強風が吹き荒れる丘陵地帯でのタフなレースでサッシャ・モドロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が集団スプリントを制した。昨日のディコラードに続くコルナゴチーム2勝目。ジロ出場を目前にしたフレッシュなチームが勢いに乗る。

風車の連なるトルコの西部の丘陵地帯を行く選手たち風車の連なるトルコの西部の丘陵地帯を行く選手たち (c)Sonoko.Tanaka

観光名所になっているアポロ神殿横を通過する観光名所になっているアポロ神殿横を通過する (c)Sonoko.Tanaka総合逆転の可能性を残すタフなステージ

逃げ切りをめざす、マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)ら3選手逃げ切りをめざす、マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)ら3選手 (c)Sonoko.Tanakaボドルムからクシャダスまで、大会最長距離の179kmで開催された第6ステージ。途中2級山岳ポイントが設定されているが、これが大会を通して最後のもの。第6ステージを終えると、平坦基調のショートステージが2つ残されるだけとなる。つまり、総合順位逆転の可能性を唯一残すステージとなった。

太陽の光がたっぷりと注ぎ込まれたボドルムの港沿いからレースはスタートした。スタート直後に2選手をリタイアに追い込むクラッシュがあったものの、一行はボドルムを見下ろす丘を上り、そこから今日もアップダウンが連続する丘陵地帯へと入っていった。アップダウンに加えて、海沿いの道では強烈な横風が吹き付けるなかでのレース。

リーダーチームやアスタナが中心となりレースをコントロールリーダーチームやアスタナが中心となりレースをコントロール (c)Sonoko.Tanaka序盤から頻繁にアタックがかかったが、どれも決まらず、集団のまま54km地点の2級山岳を迎え、山岳賞で1位と同ポイントの2位であったマルコ・バンディエラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)が2位通過し3ポイント獲得。昨夜、監督からジロ・ディ・イタリアに出場できることを聞いたばかりという27歳のイタリア人が、山岳賞に輝いた。

3選手がアポロ神殿を横目に先行する

そして山岳ポイントを過ぎた下り区間で、ミカル・ゴラス(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)、マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)、フィリップ・ディグナン(アイルランド、ユナイテッドヘルスケア)の3選手が先行し、そこにレースリーダーのイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)、総合2位のアレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)らが追いつき、結果として総合トップ10選手のうち9選手が含まれる20人の先頭集団ができた。

補給を摂る宮澤崇史(サクソバンク)補給を摂る宮澤崇史(サクソバンク) (c)Sonoko.Tanakaその後、99km地点のアポロ神殿遺跡横のターキッシュビューティポイントを前に、ベルコフ、ゴラス、ディグナンが再び先行し、そのまま3人の逃げグループができたが、タイム差は思うように開かず、残り60km地点で2分というのが最大のものだった。

集団前方で走るポイント賞ジャージのマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)集団前方で走るポイント賞ジャージのマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ) (c)Sonoko.Tanakaそして残り50km地点で、第2ステージの勝者、大会通算成績7勝のアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がチームメイトのアンドリュー・フェン(サンダー・コーデル、ベルギー)ら4選手とともに集団から抜け出すが、先頭3人に追いつくことはなく残り20km地点で集団に戻る。そして逃げ続けていた3選手もゴールに向かい加速する集団に飲み込まれ、集団ゴールスプリントの体制となった。


今季初勝利を掴んだサッシャ・モドロ

ハイペースの先頭集団で走る宮澤崇史(サクソバンク)ハイペースの先頭集団で走る宮澤崇史(サクソバンク) (c)Sonoko.Tanakaしかし、丘陵地帯の激しいアタック合戦により先頭集団のペースは速く、テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)、アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ)、マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)、アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)ら有力スプリンターが後方に取り残されてしまっていたため、50人ほどの小さな集団でのスプリントとなった。

今季初勝利を挙げたサッシャ・モドロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)今季初勝利を挙げたサッシャ・モドロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) (c)Sonoko.Tanaka下り坂を抜けて、二番手のマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)にやや大きく差をつけてゴールラインに姿を見せたのはサッシャ・モドロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)。昨日に続くコルナゴ・CSFチームは大会2勝目を挙げた。そしてモドロにとって嬉しい今季初勝利だった。ゴールラインでは指を加えるポーズで見せたモドロ、この秋に子どもが生まれる予定だという。勝利を母になる妻に捧げた。

モドロは「最初はうまくチームが機能しなかったが、監督は自分たちを信じてくれていたし、最後にそれがうまく形に結びついたんだ。昨日と今日、そしてトレンティーノでの勝利。違うシチュエーションでの勝利は、これからのジロ・ディ・イタリアで、自分たちが真剣に勝負できることを示していると思う。

チームの若手選手と一緒にたくさんのレースを走り、トレーニングをし、リラックスする時間もともに過ごしている。だからジロにはこのメンバーで出場したい。自分たちは若いチームだけど、一緒に成長して、同じ将来を夢見ているんだ」とコメントする。


厳しいレースを終えた宮澤崇史(サクソバンク)厳しいレースを終えた宮澤崇史(サクソバンク) (c)Sonoko.Tanakaチーム内の評価が高まる宮澤崇史の働き

2位でフィニッシュしたのはこの日もゴス。「ミスターセカンド」との呼び声に苦笑いしながらも、新記録となる大会4回目の2位で表彰台に上がった。そして3位には第4ステージの勝者マーク・レンショーが続き、宮澤崇史(サクソバンク)がアシストするルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)が4位と続いた。

レース後に宮澤は「厳しいレースだった。最初は逃げに乗りたかったけど、なかなか逃げさせてくれなかった。しかし激しいアタック合戦で先頭集団に残れたことは良かったと思う。このことをチームは良く評価してくれている」と振り返る。残り2ステージもチームで団結してエースの勝利をめざすが、チャンスがあれば、やはり自身の勝ちを狙いたいと話す。

レースリーダーのガブロフスキーも先頭集団でゴール。ターコイズブルーのリーダージャージをほぼ確実なものとした。「ジャージを守ることができた。今日はとても熱く、もっとも厳しいステージだったように思う。多くの選手が今日が総合逆転を狙う最後のチャンスだと考えていたし、自分もそう思う。もし明日ジャージを守ることができたら、最終日の朝までグッスリ眠ることができるだろうね」とコメントする。

明日第7ステージは、クシャダスからイズミルまで124kmで開催され、ゴール後に飛行機で最終ステージが行われるイスタンブールへ移動する。

ステージ上位の表彰式ステージ上位の表彰式 (c)Sonoko.Tanakaポディウムガールのキスに満面の笑みを見せるイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)ポディウムガールのキスに満面の笑みを見せるイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク) (c)Sonoko.Tanaka


ツアー・オブ・ターキー2012 第6ステージ結果
1位 サッシャ・モドロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) 4h34'00"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)
3位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)
4位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
5位 アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)
6位 ラファエル・アンドリアーロ(ファルネーゼヴィーニ、ブラジル)
31位 宮澤崇史(サクソバンク)

個人総合成績
1位 イヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)23h22'57""
2位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ) +01'33"
3位 ダニエル・アンドロフ(ブルガリア、カハルラル) +01'38"
4位 エイドリアン・パロマルス(スペイン、アンダルシア) +01'44"
5位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +02'01"
6位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1) +02'23"
125位 宮澤崇史(サクソバンク)+52'57"

ポイント賞
マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)

山岳賞
マルコ・バンディエラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)

ターキッシュビューティ賞
マキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)

チーム総合成績
アスタナ


photo & text : Sonoko.Tanaka

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