スプリンターにとってラストチャンスと目されたパリ〜ニース5日目。4つの3級山岳を耐えたオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)がスプリントでマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)を下し、今大会2勝目を手に入れた。



オーストラリアを表す白のビブショーツで現れた総合リーダーのルーク・プラップ(ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

パリからフランス南東部のニースを目指すため、「太陽に向かうレース」とも呼ばれる第82回パリ〜ニースは5日目を迎えた。その舞台はサン・ソヴァール・ド・モンタギュからボーム岩で知られるシストロンまでの193.5kmで、コース中盤に4つの3級が登場。しかし最終山岳の頂上である47.3kmからは下り〜平坦路のため、勝負は大会3度目となる集団スプリントに持ち込まれた。

翌日から徐々に山岳険しいステージが続くためスプリンターにとって最後のチャンスとなったこの日、逃げを打ったのは6名。中でもピエール・ラトゥールはサンディ・デュジャルダン(共にフランス、トタルエネルジー)を引き連れ、その後メイン集団から飛び出したロット・デスティニーのヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー)とパスカル・エインコールン(オランダ)が合流して8名に。その結果レース先頭にロットは、先に逃げていたマティス・パースヘンス(オランダ)を含む3名を送った。

6名の逃げグループに、遅れてロット・デスティニーの2名が合流した photo:A.S.O.

ラトゥールが設定された全ての3級山岳をトップで通過し、山岳賞ランキングで4位にジャンプアップ。それを約1分差で追うプロトンは今年スーダル・クイックステップからリドル・トレックにジャージを変えたティム・デクレルク(ベルギー)が得意の牽引を披露。平均勾配5%と低難易度の山岳でも刻まれるハイペースに、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)や2日目の勝者アーヴィッド・デクライン(オランダ、チューダー・プロサイクリング)らスプリンターたちがバイクを降りた。

その後もエーススプリンターを擁するリドルやヴィスマ・リースアバイク、ジェイコ・アルウラーがハイペースを刻んだため、残り10kmで逃げを捉える。そしてサム・ベネット(アイルランド)で勝負したいデカトロンAG2Rラモンディアルを先頭に残り1kmバナーを通過。山岳に耐えたスプリンターたちによる白熱のバトルが幕開けた。

ピーダスンとアッカーマンを抜き、先頭に立ったオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)らがチームメイトと逸れ、集団の中に埋もれるなかピーダスンをライアン・ギボンズ(南アフリカ、リドル・トレック)が引き連れ先頭へ。残り200mを前にピーダスンが踏み込みをはじめ、背後にいたパスカル・アッカーマン(ドイツ、イスラエル・プレミアテック)が横に並ぶ。

しかしその更に後方から飛び出し、猛スピードで2人の前に出たコーイが勝利。ハンドルを叩き悔しがるアッカーマンを尻目に、コーイが初日に続く大会2勝目を手に入れた。

初日に続く大会2勝目を喜ぶオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

今季4勝目を飾ったオラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

「第1ステージに続く勝利。スプリントに臨む計画を立て、それが実を結び嬉しく思う。個人的にこのパリ〜ニースは既に成功以上の結果となっている。この後の難しいステージはマッテオ・ヨルゲンソンとウィルコ・ケルデルマンで狙いに行く」と、コーイは語っている。

翌第6ステージは終盤に最大勾配19%と12%の登りが連続するレイアウト。ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)を首位とする総合争いはもちろん、短い登りを得意とするパンチャーにとってもチャンスとなるステージだ。

パリ〜ニース2024第5ステージ結果
1位 オラフ・コーイ(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 4:23:44
2位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
3位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、イスラエル・プレミアテック)
4位 サム・ベネット(アイルランド、デカトロンAG2Rラモンディアル)
5位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)
6位 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
7位 マッテオ・トレンティン(イタリア、チューダー・プロサイクリング)
8位 ローレンス・ピシー(ニュージーランド、グルパマFDJ)
9位 マディス・ミケルス(エストニア、アンテルマルシェ・ワンティ)
10位 ドゥシャン・ラヨビッチ(セルビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
個人総合成績
1位 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) 17:38:48
2位 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) +0:13
3位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:27
4位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:29
5位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:30
6位 エガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) +0:40
7位 クリス・ハーパー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) +0:46
8位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) +0:52
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:54
10位 カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) +1:02
15位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ボーラ・ハンスグローエ) +1:10
その他の特別賞
ポイント賞 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)
山岳賞 マチュー・ビュルゴドー(フランス、トタルエネルジー)
ヤングライダー賞 ルーク・プラップ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
チーム総合成績 イネオス・グレナディアーズ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos