7人の先頭集団からラスト6kmで単独アタックを仕掛け、最終コーナーでクラッシュしながらもイーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が見事な逃げ切り勝利を挙げた。総合リーダーはガブロフスキーがキープしている。

クシャダスをスタートした124kmのショートステージ

クシャダスでレーススタートを待つ宮澤崇史(サクソバンク)クシャダスでレーススタートを待つ宮澤崇史(サクソバンク) photo:Sonoko.Tanakaトルコ南部のアランヤで開幕したツアー・オブ・ターキー2012。これまでの6ステージでレースは地中海に沿って西に移動し、第7ステージでその終着点、トルコ第3の都市のイズミルに到着する。レースはイスタンブール市街での第8ステージを残すが、周回コースを使うため、ラインレースは今日の第7ステージで最後となる。

牧草地を走り抜ける選手たちを羊飼いが見守る牧草地を走り抜ける選手たちを羊飼いが見守る photo:Sonoko.Tanaka美しい港街クシャダスをスタートし、最初に動きを作ったのはイーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)。トラック6日間レース、ヨーロッパチャンピオンの経歴をもつスペシャリストが単独でアタックを成功させ、そこに6選手が合流し、序盤に7選手の先頭集団が作られた。

7選手は協力しながら、後続からタイム差を少しづつ稼ぎ、45km地点で3分16秒をマークした。

しかし、先頭集団内のアンドレイ・ゼイツ(カザフスタン、アスタナ)とレースリーダーのイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)との差が3分46秒だったことから、タイム差はそれ以上開くことなく、リーダーチームを中心とした集団は計算しながら逃げ集団を追った。

単独で逃げるケイセが最終コーナーでスリップ

序盤から逃げるイーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)ら7選手序盤から逃げるイーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)ら7選手 photo:Sonoko.Tanaka残り10kmを切って、ゴールのあるイズミルの街に入ると、先頭と集団の差は1分を切る。追い風が吹いていたことも先行選手に味方し、残り6kmでケイセが再び単独でアタックを仕掛けた。後続をグングン引き離し、加速する集団も追いつかず、彼の逃げ切り優勝が濃厚と思われたその瞬間、ゴール前の最終コーナー、テクニカルなヘアピンカーブでケイセの前輪が勢いあまってスリップし、クラッシュするというアクシデントが発生した。

海岸沿いのアップダウンを進む選手たち海岸沿いのアップダウンを進む選手たち photo:Sonoko.Tanakaしかし、彼は冷静に外れたチェーンを直し、自分を信じて再びバイクに跨りゴールラインをめざした。そして後ろから強豪スプリンター率いる大集団が必死に追い上げるものの、あと一歩のところで追いつけず、5メートルほど先行する形でドラマチックな逃げ切りを決めた。

積極的にレースを動かしてステージ優勝を飾ったイーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)積極的にレースを動かしてステージ優勝を飾ったイーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Sonoko.Tanakaケイセは言う。「毎日、逃げに乗ろうとアタックをかけていたが、ようやくそれがうまくいき、一緒に逃げたメンバーも良かった。一生懸命力を合わせて逃げ切りをめざした。そして残り5kmで好調さを感じていたので、1人でアタックをかけた。勝つために充分なタイムギャップがあると思ったんだ。

先頭集団でゴールし、リーダージャージを守ったイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)先頭集団でゴールし、リーダージャージを守ったイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク) photo:Sonoko.Tanakaしかし、最後のカーブを注意しながら曲がったものの、バイクを柵に当ててクラッシュしてしまった。冷静さを保ちながら、外れたチェーンを直して、20メートルほど後ろに逃げ集団が迫っているのを見た。でも、自分はトラックレーサーでもある。スタンディングスタートからの1kmには自信があった。ゴールラインでの差は5メートルくらいだと思うけど、問題なく勝てる距離だった。

クラッシュしたときは、あまり多くのことを考えなかった。ただ誰も自分を抜かしていかなかったこと、そして、まだ勝てるチャンスが残されていると考えた。しかし、今日はラッキーだったとも思う。

ステージ優勝を嬉しく思っている。これまでチーム探しやいろいろなことに苦労してきた。今回の勝利で自分の人生の悪い部分を終わりにしたい。今日の勝利は、体調を崩した17ヶ月の息子と、看病をしながらテレビでレースを見ていた彼女に捧げたい。」

リーダージャージをほぼ手中にしたガブロフスキー

この日も総合リーダー、ガブロフスキーは先頭集団でゴールして無事にジャージを守った。明日のイスタンブールでの第最終ステージは、距離の短い平坦ステージのためおそらくゴールスプリントになるだろう。トルコ籍のチームにとって、夢のようなビッグタイトルがすぐそこまで迫ってきている。

宮澤崇史(サクソバンク)は、ゴールスプリントでチームのエース、フアンホセ・アエド(JJ)のアシストに徹した。「今日もキツいレースだった。残り3kmから集団前方のいい位置をキープしながらJJの横に付いて、最後の局面で彼を前に連れて行こうと思っていたが、うまく機能しなかった」と振り返る。残されたステージは1つ。集団スプリントが予想されるので、宮澤が担う役割は大きい。

ステージ優勝を挙げたイーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)ステージ優勝を挙げたイーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Sonoko.Tanakaイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)がリーダージャージを守り、ポディウムガールのキスに喜ぶイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)がリーダージャージを守り、ポディウムガールのキスに喜ぶ photo:Sonoko.Tanaka


選手たちは夜遅くにイズミルから空路でイスタンブールへと入り、関係者の一部はクルマで夜通し600kmの距離を移動している。最終ステージはトルコ最大都市イスタンブールで開催される121kmのサーキットレースとなる。


ツアー・オブ・ターキー2012 第7ステージ結果
1位 イーリョ・ケイセ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)2h52'38"
2位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)
3位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)
4位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)
5位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)
6位 ロバート・フェルスター(ドイツ、ユナイテッドヘルスケア)
22位 宮澤崇史(サクソバンク)

個人総合成績
1位 イヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)26h15'35"
2位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ) +01'33"
3位 ダニエル・アンドロフ(ブルガリア、カハルラル) +01'38"
4位 エイドリアン・パロマルス(スペイン、アンダルシア) +01'44"
5位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +02'01"
6位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1) +02'23"
121位 宮澤崇史(サクソバンク)+52'57"

ポイント賞
マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)

山岳賞
マルコ・バンディエラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)

ターキッシュビューティ賞
マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)

チーム総合成績
アスタナ

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