FP3はプリンスから受け継いだモジュールと、他社のハイエンドモデルが取り入れるような機構を採用したコストパフォーマンスに優れたコンプリートバイクだ。

ピナレロFP3ピナレロFP3 (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp
購入後すぐにその性能を楽しめる

重厚な雰囲気を持つヘッド周り重厚な雰囲気を持つヘッド周り FP3はピナレロのミドルグレードに位置するフルカーボンモデルだ。カーボンフレームとしては入門機となるが、取り入れられた機構によりまるでハイエンドモデルのプリンスのようだ。

フレーム形状、オンダ・カーボンフォーク、上下異径ヘッドシステム、内蔵ブレーキケーブル、左右非対称チェーンステーなど、ハイエンドと変わりない構造である。

カーボン素材は日本製の30トングレードのカーボンを採用しており、ハイエンドと比較すると当然ながら弾性率が低い素材を使用し、ターゲットユーザーにふさわしい剛性に仕上げることを狙った設計だ。この構造と積層方法、加工性などまったく新しい工法を用いることで、ワンランク上の性能を手に入れている。

ブレーキケーブルはフレーム内蔵だブレーキケーブルはフレーム内蔵だ FP3はコンプリートバイク(完成車)のみの展開となるが、シマノ105からアルテグラSL、またはカンパニョーロ・ヴェローチェから選択できる。完成車重量はシマノアルテグラSL仕様で約7.9kgだ。
コンポーネントによって選択できるカラーリングは異なるので注意しよう。

さて、このハイスペックなミドルレンジバイクはどんな攻撃力を秘めているのだろう。レッツ・チェック&インプレッション!


インプレッション



「ロングライド向きな乗り味で入門ロードとしてオススメ」(浅見和洋)「ロングライド向きな乗り味で入門ロードとしてオススメ」(浅見和洋)

ダントツのビジュアル


浅見和洋(なるしまフレンド)

プリンス譲りのビジュアルで、ただ跨っただけでモチベーションが高まっていく。自転車というスポーツでパフォーマンスを高めるには、やる気を引き出すと言う意味でも重要だろう。

見た目は上位機種譲りの超レーシング・スタイルだ。エントリーモデルとしてはダントツに格好がよい!

私が勤めるショップに訪れるお客様も、FP3に食指を動かされる様子を良く見てきた。エントリーユーザーを中心に人気があるモデルだ。

剛性レベルはそれほど高くはないものの、振動吸収性は非常に優れる。大げさかもしれないが、路面状況を忘れるくらいマイルドだろうか。

加速性はほどほどのレベルだが、スピードに一度乗ってしまえばスムーズに進む。持続性がよく巡航性能に優れていると判断できる。後半の走りによい影響を与えそうだ。

ライディングフィーリングからすると、コンペティション向きではなく、ロングライド向きだろう。フレームのおだやかさが心地よい。

見た目的にも入門車としておすすめの一台だろう。


落ち着いた重厚感がある


山本健一(バイクジャーナリスト)

剛性感はほどほどに高く、安っぽさの感じられない重厚感ある踏み心地だ。初期設定のホイールの影響もあるのだろうが、ゼロ加速はやや苦手か。
フロント周りはもちろん、バック剛性も優れており、ヒルクライム時のロスは少なそうだ。シッティングで軽いギヤを回しても、踏み込んでも違和感は少ない。速く走れるかどうかは脚力次第だ。

「コンプリートバイクとして価格と性能のバランスが良い」(山本健一)「コンプリートバイクとして価格と性能のバランスが良い」(山本健一) 感心するのはコンプリートバイクとして価格と性能のバランスが良い点。しかし理想を言えば足回りをリファインしたい。可能ならばホイール関係をワンランクアップしたり軽量化できれば動きはさらに俊敏になるだろう。フレームそのものの性能はかなり良いので、パーツによって全体のバランスを高めていきたい。

とはいえ、試乗車はシマノ105をメインコンポに採用しており、変速性能やブレーキングなど基本性能にはまったく不具合がない。即レースという選択も可能だろうし、アーバンライドや週末のロングライドなども十二分に楽しめるだろう。

32万円という金額は入門者にとって決して簡単に出せる額ではないだろうが、このルックス、グレード以上の性能・質感は、価格以上の価値はある。

レースを目指すサイクリストはもちろん、週末のライディングを楽しみにしている人など、万人向けのキャパシティをもつバイクだ。

ピナレロ・FP3ピナレロ・FP3 (c)MakotoAYANO/cyclowired.jp

フレームスペック


FP3(シマノ105仕様 完成車)
マテリアル 30HM12K カーボン
フォーク オンダFPK 30HM12K カーボン
メインコンポ シマノ105 10S ブラック
クランク MOst リンクスCompact カーボン
ハンドル MOst ザイロン AL
ステム MOst タイガーマックス AL カーボン3K
シートポスト MOst アロイ
サドル MOst レオパード
ホィール シマノ WH-500A
カラー 375(ホワイト)、377(ブルー)、400(レッド)
サイズ 44SL、46.5SL、50、515、53、54、55、56、57.5、59.5cm
(サイズ55以上は受注発注となる)
希望小売価格
325,000円(シマノ105・10s)
378,000円(アルテグラSL仕様 10s)、
355,000円 (カンパニョーロ・ヴェローチェ 10s)
※写真のペダルは付属しません


インプレライダーのプロフィール


浅見和洋(なるしまフレンド)浅見和洋(なるしまフレンド) 浅見和洋(なるしまフレンド)
プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド
山本健一(バイクジャーナリスト)山本健一(バイクジャーナリスト) 山本健一(バイクジャーナリスト)
身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション2009(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。


text:山本健一
edit&photo:綾野 真



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