1月15日のダウンアンダー・クラシックを皮切りに、第14回ツアー・ダウンアンダー(UCIワールドツアー)が動き出す。注目は何と言ってもデビュー戦を迎える地元オーストラリアのグリーンエッジ。宮澤崇史(チームサクソバンク)も出場する真夏のオーストラリア決戦の注目選手をチェックしておこう。

オーストラリア選手権を制したサイモン・ジェランス(グリーンエッジ)オーストラリア選手権を制したサイモン・ジェランス(グリーンエッジ) photo:Cycling Australia出場するのは18のUCIプロチームと、実質的なオーストラリアナショナルチームのUniSAオーストラリア。どのチームもスプリンターを中心に据えたメンバー編成でツアー・ダウンアンダーに挑む。

1チームのメンバーは、他のステージレースよりも少ない7名。そのためチーム力で集団を抑え込むような戦略は取りにくい。

グリーンエッジのエーススプリンターを務めるマシュー・ゴス(オーストラリア)グリーンエッジのエーススプリンターを務めるマシュー・ゴス(オーストラリア) photo:Kei Tsuji今年の注目は何と言ってもグリーンエッジだ。オーストラリア初のUCIプロチームが、オーストラリアのUCIワールドツアーレースでデビューする。厳密に言えば1月上旬に開催されたオーストラリア選手権でデビューしているが、正式ジャージでのレース出場はツアー・ダウンアンダーが初となる。

当然のように全員オーストラリア人選手で固めたグリーンエッジのモチベーションは高い。全員がエースと言っても過言ではないような布陣でアデレードに乗り込む。

2008年と2010年の大会覇者アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)2008年と2010年の大会覇者アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsuji総合争いにおけるエースは、2006年大会の覇者でオーストラリア選手権ロードを制したばかりのサイモン・ジェランス(オーストラリア)と、2011年大会の覇者キャメロン・マイヤー(オーストラリア)。オールドウィランガヒルではこの2人が積極的に動いてくるだろう。

平坦ステージではマシュー・ゴス(オーストラリア)、ロビー・マキュアン(オーストラリア)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア)、リー・ハワード(オーストラリア)という鉄壁のスプリンター勢が優勝を狙う。

総合優勝候補の一角エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)総合優勝候補の一角エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Cor Vos注目を集めていたアデレード出身のジャック・ボブリッジ(オーストラリア)は、オーストラリア選手権TTの落車で手首を痛めたため欠場。代わりにオーストラリアTTチャンピオン、ならびにU23世界TTチャンピオンのルーク・ダーブリッジ(オーストラリア)が出場メンバーに加わった。北半球と季節が逆という土地柄、オーストラリア人選手のコンディションが全体的に高いこともグリーンエッジに追い風だ。

総合争いの観点で言えば、ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)やルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)、マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームスカイ)、マシュー・ロイド(オーストラリア、ランプレ・ISD)らの名前が候補に挙がる。

アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Kei Tsuji出場停止処分を終え、モビスターチームで久々にレースに復帰するアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)にも注目。また、ジャパンカップ覇者のネイサン・ハース(オーストラリア)は、ヘジダルとともにガーミン・バラクーダを率いる存在だ。

2008年と2010年の総合優勝者アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)は、装い新たにスタートしたロットチームのエーススプリンター。このダウンアンダーと実に相性が良く、これまでステージ通算8勝を飾っている。

モビスターチームで復帰したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)モビスターチームで復帰したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン) photo:Kei Tsujiマイケル・マシューズ(オーストラリア)、マーク・レンショー(オーストラリア)、グレーム・ブラウン(オーストラリア)というラボバンクのオージースプリンタートリオにも注目。新加入レンショーのリードアウトは果たして機能するのか?

チームスカイはエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー)やクリストファー・サットン(オーストラリア)、ジェレイント・トーマス(イギリス)らを揃えており、こちらもスピードでは負けていない。「登れるスプリンター」のボアッソンは総合優勝も狙える脚質だ。

宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)宮澤崇史(日本、チームサクソバンク) photo:Kei Tsujiイタリアからはアレッサンドロ・ペタッキ(ランプレ・ISD)やダニエーレ・ベンナーティ(レディオシャック・ニッサン)らが、そしてスペインからはオスカル・フレイレ(カチューシャ)やホセホアキン・ロハス(モビスター)らが参戦。その他にもロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)やゲラルド・チオレック(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)らが参戦する。シーズン初戦から実に豪華な顔ぶれが揃っている。

大会の歴史上、最も多く総合優勝者を輩出しているのは意外にもアージェードゥーゼル(2000年、2003年、2006年、2007年)。今年は2007年大会覇者のマルティン・エルミガー(スイス)を中心に、昨年ブエルタ・ア・エスパーニャでモンクティエと山岳争いを繰り広げた(山岳賞2位)マッテオ・モンタグーティ(イタリア)や、2010年ジロでステージ優勝を飾った新加入マヌエル・ベレッティ(イタリア)らが出場する。

そして、デンマークのチームサクソバンクに移籍した宮澤崇史が早くもこのダウンアンダーでデビューする。新デザインのブルージャージに身を包む宮澤は、スプリンターのジョナサン・キャントウェル(オーストラリア)とともにスプリントに絡むだろう。昨年山岳賞を獲得した地元アデレード出身のルーク・ロバーツ(オーストラリア)もチームメイトだ。

オーストラリア人選手を集めたUniSAオーストラリアは、毎年熱い走りでレースを盛り上げる。今年は初代ジャパンカップ・クリテリウム覇者のトム・パルマー(オーストラリア)と第2代ジャパンカップ・クリテリウム覇者スティール・ヴォンホフ(オーストラリア)らが出場。オーストラリア選手権のU23カテゴリーでダブルタイトル(ロード&TT)を獲得したローハン・デニス(オーストラリア)も顔を揃えており、さながらU23オーストラリアナショナルチームと言った様子だ。

歴代ツアー・ダウンアンダー総合優勝者
2011年 キャメロン・マイヤー(オーストラリア)
2010年 アンドレ・グライペル(ドイツ)
2009年 アラン・デーヴィス(オーストラリア)
2008年 アンドレ・グライペル(ドイツ)
2007年 マルティン・エルミガー(スイス)
2006年 サイモン・ジェランス(オーストラリア)
2005年 ルイスレオン・サンチェス(スペイン)
2004年 パトリック・ヨンカー(オーストラリア)
2003年 ミケル・アスタルロサ(スペイン)
2002年 マイケル・ロジャース(オーストラリア)
2001年 スチュアート・オグレディ(オーストラリア)
2000年 ジル・マニャン(フランス)
1999年 スチュアート・オグレディ(オーストラリア)

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text:Kei Tsuji in Adelaide, Australia