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ミソノイサイクル有楽街店

浜松市内に3店舗を展開 創業120年の歴史を誇る日本最古の自転車店
2017年で創業120周年。おそらく日本国内、そして世界でも最古参のサイクルショップが静岡県浜松市に3店舗を展開するミソノイサイクルだ。

今回取材で訪れた有楽街店は浜松駅から徒歩およそ5分、市街中心地の商店街の一角にある。この地に店舗を構えてから長きに渡り、まさに浜松の、そして日本の自転車普及発展と共に歩んできた。

本店にあたる有楽街店は、一見すると一昔前ならどこでもあった「街の自転車屋さん」といった外観だ。店内も決して広かったり、美しいディスプレイが施されているわけでもない。しかし2階建ての販売スペースには欧州ロードバイクからクロスバイク、MTB、Birdyなどの小径車、ピストバイクなどおよそ200台の展示車とパーツがところ狭しと並べられている。

「実は、この有楽街店に明確なコンセプトはありません。何でもウェルカム、病院で言えば緊急外来のようなお店なんです。」と笑うのは、御園井商会の五代目を務める御園井智三郎社長。昔ながらの自転車店の雰囲気を色濃く残す有楽街店自体、およそ70年以上に渡り改築を続けてきたそうで、絶版となったバイクやパーツ、クラブチームのメンバーの古い写真など、店内にはミソノイの歴史を感じさせる品々が飾られている。「歴史と現在がごった煮状態ですよ(笑)」と智三郎さんは続ける。
数多くのブランド、車種を並べる。使用用途を相談すれば店員さんがおすすめを提案してくれる
スポーツバイク用品から市街で使いやすいモノまでパーツ&アクセサリーも豊富
浜松を愛し、「From浜松」にこだわるミソノイサイクルは、有楽街店の他、元城店としじみづか店という2店舗を近隣で展開している。「本店がどうしてもごちゃついてしまうので」という理由から、そのいずれの店舗ともにディスプレイにこだわり、"魅せる"プロショップとして展開している。

まだメーカーとショップの仲介を行う「国内販売代理店」制度が存在しなかった時代から、ミソノイサイクルでは海外ブランドと直に契約を行い、国内に海外製自転車を紹介してきた。例えばアレックス・モールトンを日本で初めて販売したのはここ、ミソノイサイクルだ。エディ・メルクス社ともとくべつなコネクションを持ち、ミソノイカラーの特別フレームを供給されていたエピソードも。

日本最古の120年という歴史を持つミソノイサイクル。そのモットーは、「自転車の本質」にこだわることだ。「自転車とは、人間の脚の力さえあれば、そのペースにあわせて進むことのできる乗りもの。飛行機やクルマとは違う、"時間の贅沢"を味わうことに楽しみや幸せを見いだすことこそが本質だと思います。」と智三郎さん。それを伝え広めることで、ヨーロッパのように自転車を文化として根付かせていきたいと言う。

実際にも浜松市と共に、自転車が走りやすい環境の整備に取り組んだり、イベントの企画・運営などを行ってきた。自身が興した浜松トライアスロンクラブは今や国内有数の大型クラブに成長し、浜名湖トライアスロンなどを主催するほどに育った。浜松周辺の自転車人口も増え続けているそうだ。ミソノイサイクルが運営に深くかかわるレンタル施設「はままつペダル」は自転車で浜名湖や浜松を訪ねる観光客に人気だ。

お店はクラブ活動の拠点でもある。実力、指導力とも全国トップレベルのロードレースチーム「ミソノイレーシングチーム」はやる気のある人なら誰でも歓迎。レースの基礎から教えてくれる。情報交換や仲間づくりを重視した「浜松トライアスロンクラブ」、幅広い年齢層の人とツーリングや健康づくりを楽しめる「浜松サイクリストクラブ」、MTBでのトレイル走行を教えてくれる「ミソノイワンダートレッククラブ」、小径車愛好者が集う「モールトン&ミニベロクラブ」など、様々なサイクリストが楽しく活動している。
日本最古の創業120年の歴史を感じさせる写真が店内に飾られる
2階踊り場フロアに展示されるピストやシクロクロスフレーム。様々なニーズに応える
2階アパレルフロアはレーシングからタウンまで対応する品揃えだ
2階の小径&フォールディングバイク展示コーナー
長い歴史の中で積み重ねてきた、メカニックに関する技術と経験もミソノイサイクルの大きな強みだろう。「ママチャリからDi2やEPSまで全てを理解できていないと自転車のプロとは言えない」とは智三郎さん。粗悪品の選別はもちろんあれど、値段の高い安いは関係ない。「困っている人がいる限り、プロとして助けなければならない。”できるできない”ではありません。やるんです。浜松人の気質”やらまいか”の精神です。」

昔は智三郎さん自身トップアマチュア選手として走り、如何に速く走るか、機材を切ったり削ったりして知識を身に付けてきた。その工夫はクロスバイクであっても肩幅に合わせてハンドルをカットしたり、ブレーキの握りしろを微妙に変えたりと、お客さん一人一人に対するこまめな整備・セッティングに活かされているそう。

