クライマックスは雨。突然の大雨に見舞われたツール・ド・ポローニュ最後のゴールスプリントで23歳のジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)が勝利した。5秒のリードを守ったモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が総合優勝に輝いている。

ポーランド第3の都市クラクフを駆けるポーランド第3の都市クラクフを駆ける photo:tourdepologne.plポーランド南部、同国第3の都市(人口75万人)クラクフで第69回ツール・ド・ポローニュは閉幕を迎えた。

最終第7ステージは、クラクフの中心地と郊外をまたぐ5kmと12.4kmの周回コースを組み合わせた131.4kmの平坦コース。中間スプリントが18kmと101km地点に設定されている。

イエロージャージを着て周回コースをこなすモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)イエロージャージを着て周回コースをこなすモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:tourdepologne.plこの日はゼネク・スティバル(チェコ、オメガファーマ・クイックステップ)やフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)、ロバート・ワグナー(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)ら12名が序盤からエスケープ。タイム差は3分まで広がった。

総合争いの鍵を握るボーナスタイムが設定された中間スプリントは、いずれも逃げグループの選手が獲得。総合2位ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)に残された逆転のチャンスは、最後のゴールスプリントだけとなる。

大雨のなか繰り広げられたゴールスプリント大雨のなか繰り広げられたゴールスプリント photo:tourdepologne.pl脚が揃った強力な逃げグループは最後まで抵抗を見せるも、スプリンターチーム率いるメイン集団がこれを吸収。ラスト3kmから降り始めた大雨のなかゴールスプリントが繰り広げられ、チームスカイのコンビ(スウィフトとヘイマン)を下したデゲンコルブが勝利した。

ロンドン五輪に集中するためツール・ド・フランスを欠場し、このポーランドを走ったデゲンコルブ。2010年のU23ロード世界選手権で銀メダルを獲得した23歳が、今シーズン6勝目をマークした。

「昨年チームメイトの(マルセル)キッテルがここで勝ち、そして今年は僕が勝った。ゴール直前になって大雨が降ったけど、幸いなことに道は広くて危ないコーナーも無かった。今日のようなゴールのレイアウトは僕向き。抜群のリードアウトで好位置まで引き上げてくれたチームメイトに感謝だ」。

アルゴス・シマノは今シーズン15勝目。これは同じオランダ登録のUCIプロチームであるラボバンクとヴァカンソレイユ・DCMを上回る数字だ。

雨のゴールスプリントを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)雨のゴールスプリントを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:tourdepologne.pl

最終ステージを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)最終ステージを制したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ) photo:tourdepologne.plそして総合優勝はモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)の手に。地元ポーランドの期待を背負ったクヴィアトコウスキーは5秒差を挽回することが出来ず、総合2位に終わった。

「調子は良かったけど、まさか勝てるとは思っていなかった。第1ステージでの勝利が自信を与えてくれたんだ」と、モゼールは語る。

総合優勝に輝いたモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が美酒を振る総合優勝に輝いたモレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が美酒を振る photo:tourdepologne.pl弱冠21歳のモゼールは第1ステージで勝ち、一旦総合首位を明け渡しながらも、第6ステージで勝って首位奪回。チームに守られて1週間の闘いを終えた。「クヴィアトコウスキーにイエロージャージを奪われたけど、2つの山岳ステージで取り返すことが出来ると確信していたし、実際それを実行に移すことが出来た。昨日の時点でリードが僅かに5秒しかなかったので、決して気を抜くことなく、距離をカウントしながらゴールまで走った」。

タイムトライアル、山岳、そしてスプリントもこなすモゼール。チームメイトで、昨年の大会覇者ペーター・サガン(スロバキア)に並ぶ逸材として、今後注目すべき存在だ。「今はスーパーハッピーだ。プロ1年目で手にした初めてのメジャーレース勝利。この先もっと大きな成功を手にしたいと思うけど、深く胸に刻まれたツール・ド・ポローニュの思い出は一生消えることがないと思う」。

ゴールスプリントでルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン)のアシストを務めた宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)はステージ18位でゴール。「スプリンターのアイディス(クルオピス)のために前半から集団を引っ張り続けて仕事終了。オリンピックの調整&チームの仕事をこなすことが出来きた」と語る別府史之(オリカ・グリーンエッジ)は、終盤にバイクを降りている。

レース展開や選手コメントはストリーミング&レース公式サイトより。

ツール・ド・ポローニュ2012第7ステージ結果
1位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、アルゴス・シマノ)            2h50'32"
2位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)
3位 ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)
4位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)
5位 トッシュ・ファンデルサンド(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)
7位 アイディス・クルオピス(リトアニア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 フィリッポ・フォルティン(イタリア、チームタイプ1)
9位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・ティンコフバンク)
10位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
18位 宮澤崇史(日本、サクソバンク・ティンコフバンク)
DNF 別府史之(日本、オリカ・グリーンエッジ)

個人総合成績
1位 モレーノ・モゼール(イタリア、リクイガス・キャノンデール)       30h15'49"
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) +05"
3位 セルジオルイス・エナオモントーヤ(コロンビア、チームスカイ)         +16"
4位 アレクサンドル・コロブネフ(ロシア、カチューシャ)              +25"
5位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)          +28"
6位 リナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)         +29"
7位 ヨン・イサギーレ(スペイン、エウスカルテル)
8位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック・ニッサン)
9位 アレクサンドル・ジェニエ(フランス、アルゴス・シマノ)
10位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、チームスカイ)
147位 宮澤崇史(日本、サクソバンク・ティンコフバンク)           +1h14'59"

山岳賞
トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)

ポイント賞
ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)

チーム総合成績
チームスカイ

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, tourdepologne.pl