12箇所の石畳が設定されたグランプリ・ド・ドナンは、序盤から逃げた2名によるスプリントで決着。昨年までスーダル・クイックステップにいたヤニック・シュタイムレ(ドイツ、Q36.5プロサイクリング)が、本格化するフランドル・クラシックに向け勝利で弾みをつけた。



優勝候補の1人に挙げられたシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) photo:CorVos

パンチャーや軽量級スプリンターがミラノ〜サンレモ(3月16日)に向けて準備を進めるなか、敷き詰められた石畳を走るフランドル・クラシックも本格化していく。3月14日(水)に行われたグランプリ・ド・ドナン(UCI1.Pro)も、コース後半に12箇所のパヴェ(石畳)が登場するワンデーレースだ。

フランス北部の街ドゥナンを発着地点とする196.2kmレースには、前回覇者のフアン・モラノ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)やイヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ)など重量系のクラシックハンターが出場。フランスのコンチネンタルチームであるヴァンリーゼル・ルーベが2人を乗せた5名が逃げ集団を作り、メイン集団に最大7分のリードを得た。

レース序盤で逃げグループを形成したセリエル・デサル(ベルギー、ビンゴールWB)ら5名 photo:CorVos

プロトンではアルケアB&Bホテルズなどがペースを作った photo:CorVos

地元フランスのプロチームであるトタルエネルジーが中心となりプロトンをコントロールするなか、以前として5分差を保つ逃げが最初のバヴェに突入する。するとメイン集団からシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)がアタック。フィニッシュまで60kmを残した地点から仕掛けた元TT欧州王者に対し、プロトンは静観した。

キュングが3名となった逃げ集団との差を3分まで縮めるなか、その約50秒後方を行くメイン集団ではアルノー・ドゥリー(ベルギー)がエースのロット・デスティニーやUAEが中心となり追走。しかしキュングや落車の発生した後続集団は逃げを捉えることはできず、勝負は逃げ切りを決めたヤニック・シュタイムレ(ドイツ、Q36.5プロサイクリング)とセリエル・デサル(ベルギー、ビンゴールWB)に絞られた。

そして最終ストレートに入り、残り250mからシュタイムレが先んじてスプリントを開始。しかしすぐに反応したデサルとのスピード差は歴然で、シュタイムレがフィニッシュでガッツポーズを作った。

デサルを下し、移籍後初勝利を飾ったヤニック・シュタイムレ(ドイツ、Q36.5プロサイクリング) photo:CorVos

「良い逃げグループを形成し、協力し合うことができた。湿った石畳では落車しないように進むだけで精一杯だったよ。昨年までの4年間をクイックステップで過ごし、自分で勝利を狙うために移籍した。この結果が本当に嬉しいし、大きなクラシックレースに向けてモチベーションに繋がるよ」とQ36.5に移籍後、早くも結果を残したシュタイムレは語った。

シュタイムレは2020年のプロデビューからスーダル・クイックステップで過ごし、今年Q36.5に移籍した27歳。このあとはE3サクソ・クラシック(3月22日)やドワルス・ドール・フラーンデレン(3月27日)などのフランドル・クラシックを予定している。
グランプリ・ド・ドナン2024結果
1位 ヤニック・シュタイムレ(ドイツ、Q36.5プロサイクリング) 4:40:31
2位 セリエル・デサル(ベルギー、ビンゴールWB)
3位 ドリス・ファンヘステル(ベルギー、トタルエネルジー) +0:11
4位 アルノー・ドゥリー(ベルギー、ロット・デスティニー)
5位 ユーゴ・パージュ(フランス、アンテルマルシェ・ワンティ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos