2022年ラストレースで強豪3人が再戦。アタックに次ぐアタックも決まらず、三つ巴のゴールスプリントでワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が勝利した。



終始レースを優位に進めたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)終始レースを優位に進めたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos
12月30日(金)にベルギー・ロエンハウトで開催されたエグザクト・クロス第6戦。「三大シリーズ(W杯、スーパープレスティージュ、X2Oバドカマートロフェー)」の下に位置付けられるベルギーのUCIレースシリーズだが、この第6戦にはワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)とマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)、そしてトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)の"ビッグスリー"が揃って参戦。年末年始休暇中であることも重なり、会場はこれぞベルギーレースと言わんばかりの熱狂と興奮に包まれた。

レースは序盤からファンデルプールが飛ばしに飛ばし、ベルギー王者ファンアールトと世界王者ピドコックが続く展開に。深い轍が刻まれた100%泥コースで、明らかに主導権を握ったのは「何度も何度も差をつけようと試みた」と言うファンデルプールだった。

ファンアールトとファンデルプールにピドコックが食らいつくファンアールトとファンデルプールにピドコックが食らいつく photo:CorVos
クイックステップ・アルファヴィニル所属のラストレースとして元世界王者ゼネク・スティバル(チェコ)が出場。17位でレースを終えたクイックステップ・アルファヴィニル所属のラストレースとして元世界王者ゼネク・スティバル(チェコ)が出場。17位でレースを終えた photo:CorVos
しかしファンアールトは「明らかにテクニックでマチューが優れていたので難しいレースだった」と追従し、ピドコックも泥に手を焼きながら追走と合流に成功する。観客の大声援に後押しされ、三つ巴の緊張感も終盤に向けて高まっていく。世界王者の追いつきざまのアタックも封じられ、最終周回突入の鐘の音を聞いた。

文字通り肩と肩をぶつけるポジション争いからアタックを決めたのはファンデルプール。しかし深い泥区間で轍に弾かれてリードを失ってしまう。ファンアールトが、続いてピドコックが追いつき、勝負は長い牽制を経て三つ巴のゴールスプリントに持ち込まれた。

ファンデルプール、ピドコック、そしてファンアールトの順でホームストレートに入り、最後尾ファンアールトの加速をきっかけにスプリントが幕開ける。「ピドコックから数メートル離れ、思いっきり速度差をつけて加速した」と言うベルギー王者に対し、2人は太刀打ちできなかった。

ゴールスプリントを制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)ゴールスプリントを制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
8日間で4勝目を収めたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)8日間で4勝目を収めたワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
ファンアールトがこの8日間で4勝目。「マチューが最後にミスして追いつき、そこからは体力を回復させることに集中したんだ。スプリントは予定通り。この数年テクニカルコースでマチューに負けることが多かったけれど、今は負けを抑えることができている。自信に繋がる勝利だ」と、2022年ラストレースを勝利で締めくくったファンアールトは話している。

一方、敗れたファンデルプールは「勝つのに十分なリードがあったと思うけれど、最後の1%が欠けていた」と肩を落とす。3位のピドコックは「早いタイミングのスプリントで2人を驚かせたかったけれど、2人が僕を注視していたので無理だった」と話している。

年明け1月1日恒例のX2Oトロフェー「バール」には現在のところピドコックのみ出場予定。再びビッグスリーが集結するのは1月3日のUCI2カテゴリー「ヘーレンタルス」の予定だ。
エグザクト・クロス第6戦 男子エリート結果
1位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) 59:40
2位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク) +0:01
3位 トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
4位 キャメロン・メイソン(イギリス、トリニティレーシング)) +1:08
5位 ガーベン・クイペルス(ベルギー) +1:36
text:So Isobe
photo:CorVos