取材当日にはガラスコーティングの依頼に応えるために、一度バイクをばらしてフレーム状態にしてコーティング作業を念入りに行う様子が伺えた。面倒がる様子はなし。「パーツを付けたままだと隅々まで作業できませんから。これで仕上がりが変わります」と笑う。また、新車で組むフレームを、自作の工具を用いて念入りにセンター出し作業を自ら行う姿も。「トップグレードの高級車であってもこの作業は欠かせませんね。組み上げ精度を追求してこそ走りに違いが出るのがロードレーサーですから」と話す。

他のショップなら断られる面倒な作業も喜んで受ける。「面倒な仕事はむしろ腕の見せ所ですから楽しいですよ」と笑う。「極端な話、どうしても付かないパーツは溶接したり、削ってでも付ける。そうした作業は、技術と信頼、経験に裏打ちされているからこそ可能となるんです」。
1階奥のメカニックスペースでは張り詰めた空気でバイク組みが行われている
フレームの精度を追求する御園井智三郎さん。高級レースバイク組み立てにかける情熱を感じる
一度バイクをばらしてフレーム状態にしてガラスコーティングを行う
ミソノイサイクルでは、どこで買ったどんな自転車の持ち込み修理でも全部引き受ける。ショップで嫌がられがちな、海外通販で購入した自転車の組み上げも受け付けも拒まない。ただし、自転車は生き物と捉えるミソノサイクルの理念は、基本的には自転車は通販で購入すべきではなく、人から人への手渡しでを大切にしている。

「断るのは簡単だが、それでお客様に嫌な思いをさせたく無い。自転車屋とはその程度のレベルなのか、と思われたく無いんです(智三郎さん)」。曰く、目指すのは高級アパレルブランドや、高級自動車ディーラー並みの品質管理とサービスだ。その理由は、魅力的で価値ある自転車の販売を、安売り量販店のようなレベルに落としてはならない、という気概にあるのだ。

智三郎さんはまた、全てをマニュアル化し、それに沿った整備を突き詰めるやり方にも疑問を投げかける。「基本マニュアルはもちろん大切ですが、技術は目で盗み、実際に触れることで覚えてほしいんです。だから、入ったばかりのスタッフに安易に作業を任せません。昔からそうでしたから。」と言う。今の時代では古い考え方かもしれないが、それが正しいか否かは、120年に渡る長い歴史に現れている。

今や3店舗展開を行うミソノイサイクルだが、ユーザーに対しては、くだけた意味で昔ながらの"商い"というスタンスをこれからも継続していきたいという。智三郎さんは「"自転車に乗っていて良かった"と思って頂けるよう、親身な立場でお手伝いができれば良いと思いますね。」と語ってくれた。長い歴史と、そこから生まれる技術と経験。そして昔ながらの親しみやすい雰囲気に溢れる信頼のプロショップだ。

最後に近隣の2店舗の簡単な紹介もしておこう。元城店はアレックスモールトンにブロンプトンなどのフォールディングバイク、高品位なタウンサイクルやクロモリバイク、そしてマニアックなパーツを揃える展開。2階フロアではフィッティングシステムも展開しており、他店舗でその必要が出た場合には元城店においてフィッティングを行っている。

2店から少し離れたしじみづか店は、スペシャライズド、スコット、アンカー、エディ・メルクス、コラテックなどの大手ブランド系のロードバイクやマヴィックやシマノのホイールなどを展開。ロードパーツやアクセサリー類も充実している。隣には創業120年の歴史を感じさせるコレクション館も併設しており、ヴィンテージコレクションの数々が閲覧可能だ。

もちろん3店舗は完全に連携しており、自分の欲しい車種や商品、サービスによってそれぞれの店舗を訪ねれば良い。アフターサービスもどの店舗でも共通して受けることが可能だ。
ミソノイサイクル元城店
高品質なタウン、フォールディング、クロモリ系自転車を集める元城店
ミソノイサイクルしじみづか店
スペシャライズド、スコット、アンカー、エディ・メルクスなどロードバイクを得意とするしじみづか店
店舗情報
郵便番号 
430-0933
住所 
静岡県浜松市中区鍛冶町320-27
定休日 
毎週水曜日
TEL 
053-454-7108
FAX 
053-454-7290
アクセス 
JR東海道線浜松駅、遠州鉄道新浜松駅より徒歩5分
スタッフからのメッセージ
中央が5代目社長を務める御園井智三郎さん
浜松市内に3店舗を構える弊社ですが、ここ有楽街店は何でもウェルカムというスタンスで営業しています。ロードレーサーはもちろん小径車、実用車まで、自転車に関することでお困りの際は是非一度お声がけをして頂きたいと思います。

レベルや目的に併せた5つのクラブチームがあり、ポタリング派から上を目指すレーサーまで、どんなニーズにも応えることができるはずです。気の合う仲間と走るのは本当に楽しいですよ。

ミソノイサイクル有楽街店