第100回記念大会となるシュヘルデプライスはゴール前5㎞で降りだした雨のなかの危険なスプリントとなり、マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)が制した。

アントワープをスタートしていく選手たちアントワープをスタートしていく選手たち (c)Makoto.AYANO

ショーテンの街をスタートしていくショーテンの街をスタートしていく (c)Makoto.AYANOロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに挟まれた水曜に開催されるシュヘルデプライス。今大会が100回目の開催という記念大会だ。石畳の激坂に特徴づけられる北のクラシックにあって、平坦基調のスプリンターのためのセミクラシックだ。今年で開催100回という、ベルギークラシックの中では最も古い歴史を持つ格式のレースだ。

新スポンサーのついたジャージで走るアルゴス・シマノ新スポンサーのついたジャージで走るアルゴス・シマノ (c)Makoto.AYANO拠点となるのはアントワープ近郊の街ショーテン。距離は約202㎞と短めで、ゴール地点近郊の16.4㎞の周回コースを3周する。この周回コース内には1.7㎞のパヴェ区間を含む。平坦スプリンター系の選手が常に勝つレースだが、選手たちの多くはパヴェ対策を施したバイクで走る。パリ〜ルーベに出場するチームと選手にとってはバイクの最終調整とコンディショニングの意味合いが強い。

過去この大会を3回制しているディフェンディングチャンピオンのマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)は、子供の誕生に備えて出場しないことをあらかじめ宣言していた。そしてこのレースの前日に赤ちゃんを授かったという。世界最速の男は出場しないが、アンドレ・グライペルやタイラー・ファラー、そしてロンドを制したばかりのトム・ボーネンなどトップスプリンターたちが顔を揃える。

逃げる7人の先頭グループ逃げる7人の先頭グループ (c)Makoto.AYANOこの日は一日雨がちな天気予報が出ていたが、ベルギーらしい寒々とした曇り空のなかレースはスタート。いきなり50㎞オーバーの展開に集団が長く伸びる。30分近くのアタックの掛け合いの後、7人の逃げが決まる。差は一気に7分に。

列車の通過で集団が足止めされる列車の通過で集団が足止めされる (c)Makoto.AYANO逃げた7人:ダヴィ・ブシェー(フランス、FDJ)、ケヴィン・フルスマンス(イタリア、ファルネーゼヴィー二)、ケヴィン・クレーイス(ベルギー、ランドバウクレジット)、ケヴィン・ファンメルセン(ベルギー、アクセントジョブス)、サイモン・ランバート(スパイダーテック)、スヴェン・ヴァンドゥセラーレ(ベルギー、トップスポーツ)、ウー・キンサン(香港、チャンピオンシステム)

逃げる7人とメイン集団は淡々と距離を稼ぐ。冷え込むため、選手たちは次々と路肩に停まって用を足しては集団に戻ることを繰り返す。
途中、メイン集団が列車の通過する踏切でストップさせられるハプニングがあった。

コース後半に現れる整った石畳コース後半に現れる整った石畳 (c)Makoto.AYANOレースが始まったのはショーテンの周回コースに入ってから。ロンド覇者ボーネンが集団の前に出て引き出す。同時に雨の降り始める気配を感じはじめた、オメガ・ファーマクイックステップの選手たち全員が集団前方に集結し、猛烈な勢いでペースを上げ始めた。

雨が降り始め、路面が濡れると急に滑りやすくなる。ベルギーは3週間ほど雨が降らない日が続き、その後の雨だけに余計に滑りやすい。そして周回コースは曲がりくねっている。そのため、次々と落車が起こった。

ボーネンとオメガファーマ・クイックステップ勢がペースを上げるボーネンとオメガファーマ・クイックステップ勢がペースを上げる (c)Makoto.AYANOボーネンはパリ〜ルーベでの勝利に焦点を絞っているため、このレースは練習に過ぎない。チームメイトのスプリンター、フランチェスコ・キッキのためのアシストとして、また集団前方にいることで落車の危険を避けるためのペース維持だ。

逃げる7人から単独抜けだして粘ったフルスマンスも集団に吸収され、ゴールスプリントへ。
雨の降りが強くなった中フルスピードでのゴールスプリントを制したのはマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)。新スポンサーにアルゴスを迎え、新ジャージで臨んだレースでの初勝利となった。2位に2010年覇者タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)、3位にテオ・ボス(オランダ、ラボバンク)。

そしてゴールスプリントの最中に、集団前方でスリップ落車が発生。ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソバンク)を含む数人の選手がゴールラインを越えてから絡みあいながら路上を滑った。アウト側に流れたキャントウェルらがカメラマンの列に突っ込み、構えていた女性記者を巻き添えにしてしまった。負傷した女性記者は病院に搬送された。

雨の中の横一線のスプリントはマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)が制する雨の中の横一線のスプリントはマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)が制する (c)Makoto.AYANO
落車で路面に転がったジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソバンク)落車で路面に転がったジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソバンク) (c)Makoto.AYANO

優勝したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)のコメント

「ゴール前はラボバンクの選手の後ろについていたんだ。そしてファラーが僕の右から抜いていった。ゴールまで300か250m前まで彼の後ろについた。風が強かったけどスプリントを開始したんだ。テオ・ボス、ファラーと僕がフィニッシュラインを争った。

100回記念大会に勝つことができて嬉しい。そして新スポンサーのジャージを着ての勝利だから、いいアピールになった。
優勝したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)2位タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) 3位テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)優勝したマルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ)2位タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) 3位テオ・ボス(オランダ、ラボバンク) (c)Makoto.AYANOレース最後のほうは落車が次々と起こって慌ただしかった。雨がレースを難しくした。落車を避けるためには前の方にいなくてはならなかった。

カヴェンディッシュとレースすることを楽しみにしていたから、彼が出場出来なかったのはちょっとした失望だった。でもそれは家に居る良い理由だと思う。

もし今年ツール・ド・フランスに出れたらステージ優勝を狙いたい。ツールには出れそうなサインがあるけれど、公式発表はまだ何もないから招待を待つよ。オリンピックの事も考えてはいる。もちろんそれは大きなゴールではあるけれど、まずはツール・ド・フランス。出場できればそれがシーズン最大のゴールになる」。

キッテルは少しの間休養を取り、次の目標であるツアー・オブ・ターキーに出場する。


シュヘルデプライス2012結果
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、アルゴス・シマノ) 4:30:52
2位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)
3位 テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)
4位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユDCM) 
5位 マヌエル。べレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
6位 エリア・ファヴィッリ(イタリア、ファルネーゼヴィニ) 
7位 アレクサンダー・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
8位 セバスチャン・チュルゴー(フランス、ユーロップカー)
9位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
10位 ギヨーム・ボワバン(カナダ、スパイダーテック)
 
photo&text:Makoto.AYANO in Belgium

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