距離は短いながらアップダウンを繰り返すハードなレースとなった第4ステージ。今季ラボバンクに移籍したマーク・レンショー(ラボバンク)がマシュー・ゴス(グリーンエッジ)をゴールスプリントで下した。

奇しくもオーストラリアの戦争追悼日に、元チームメイトのオージー2人がワンツーフィニッシュを飾った。

コース脇にモスクを多く見かけるトルコの道を行くコース脇にモスクを多く見かけるトルコの道を行く (c)Sonoko.Tanaka

予想外の厳しいコースで繰り広げられた第4ステージ

フェトヒイェからマルマリスまでの132kmで開催された第4ステージ。昨日、山岳でのクイーンステージを終え、今日は午後からスタートする距離の短いステージだったため、穏やかなリゾート地フェトヒイェでレース準備をする選手たちからはリラックスした雰囲気が漂う。

あくびをしながらスタートを待つマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)あくびをしながらスタートを待つマシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ) (c)Sonoko.Tanakaスタート前にコースについて監督と話をする宮澤崇史(サクソバンク)スタート前にコースについて監督と話をする宮澤崇史(サクソバンク) (c)Sonoko.Tanaka


ツアー・オブ・ターキー第4ステージがスタートツアー・オブ・ターキー第4ステージがスタート (c)Sonoko.Tanakaしかしレースがスタートするとその雰囲気は一変。スタート直後から厳しいアップダウンが繰り返される丘陵地帯でのレースとなった。
レースリーダーのイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)は「ハードなステージだった。とくに最初の30kmはロードブックから予想していたものよりもハードで、リーダージャージを守る自分たちチームにとっては、油断ができないナーバスなものだった」と振り返る。

登坂区間を越える選手たち登坂区間を越える選手たち (c)Sonoko.Tanakaその言葉のとおり、36.8km地点に2級山岳ポイントが設定されていたが、スタート直後からその登坂区間にも負けないくらいタフな坂道が何度も選手たちの目の前に現れた。そのなかで、総合順位の逆転を狙うアスタナやカチューシャらが果敢に動いた。

子どもたちが大歓声で選手たちを見送る子どもたちが大歓声で選手たちを見送る (c)Sonoko.Tanaka2級山岳の山頂を前にマキシム・ベルコフ(ロシア、カチューシャ)が先行し、単独で山頂を通過、2番手に山岳賞ジャージを繰り上がりで着るマルコ・バンディエラ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)が続き、獲得ポイントにより首位のガブロフスキーと並ぶ。

集団内で走る宮澤崇史(サクソバンク)集団内で走る宮澤崇史(サクソバンク) (c)Sonoko.Tanakaその後の下り区間でアッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)、アッサン・バザイエフ(ロシア、カチューシャ)、ディエゴ・カッシア(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)の3選手によるアタックが決まった。そしてそこにカチューシャのエース、ウラディミール・グセフ(ロシア)も合流し、最大で2分50秒のタイム差を稼いだが、残り12km地点で集団に吸収された。

マーク・レンショーが僅差のスプリントを制す

丘陵地帯でのハイスピードな展開により、何人かのスプリンターは先頭集団から振るい落とされてしまったが、マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)、マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)はしっかりと集団のなかに身を潜めて勝負のときを待っていた。そして、下り区間が終わってすぐに始まるカーブが連続するテクニカルなゴールに、2人のオーストラリア人スプリンターが僅差で飛び込んだ。

アップダウンを繰り返した第4ステージアップダウンを繰り返した第4ステージ (c)Sonoko.Tanaka写真判定のすえ、レンショーが今季初勝利を挙げ、オーストラリア人による1、2フィニッシュとなった。オーストラリアにとって4月25日はANZACデイと呼ばれ、第1次世界大戦の追悼日となっている。ゴール後にレンショーは「今日はオーストラリア人にとって特別な日。この日に勝てたことを誇りに思う」とコメントする。

僅差のゴールスプリントをマーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)が制す僅差のゴールスプリントをマーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)が制す (c)Sonoko.Tanakaその一方で、昨シーズンまでマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)の牽引役を務めてきたレンショー。今季はカヴェンディッシュとのコンビを解消し、新チームに移籍した。そして待ち焦がれたエーススプリンターとしての勝利を挙げた。

「この数週間、ずっとこの日を追い求めていた。今日は勝つためにとてもハードなものとなったが、素晴らしいフィールドで勝てたことをとても嬉しく思っている。最後がとても難しいゴールになるということを知っていたし、今日は向かい風で集団のスピードがさほど上がらなかったことも味方した。

これまではカヴェンディッシュのための牽引役だったけど、いまはテオ・ボスとともにチームのスプリンターなんだ。このあとのジロ・ディ・イタリアが今季最初の大きな目標レースになっている」とコメント。


リーダーのガブロフスキーも先頭と同タイムでフィニッシュ

タイム差なしの先頭集団でフィニッシュしたイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)タイム差なしの先頭集団でフィニッシュしたイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク) (c)Sonoko.Tanakaレースリーダーのイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)は先頭集団内でゴールし、総合首位を守った。「登坂区間ではほとんどのアタックに反応した。なぜならアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)ら、危険な選手が含まれていたから。今日のレースで、自分がどれだけジャージをキープしたいかを示すことができたと思う。トルコ中の期待を背負っているし、またそれが支えになっているんだ」と話す。

宮澤崇史(サクソバンク)は先頭集団から大きく遅れてゴール。「チームオーダーは最後の上りで前に残り、スプリント勝負でJJ(フアンホセ・アエド)もしくはセバスチャンのアシスト。前半はパワーをキープして、後半に備える動きでゆっくりと上っていた。しかし、思いのほか、みんな昨日の疲れが残っており、集団が分裂。そのまま後ろに残ってしまった。あわてて前を追うも、下りで離れてしまいグルペットになってしまった」と振り返る。

コンディションはいたって好調、チーム内の連係や雰囲気もとても良いと言う宮澤。チーム一丸となりエースの勝利をめざすが、そのなかでチャンスを見いだし、自身の勝利も貪欲に狙っていきたいと話す。明日第4ステージは、マルマリスからトゥルグトレイスまで、178kmで開催される。

ステージ上位選手の表彰式ステージ上位選手の表彰式 (c)Sonoko.Tanaka山岳賞もキープしたイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)山岳賞もキープしたイヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク) (c)Sonoko.Tanaka

ツアー・オブ・ターキー2012 第4ステージ結果
1位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)3h14'01"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)
3位 ダニエル・コッリ(イタリア、タイプ1)
4位 ボイ・ファンポーペル(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)
5位 ダビデ・ヴィガーノ(イタリア、ランプレISD)
6位 アレクセイ・ツァテヴィツク(ロシア、カチューシャ)
153位 宮澤崇史(サクソバンク)+21'40"

個人総合成績
1位 イヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)13h57'05"
2位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ) +01'33"
3位 ダニエル・アンドロフ(ブルガリア、カハルラル) +01'38"
4位 エイドリアン・パロマルス(スペイン、アンダルシア) +01'44"
5位 ロメン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼル) +02'01"
6位 アレクサンドル・エフィムキン(ロシア、タイプ1) +02'23"
153位 宮澤崇史(サクソバンク)+52'57"

ポイント賞
マシュー・ゴス(オーストラリア、グリーンエッジ)

山岳賞
イヴァイロ・ガブロフスキー(ブルガリア、コンヤ・トルク)

ターキッシュビューティ賞
マッテオ・フェディ(イタリア、ユナイテッドヘルスケア)

チーム総合成績
アスタナ


photo & text : Sonoko.Tanaka

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