毎年奇抜なコース作りで話題を作るジロ・デ・イタリアが、またしても新たな挑戦を選手たちに投げかける。2012年ジロ、最終日前日の5月26日のゴール地点は、標高2832mのステルヴィオ峠。グランツール史上最も標高のある地点が姿を現す。レースディレクターの交代後も、ジロの奇抜さは以前のままだ。

標高2757mのステルヴィオ峠。2012年は頂上から更に標高差75m登る標高2757mのステルヴィオ峠。2012年は頂上から更に標高差75m登る photo:Cor Vosイタリアのスポーツ紙トゥットスポルトが9月28日付けで報じたところによると、2012年ジロを決定づける「信じられないほど厳しく、スペクタクルなステージ」が、最終日前日に設定される。

ジロは5月5日にデンマークのヘアニングで開幕する。デンマーク国内で3ステージを消化した後、イタリア本国に移動する。北欧でグランツールが開幕するのは史上初めて。

ジロのオーガナイザーであるRCSスポルトは、ジロ・ディ・ロンバルディア翌日の10月16日にジロのコースプレゼンテーションを行なう予定。そこでコースの全貌が明らかにされるが、その前にコース情報がいくつかリークされている。

奇才アンジェロ・ゾメニャン氏に代わってレースディレクターの座に就いたのは、ミケーレ・アックアローネ氏。100年の歴史の中で、5代目のレースディレクターとなる同氏は、トゥットビチのインタビューの中で「今年のジロはバランスが悪かった」と評している。「ステージ間の移動が複雑で、しかも前半から展開の予想が容易だった」。2011年ジロはアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)が圧勝している。

今回リークされた情報によると、最終日前日のステージはカヴァレーゼをスタート。トナーレ峠、アプリカ、モルティローロ峠を越え、最後はステルヴィオ峠を西側から登る(有名な九十九折りは東側)。

モルティローロ峠は頂上まで登らず、途中で同じ山側を引き返す。一般的なマッツォ・デッラ・ヴァルテッリーナからの登坂ではなく、トーヴォ・サンタガタから登り、グロシオに向かって下る。グロシオからボルミオまで渓谷沿いにゆったりと登り、そこから登坂距離21.5km・標高差1533m・最大勾配14%の登りが始まる。

ステルヴィオ峠の頂上は標高2757m。そこから右に折れて未舗装路を500m進み、標高2832mにゴールする。標高3905mの「キング・オルトラー(オルトラー山)」に向かうこの登坂が、グランツール史上最高地点となる。

ツールの史上最高地点は、2006年大会に登場した標高2802mのボネット峠。今年、史上最高の頂上ゴールとして標高2645mのガリビエ峠が登場している。ブエルタの最高地点は標高2600mのシエラネバダ。実はシエラネバダには標高3380mまで続く舗装路が存在しているが、まだブエルタのコースに取り入れられたことはない。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji