人気のメットから新たなるフラッグシップが登場した。「シンセシス」と名づけられたそのヘルメットは、ICE lite、GEL O2、HCS20という3つのパテントにより、圧倒的なクーリング性能を持っている。蒸し暑い日本の夏にも、最適のヘルメットだと言えるだろう。

シンセシスのサイドビュー。開口部が大きく、空気の流入・流出が良さそうなのがわかるシンセシスのサイドビュー。開口部が大きく、空気の流入・流出が良さそうなのがわかる
透明に見えるのがGEL O2マイクロパッド。11個配されている透明に見えるのがGEL O2マイクロパッド。11個配されている 3つのパテントを持つ最強の快適ヘルメット
イタリアのレーシングヘルメットメーカーであるメット社は、ヘルメット内のクーリングに積極的に取り組んできた会社だ。これまで“ファイアーボール”や“ストラディバリウス”、“ストラディバリウスII”などのプロユースヘルメットで培ってきたクーリング技術を土台として、メット社はまったく新しいクーリング機構を備えたフラッグシップモデル“シンセシス”を完成させた。

クーリングシステムをさらに向上させるために、シンセシスはICE lite、GEL O2、HCS20という3つのパテントを持っている。非常に薄く、向こう側が透けて見える透明なリブをエアインテークに配して、最大限の開口部を作り出すICE lite、発汗を抑制させるために取り付けられた11個のGEL O2マイクロパッド、そして、その小さいパッドのおかげで20%未満しかヘルメットと頭が接触しないというコンセプトのHCS20。これらが融合して、これまでにない圧倒的なクーリング性能を実現しているのである。


ストラップの通気性まで考慮されているストラップの通気性まで考慮されている 軽さも大きな魅力
メット・シンセシスはS/Mサイズで250g、Lサイズで305g(平均重量)という軽さも誇っている。これはレーシングヘルメットとしては最軽量の部類に属するもので、長時間のライディングでもヘルメットの重みで首が痛くなったりしない。当初はS/Mサイズで200gという超軽量を目指して製造される予定だったが、十分な安全性を確保するために各部の素材を改良し、最終的には上記の重量に落ち着いたという。ヘルメットの安全性は命にかかわる重要な部分なので、むやみに軽くすれば良いというわけではないのだ。


リクイガスも採用
創業以来、メットのヘルメットは超一流のプロチームに採用され続けている。2009年は昨年に引き続きイタリアの強豪プロチーム“リクイガス”がメットのヘルメットを被ってジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスを走る。もちろん、エースのイヴァン・バッソもメットの愛用者だ。

インプレライダー仲沢隆が、丸一日METシンセシスをテストしたインプレライダー仲沢隆が、丸一日METシンセシスをテストした photo:Makoto.AYANOインプレッション
幸いなことに、インプレッション当日は梅雨の合間の晴れ。日本独特の蒸し暑い天気となった。シンセシスのクーリング性能を試すには、絶好の天気だ。シンセシスを手に取ってみると、まずは誰もがそのルックスに驚かされるだろう。開口部が大きく、そして数多く取られており、また空気が通り抜けやすい配置になっていることが、見ただけでわかるのだ。さらに、リブが半透明になっていて、向こう側が透けて見えるのである。まあ、透けているからと言って涼しいわけではないのだが、見た目の清涼感があるのも間違いない。

被ってみて驚くのが、そのフィット感の良さだ。頭を圧迫感なくすっぽりと覆ってくれる感覚は、メットの最大の美点であると言えよう。バイクに乗って走り始めると、すぐに体中から汗が噴き出してきた。しかし、頭は快適そのもの。11個のGEL O2マイクロパッドがヘルメットと頭との間に溜まる熱を積極的に吸収・発散してくれるので、これまでヘルメットを被った時に必ず感じられた不快感がまったくないのだ。

フィッティングの調整機能も完璧だフィッティングの調整機能も完璧だ 丸一日、シンセシスを被ってみて、すっかりこのヘルメットが気に入ってしまった。気になる部分がなにもない。被っていてあまりにも快適なので、ヘルメットを被っていることを忘れてしまうくらいだ。これからますます暑くなってくると、シンセシスの真価がますます発揮されることになるだろう。まだ入荷量が少なく、売り切れになることも予想されるので、気になる人は早めに手に入れておくことをオススメしたい。

清涼感溢れるホワイトブルー清涼感溢れるホワイトブルー
MET SINETHESIS メット・シンセシス
価格:32,550円(税込み)
サイズ:S/M 52/57cm、L 58/61cmの2サイズ
カラー:レッド、ホワイト、ブラック、シルバー、ホワイトブルー、ホワイトレッド
平均重量:250g (S/Mサイズ)、305g(Lサイズ)


text:Takashi NAKAZAWA
photo:Makoto AYANO