聖地アッシジに駆け上がるラスト4kmの攻防を制し、ジロ初優勝とマリアローザを獲得したロドリゲス。そして無名の22歳のオランダ人、トムイェルテ・スラグテル(ラボバンク)が驚きのパフォーマンスを見せた。

ジロで初のステージ優勝とマリアローザを獲得したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)

抜群の加速で他を引き離すホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)抜群の加速で他を引き離すホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferlaヴァレリオ・ピヴァ監督やチーム関係者、ジャーナリストからラスト200mまで気をつけろと言われていたんだ。それを知らなかったらもっと早くアタックを仕掛けたかもしれない。ラボバンクのクライマー(スラグテル)が加速を始めた時、「やっぱりヴァレリオの経験は大したもんだな」と思った。そしてゴール前200mまで待ったんだ。それが良かったね。
皆がレース前に僕のことを優勝候補と言っていたけど、勝つのはそれほど簡単じゃなかったよ。
僕はマリアローザを取った。今日何が変わる? 何も変わらないよ。僕とチームメイトはこのジロにまだプレッシャーを感じていなかったから、スタート前からリラックスしていた。この勝利はさらに自信をくれるね。
今日の勝利は僕とチームにとって重要だ。ジロでの勝利は、グランツールでまだ挙げたことがなかった勝利だから。
この先、このジャージを失うことになったとしても、今日僕は勝ったんだ。スーツケースに1枚のマリアローザを入れて持ち帰れるのは確かなんだ。

豪快にスプマンテを飲むホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)豪快にスプマンテを飲むホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferla今シーズンに入ってから目標は達成できている。ティレーノ(アドリアティコ)のステージ優勝と、フレーシュ・ワロンヌの勝利、そしてこのジロ。残りのジロにも自信がある。
このスポーツに生きているイタリアが好きだ。今朝、ビシオソと話したんだ。「このジロの一秒一秒を楽しもう。そして沿道に観戦に駆けつけたティフォージ(観客)たちに対して素晴らしい走りで応えよう」って。

スペインとイタリアは自転車レースではベストな歴史を誇るね。でもイタリアとスペインがビッグな勝利を争っていても、自転車レースは今日もっと国際化している。他の国の選手達も僕らを見習ってイタリアやスペインに住むようになった。

マリアローザをリスペクトして、一日でも長く着られるように走りたい。僕のゴールは総合優勝だ。最終週はとてもハードだ。それまではインテリジェントに走る必要がある。一日一日を大事に走っていく。それが総合を勝ち取る唯一の方法だと信じている。


6秒遅れでゴールし、マリアローザを失ったライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)6秒遅れでゴールし、マリアローザを失ったライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ) photo:Riccardo Scanferla6秒遅れの6位でフィニッシュ。マリアローザを失ったライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)

まだトップとは僅かなタイム差だから、大きな絵を描いているよ。最後の上りをうまく走れたことには満足している。もしボーナスタイムがなかったらマリアローザは僕が着ていた。他のライバルたちに対してタイムは失っていない。
上りでも調子は良かった。楽に走れたよ。まだミラノまでの道のりは遠い。第3週に向けて大きな希望を持っているよ。



アッシジの坂で驚きのパフォーマンスを見せたトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)

アッシジの登りで積極的に動くトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク)アッシジの登りで積極的に動くトムイェルテ・スラグテル(オランダ、ラボバンク) photo:Riccardo Scanferla僕はちょっと賢くなったかもしれない。こういうゴールだとはわかっていたけど、凄い選手たちと一緒にうまく走れたのは自分自身驚きだった。マーク・レンショーが登り始めまでベストポジションに引き上げてくれた。僕のポジションは理想的だった。脚がいい感じだったからトライしたんだ。そしてスカルポーニたちのグループが加速して僕を抜きさっていった。僕は学んだよ。

僕は、僕自身がこれほどいいとは思っていなかったよ。でなければもちろんそんなに早くアタックしない。2度目のアタックの時もまだ脚はいい調子だったんだ。でも最後にかけては僕の経験不足が良かった。前に出ていたから、道は狭くて、僕ら3人きりになったんだ。まだエネルギーは残っていたよ。そして僕の後ろについていたロドリゲスともう一度トライすることになった。今になってそれが一番賢いやり方じゃなかったことには気づいたけど、でもそのとき僕は昂ぶっていたんだ。結局、僕はロドリゲスの完璧なリードアウトマンになってしまった。だとしても、今とてもいい気分だ。これが自転車をやる理由だね。


コメントは現地取材、プレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。


text:Makoto.AYANO
photo:Kei.TSUJI,CorVos,Riccardo Scanferla