5月9日、トム・ボーネン(ベルギー・クイックステップ)がベルギー当局による薬物捜査の一環として行われた4月27日に行われたレース外検査でコカイン陽性となった。これは昨2008年6月に次ぐ2度目の不祥事だ。

パリ~ルーベ2009の勝利をツール・ド・フランスディレクターのクリスティアン・プリュドム氏に祝福されるトム・ボーネン(クイックステップ)パリ~ルーベ2009の勝利をツール・ド・フランスディレクターのクリスティアン・プリュドム氏に祝福されるトム・ボーネン(クイックステップ) photo:Cor Vosボーネンに対して所持物や家宅捜索が行われたが、薬物の所持は発見されていない。チームクイックステップは即刻ボーネンをレース出場停止処分にしている。

ボーネンは「激しく飲酒した翌日、コカインに手を出したかもしれない。ボクは364日普通の市民だが、アルコールのせいでおかしくなることがある。誰か助けて欲しい。僕は自転車選手を続けることができるだろうか。」とベルギーのラジオメディアに対して語った。

欧州ではパーティドラッグにあたるコカイン。パフォーマンス向上の効能もないため、UCI(世界自転車競技連合)の規定ではレース外検査で見つかるコカインは禁止薬物ではない。昨年同様これによって自転車競技界で処分されることは無いが、倫理上・道徳上の問題としてボーネンが今後レースに出場できない事態につながりかねない。

昨年6月のケースではボーネンは国内では有罪判決を受けたが、収監は免れている状況だった。しかし再びの使用発覚による今後の判決次第ではレース活動に大きな支障をきたす可能性がある。

昨年の釈明記者会見でボーネンはコカイン使用についての詳細を語りはしなかったが、「ネガティブなニュースが出たことを謝罪する」というコメントを出し、チームはツール・ド・フランスへのボーネンの出場許可を懇願。しかし出場は主催者ASOにより認められなかったという経緯がある。

ボーネンは4月12日のパリ~ルーベ2009を制したあと、クラシック連戦明けの休息をとっていた。

今年もボーネンはツール・ド・フランス出場を逃すばかりか、レース活動を存続できるかどうかの問題に発展する可能性もありそうだ。

text:Makoto.AYANO

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