シクロクロス三大シリーズ戦の一つ「スーパープレスティージュ」が開幕し、パウェルスサウゼン・ビンゴールのデニセ・ベッツェマ(オランダ)とエリ・イゼルビット(ベルギー)がそれぞれ男女レースを制した。



長い砂の登りが用意されたルッデルフォールデのコース長い砂の登りが用意されたルッデルフォールデのコース photo:CorVos
ベルギー屈指のシクロクロスシリーズ戦「テレネット・スーパープレスティージュ」が、昨年よりも1ヶ月弱遅れて10月29日(土)に開幕。1982年に開幕し、UCIシクロクロスワールドカップ(1993年にスタート)よりも歴史ある伝統的なシリーズ戦であり、そのプライオリティは非常に高いシリーズ戦だ。

ベルギーの英雄スヴェン・ネイス(ベルギー)が過去最多の13回総合優勝を挙げているシリーズ戦は、開幕戦として通例のギーテンが今年キャンセル。2013年ぶりにルッデルフォールデで開幕し、ニール、メルクスプラス、ヒュースデン・ゾルダーと2月11日の最終戦までベルギー国内の名門コースを転戦していく。
スーパープレスティージュ2022-2023レースカレンダー
女子エリート:ベッツェマが独走勝利

インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)を引き離すデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)を引き離すデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
小刻みなアップダウンや、長い登りの砂セクションが組み込まれたルッデルフォールデのスーパープレスティージュ開幕戦。W杯3連勝中のフェム・ファンエンペル(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)とパック・ピーテルス(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が翌日のW杯第4戦を見据えて不参加となった女子レースは、序盤からデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)が先頭グループを引っ張る形で進んだ。

細かいアップダウンをリズム良くこなすベッツェマは、まず元世界女王セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)を引き離し、唯一食らいついたインゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)を全6周回中の5周目に振り払って独走体制に。大集団で進むと思われたドライコンディションのレースを力で崩壊させたベッツェマが、チームメイトのファンエンペル不在の中、パウェルスサウゼン・ビンゴールにさらなる一勝をもたらした。

ジュニア世界王者ゾーイ・バックステッド(イギリス、EFエデュケーション・ティブコSVB)は10位ジュニア世界王者ゾーイ・バックステッド(イギリス、EFエデュケーション・ティブコSVB)は10位 photo:CorVos独走で今季初勝利を挙げたデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)独走で今季初勝利を挙げたデニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos

スーパープレスティージュ2022-2023第1戦女子エリート表彰台スーパープレスティージュ2022-2023第1戦女子エリート表彰台 photo:CorVos
嬉しい今季初勝利を挙げたベッツェマは「モチベーションを上げてくれる大きな勝利。世界選手権に向けたトレーニングがうまくいっていることの証明になった。まずは予行演習としてヨーロッパ選手権のチャンピオンジャージを目指したい」と話している。



男子エリート:イゼルビットが勝利、終盤までリードのファンデルハールは2度パンク

日本でもお馴染みのフェリペ・オルツ(スペイン、ブルゴスBH)が参戦した男子エリートレース。ホールショットを決めたのは今季積極的なレースが目立つトーン・ファンデボッシュ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)だった。

35秒リードを得ていたラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は2度のパンクで後退35秒リードを得ていたラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)は2度のパンクで後退 photo:CorVos
砂の登りを乗車でこなすローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)砂の登りを乗車でこなすローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ) photo:CorVosモビスターのヨハン・ヤコブス(スイス)も参戦モビスターのヨハン・ヤコブス(スイス)も参戦 photo:CorVos


クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム)やラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ)がレース先頭で展開する一方、スタートダッシュで出遅れたエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)は13〜14番手からの、ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)はさらに後方からの追い上げを強いられた。

レース前半ではファンデルハールがマイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)と共に抜け出し、ファントーレンハウトのバイク交換で独走に持ち込む。逃げ切りを目指したファンデルハールは最大35秒差を得ていたものの、2度の後輪パンクに見舞われてリードは一気にゼロになってしまう。こうしてイゼルビットが独走体制に持ち込み、砂登りを唯一乗車でこなすスウェークが単独2番手に。この順位は最後まで変わることがなかった。

W杯初戦から4連勝をマークしたエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール)W杯初戦から4連勝をマークしたエリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) photo:CorVos
スーパープレスティージュ2022-2023第1戦男子エリート表彰台スーパープレスティージュ2022-2023第1戦男子エリート表彰台 photo:CorVos
「出遅れて無駄脚を使ったし明日のW杯も見据えて今日は2位狙いだと思っていた。でもスウェークの砂のペースアップに食らいつき、そしてファンデルハールのパンクでレースが振り出しに戻った。勝てて良かったよ」と言うイゼルビットはW杯初戦から負けなしの4連勝をマーク。「90%勝てると思っていた。1回目のパンクはまだ良いけれど、2回目は馬鹿げてる」と悔やむファンデルハールは3位だった。
スーパープレスティージュ2022-2023第1戦男子エリート結果
1位 エリ・イゼルビット(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) 58:03
2位 ローレンス・スウェーク(ベルギー、クレラン・フリスタッズ) +0:12
3位 ラース・ファンデルハール(オランダ、バロワーズ・トレック・ライオンズ) +0:31
4位 クィンティン・ヘルマンス(ベルギー、トルマンスシクロクロスチーム) +0:42
5位 マイケル・ファントーレンハウト(ベルギー、パウェルスサウゼン・ビンゴール) +1:10
6位 トーン・ファンデボッシュ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +1:22
7位 フェリペ・オルツ(スペイン、ブルゴスBH) +1:29
8位 ニルス・ファンデプッテ(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) +1:34
9位 メース・ヘンドリクス(オランダ、クレラン・フリスタッズ) +1:45
10位 ケヴィン・クーン(スイス、トルマンスシクロクロスチーム) +1:49
スーパープレスティージュ2022-2023第1戦女子エリート結果
1位 デニセ・ベッツェマ(オランダ、パウェルスサウゼン・ビンゴール)
2位 インゲ・ファンデルヘイデン(オランダ、777)
3位 セイリン・アルバラード(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)
4位 アンマリー・ワースト(オランダ、777)
5位 マリオン・ノーブルリブロール(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)
6位 アニック・ファンアルフェン(オランダ、777)
7位 サンヌ・カント(ベルギー、クレラン・フリスタッズ)
8位 ルシア・ゴンザレス(スペイン、ネスタMMR CXチーム)
9位 ペリーヌ・クラウツェル(フランス、ASバイクレーシング)
10位 ゾーイ・バックステッド(イギリス、EFエデュケーション・ティブコSVB)
text:So Isobe