川の工房「サイクルワークスムラヤマ(ストラトス)」で経験を積み、この場所に迎えられた。「まだまだ一人前には程遠いんですけどね」とはにかみながらも、その手先は時に須崎さんが驚くほど速く正確だという。

店内に並ぶ商品から分かるかもしれないが、もともと須崎さんが自転車にのめり込んだきっかけは、当時大ブームを巻き起こしていたピストカルチャーから。それまでいたアパレル業界から転身、何一つ事情が分からない中、スチールバイクを作る台湾の製造工場へと赴いて体当たり交渉し、自分の作りたいモノを形にしてしまったそう。

そこからオリジナルバイク「スティールエラ」のショールームとしてストアがオープンし、移転と拡大を経て現在の形に落ち着いた。時代に合わせて主力製品こそピストからギアードに変わったが、スチールというキーワードはオープン当時と変わらない。

ーなぜ今、「鉄」という素材にこだわるのか。

須崎さんは「ハンドメイドの自転車が、一番作り手と乗り手の距離が近いから」と言う。「ライダーの体格や好みに合わせて、1mm刻みでジオメトリーを決める。大手メーカーにできない尖ったものを作る。決して大量生産には向かないけれど、そこからブームが生まれ、大手が追随する様子をNAHBS(北米最大のハンドメイドバイクショー)で見てきました。でも、日本国内のビルダーってもはや絶滅危惧種で、スルーアクスルはもちろん、ディスクブレーキだって使えない工房が多いんです。だから他所に頼るのではなくて、自分で若いビルダーを育てながら、新しいカルチャーを芽生えさせることができたらいいな、と思いました」。
ショップオリジナルのMUDMAN。2017年6月からは高橋ビルダーによる「メイドイン・Above Bike Store」が始まった
フルオーダーバイクのビルディングを担う高橋さん。オリジナルエンドを制作するなど、その手腕が注目を集める
組み上げられたフレームは、Swamp thingsで好みのペイントを施されてオーナーの手に渡る
メインとなるオリジナルバイクは、シクロクロスの「MUDMAN(マッドマン)」と、シティライド用の「LROM(ロム)」の2種類。フルオーダーの場合フレームのベース価格は14万円で、ブレーキタイプやヘッドチューブ、エンド規格、パイプの種類や太さをカスタマイズするとアップチャージが掛かっていく。ここに塗装(2.5万円〜)とフォークを組み合わせれば、ペイント込みのフレームセットが手に届く。トータル価格のスタートラインは20万円台だ。

間違いのない一台を提供したい。それが須崎さんはじめAbove Bike Storeの思いだ。「パーツとのマッチング、パイプの性質がすごく大切。例えばフレームにしなりを持たすと乗り心地は良くなるけど、ブレーキの性能は落ちるといったことを、ユーザーさんとディスカッションしていくことが大事です」。

「申し訳ないけど、価格や性能ではマスプロには敵いません。だから若くて競技者として上を目指す方には別の物を薦めたこともありました。でも、マスプロの製品って、オンリーワンじゃないんですよね。Above Bike Storeにしかできないものって沢山あるし、それが僕らの強みだと信じている。そういった”ワクワクするもの”を集めていったら、こんなお店になったんですね」、と須崎さんはコーヒーをすすりながら言う。

ペインターのアキ”スワンプ”沼田さんが腕を振るうSwamp Thingsも、そんな思いが実ったものの一つと言えるだろう。お店で組み上げたフレームの化粧はもちろん、持ち込みオーダーにも丁寧に塗装を施してくれる。エアブラシや筆を使ったフリーハンドイラストも得意分野で、迷彩やクラックペイントといった特殊塗装まで、どんなオーダーにも応えてくれる。その妙技は素敵なムービーにまとめられているので、ぜひ確認してほしい。
シクロクロスジュニア全日本王者である織田聖選手を輩出している
ショールームに飾られたこだわりのハンドメイドバイクたち
オシャレは足元から。AthleticやMAAPなど、多数のソックスが揃う
Swamp thingsではどんな塗装もお手の物。オーナーの夢を叶えてくれる場所だ
ロードやシクロクロスのメンテナンスはもちろん、MTBのサスペンションなど油圧系パーツ、トラックバイクのチューニングや街乗りバイクのカスタマイズまで、幅広く、かつ深い知識でどんなオーダーにも応えることがAbove Bike Storeの強み。でもそれは、単なる新しいもの好きではなく、まだ芽が出たてのモノを積極的に触って紹介し、新しい自転車文化を花開かせたいという思いが根っこにある。

競技志向を押し出すのではなく、間口を広くとったフレンドリーなお店となることが、ストアの本願だ。来店するのはオーダーバイクを求めるコアなユーザーから、日常使いのカゴ付きシングルスピードバイクを乗る方まで、本当に幅広い。

良いものを紹介したいという思いは、Wicked(ウィキッド)と名付けたオリジナルホイールのリリースにも繋がっている。製造工場とのパイプを活かしたリーズナブルなオリジナルカーボンリムやハブも用意され、世田谷区のショップ「EFFECT」とコラボレーションしてマンパワーを増やし、定期メンテナンスも含む高品質なサービスを提供中だ。他にもカーボンMUDMANのリリースや、既存のショップツーリングを拡大したグルメライド、神奈川での草レースイベント開催など、実行に移していない面白いアイディアが山のようにあるという。

「ここ川崎がモノ作りの街だからかな(笑)」。ハンドメイドに没頭する理由について、須崎さんはそう答えた。「どうせなら、尖った楽しいもので遊びたいじゃないですか。わざわざお店に行く価値のあるモノを作りたいし、それってクルマやバイクじゃなくて、人力の乗り物で遊ぶ価値観と同じだと思うんですね」。

性能だけを追い求めるならば、大手のハイスペックバイクを選べばいい。でも自転車を趣味として楽しむんだから、あえて別の道を選ぶことだって自由だ。例えば大手パーツブランドがNAHBSで新製品を発表するなど、ハンドメイドの注目度が上がっている今だからこそ、Above Bike Storeの動きが面白い。

取材時も話を聞いているうちに、すっかりと時間が経ってしまった。思わず長居してしまう熱さと、穏やかな居心地の良さこそ、Above Bike Storeの魅力。一度興味を持たれた方は、積極的に更新されているショップブログで、一人一人に合わせて組み上げられたカスタムバイクたちを確認してほしい。ワクワクを裏切らない、たくさんのアイディアと経験、そして魅力に溢れたショップが二子新地にはある。
改装に当たってメカニックブースは奥に移動した。オーナーと対話をしながらバイクを組み上げることが大事、と須崎さん
ずらりとストックされるリム。リーズナブルでハイスペックのオリジナルリムも多数揃う
オーダーフレームの塗装済みセット価格は20万円台から。多種多様なカスタマイズが可能だ
扉向こうのペイントブースで黙々と作業をこなす沼田さん
店舗情報
郵便番号 
213-0002
住所 
神奈川県川崎市高津区二子1-25-18
営業時間 
12:00-20:00
定休日 
水曜日
TEL 
044-712-0074
ブログ更新情報
アクセス 
東急田園都市線 二子新地駅より徒歩5分。多摩川サイクリングロード至近
スタッフからのメッセージ
神奈川県川崎市、多摩川サイクリングロードから近くにあるABOVE BIKE STOREです。僕らが大切にしているのは、初心者の方々が満足できる商品やサービスをお届けすること。一人一人のスタイルに合わせた、気取らず、楽しい、自転車のある生活のお手伝いができればと思います。駆け込み需要も大歓迎。一緒に自転車を楽しみましょう。

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