桃園縣で開催された第3ステージはアンソニー・ジャコーポが1級山岳での山頂ゴールを制し、ステージ2勝目を挙げた。山岳で26秒遅れた宮澤崇史は総合6位に後退。リース・ポロックが総合リーダーとなった。

強風の中開催された第3ステージ

桃園縣政府から第3ステージがスタート桃園縣政府から第3ステージがスタート photo:Sonoko.TANAKA台北国際空港のある桃園で開催された第3ステージ。後半に1級山岳が2つ連続し、2つ目の山頂がゴールに設定されたコースだった。天候は昨日までのステージに引き続き、肌寒い曇り空。さらに車両ですらハンドルを取られるほどの強風下でのレースとなった。

市内でのニュートラル走行を終えると、最初のホットスポットに向けて海沿いの道を南西方向に進む。強烈な追い風を受けて、頻繁にアタックがかかるがどれも決まらず。迎えたホットスポットは集団から総合リーダーの宮澤崇史(サクソバンク)ら4選手が抜け出し、宮澤は2位通過でボーナスタイムを稼ぐ。

桃園市内を抜ける選手たち桃園市内を抜ける選手たち photo:Sonoko.TANAKA

福島晋一を含む2選手が約70km逃げる


逃げて走る福島晋一(トレンガヌ)逃げて走る福島晋一(トレンガヌ) photo:Sonoko.TANAKAその後、集団は東に向きを変えると、今度は強烈な横風となった。そして44km地点で、福島晋一(トレンガヌ)とリー・ロジャース(イギリス、RTSレーシング)の逃げが決まり、あっと言う間に集団との距離は大きく広がり、最大タイム差4分36秒をマーク。また2人を追って、ポイント賞ジャージを着るフェン・チュンカイ(台湾、アクション)が単独で追走。1級山岳を3位通過し、ポイント賞だけでなく、山岳賞でもトップに立った。

福島は「アタック合戦が終わりそうなころ、近くにいたイラン人選手に『行けよ!』と言われて、じゃぁ…と思ってアタックをかけたら、それが決まったんです」と台湾名物「ビンロウ」屋の前を通過する選手たち台湾名物「ビンロウ」屋の前を通過する選手たち photo:Sonoko.TANAKA話す。ゴール30km手前で3分、20km手前で2分のタイムギャップを奪ったが、残り10km、山頂ゴールへ向かう登坂区間で集団に吸収された。

「ノーマルホイールで走ったが、最後の山岳はさほどキツくなかったので、ディープホイールで走った方がよかったかもしれない。今日は捕まってしまったが、いい練習になったので、また明日からチャンスを狙っていきたいと思います」と笑顔で話す。明日第4ステージは、昨年、福島晋一が90kmほどを単独で逃げ切り、優勝したステージと同じコース。同じ展開になることはないだろうが、40歳の気迫溢れる走りに期待が高まる。

ジャコーポがステージ2勝目を挙げる

31人の集団からアンソニー・ジャコーポ(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ)が先頭でゴール31人の集団からアンソニー・ジャコーポ(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ)が先頭でゴール photo:Sonoko.TANAKA1つになった集団は山頂ゴールに向けて、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズを中心にして加速。最後は31人に絞られた先頭集団でのスプリントとなり、アンソニー・ジャコーポ(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ)が第1ステージ、台北でのクリテリウムに続く、ステージ2勝目を挙げた。

総合リーダーは先頭と同タイムでフィニッシュしたリース・ポロック(オーストラリア、ドラパック)に移った。ポロックは「イエロージャージをキープできるとは思っていない。去年ツール・ド・台湾でステージ2勝したチームメイトのアダム・センプル(オーストラリア)は現在総合15位、彼のほうが可能性を秘めていると思う」とコメイエロージャージを失ってしまった宮澤崇史(サクソバンク)イエロージャージを失ってしまった宮澤崇史(サクソバンク) photo:Sonoko.TANAKAント。宮澤崇史は26秒差の35位でゴールし、惜しくも総合順位を18秒差の6位に下げた。

西谷泰治は総合4位、日本ナショナルチームは2位に

一方で、先頭集団に残った西谷泰治が6秒差の総合4位に浮上。西谷は「残り20kmで前との差が2分あったのはマズいと思い、中尾圭祐くんや早川朋宏くんに前を牽いてもらった。彼らの働きがあって逃げている2人を無事に吸収、日本ナショナルチームは目標どおり、3人(西谷、畑中、山本)が先頭に残ることができました」とコメントする。

レース後に笑顔を見せる中尾圭祐(日本ナショナル)レース後に笑顔を見せる中尾圭祐(日本ナショナル) photo:Sonoko.TANAKA順天堂大学に通う中尾はレース後に「キツかったけど、初めて“アシスト”の仕事ができたステージでした。大学のレースでは、このようなチームプレイをする機会はほとんどありません。国際レースで、貴重な経験を積むことができています」と話す。UCIポイントを稼ぎたいベテラン選手と、経験を積みたい若手選手で構成されている今回の日本ナショナルチーム。現在、チーム総合成績2位に付けている。「できるだけ多くのステージ優勝を挙げたい」と高橋松吉監督は話すが、後半にかけて、彼らの活躍も注目していきたい。

クイーンステージを終えて、総合トップ5が10秒以内、そして31人が1分以内にひしめいている。明日第4ステージは台湾第2の都市、台中で1級山岳を含む111.22kmで開催される。レースは折り返しを迎えるが、まだ総合優勝の行方は見えない。



ツール・ド・台湾2012第3ステージ結果
1位 アンソニー・ジャコーポ(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ)3h11'06"
2位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
3位 ホセイン・ナタギ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)
4位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソバンク)
5位 ベン・グレンダ(オーストラリア、ラファ・コンドール)
6位 アディク・オスマン(マレーシア、チャンピオンシステム)
16位 山本元喜(日本ナショナル)
21位 西谷泰治(日本ナショナル)
25位 畑中勇介(日本ナショナル)
35位 宮澤崇史(サクソバンク) +0'26"
50位 早川朋宏(日本ナショナル) +0'48"
56位 中尾圭祐(日本ナショナル)+01'17"
77位 福島晋一(トレンガヌ)+04'33"

個人総合成績
1位 リース・ポロック(オーストラリア、ドラパック)7h17'01"
2位 ワン・カンポー(香港、香港ナショナル)
3位 デック・ミューラー(ドイツ、ニュートリクション) +0'04"
4位 西谷泰治(日本ナショナル) +0'06"
5位 フローリス・ゴーシネン(オランダ、ドラパック)
6位 宮澤崇史(サクソバンク) +0'18"
10位 山本元喜(日本ナショナル)+0'51"
28位 畑中勇介(日本ナショナル)+0'52"
54位 早川朋宏(日本ナショナル)+3'39"
58位 中尾圭祐(日本ナショナル)+4'08"
69位 福島晋一(トレンガヌ)+6'51"

ポイント賞

フェン・チュンカイ(台湾、アクション)

山岳賞
フェン・チュンカイ(台湾、アクション)

アジアンリーダー
ワン・カンポー(香港、香港ナショナル)

チーム総合成績
ドラパック


photo&text:Sonoko.Tanaka