FFWD=ファストフォワードは2006年にオランダで誕生したホイールメーカーだ。コンセプトは「速さ」、「軽さ」、「耐久性」で、ロードのみならずシクロクロスやトラックレース、そしてトライアスロンのシーンへ送り出すことだという。

FFWD F5R 240S フロントFFWD F5R 240S フロント FFWD F5R 240S リアFFWD F5R 240S リア


今あらゆるものがオートメーション化したプラントで製作されるが、ホイールは職人の手を介さないとクォリティを保つことができない。FFWDの場合はオランダでマイスターの称号を得ている職人によって一本ずつ丁寧に組まれているという。さらにホイールには世界でただひとつのシリアルナンバーが刻まれる。

カーボンリムの素材にもこだわり、ユニディレクショナルカーボンを用いてレイヤー方法に工夫をこらすことで、優れた性能を発揮させるという。ハブやスポーク、そしてニップルなどは最適なものをセレクトし品質の管理も徹底している。

製品ラインナップは現在のところ、このカーボンディープリムを採用したF5R 240Sと、軽量なロープロファイルカーボンリムを用いたF2R 240Sの2本立てである。それぞれ20万円前後とカーボンホイールとしてはコストパフォーマンスに優れているのが特徴だろう。

スポークはDTスイス社製のエアロライトスポークはDTスイス社製のエアロライト ハンドビルドであることを示すデカールハンドビルドであることを示すデカール


また2010年よりトム・ボーネンを擁するクイックステップに供給を開始し、トップレースで使われている。すでに数々の勝利を挙げていることは言うまでもないだろう。ジロ・デ・イタリア第5ステージで新城幸也を破ってステージ優勝したジェローム・ピノーが使ったのはまさにこのF5R 240Sホイールだ。

F5R 240Sは、50mmカーボンディープチューブラーリムを用いたエアロホイールだ。素材のユニディレクショナルカーボンを独自の方法でレイヤー積層し、高い耐久性を実現している。そして表層には細かい編み目の3Kカーボンシートを用いる。これはユニディレクショナルカーボンを保護する役割があり、万が一ダメージを受けたときの急激な崩壊を防ぐ役割がある。

ハブは信頼のメーカーDTスイス社製の240Sであるハブは信頼のメーカーDTスイス社製の240Sである リアのスポークはオーソドックスに組まれるリアのスポークはオーソドックスに組まれる


さらにDTスイス製の240Sハブとスポークを用いる。240Sはけっして軽量ハブでもなくセラミックベアリングも採用していないが、堅実な設計が特徴だろう。高い耐久性を武器にハードなシーンにも耐える。

スポークは同じくDTスイス性のエアロライトを用いる。軽量でエアロ形状が人気のブラックスポークだ。そしてリムとジョイントするニップルはあえて真鍮を用いる。軽さを得るならアルミニップルが順当であるが、エアロ効果を重視し強度を確保するためにあえて真鍮ニップルを使っている。

フロントホイールの重量は595g、リアホイールは765gでトータル1360gと軽量な部類のホイールに属する。そして価格は20万円を下回るというバリュープライスを実現した。

ハブ自体はDTスイス社製の純正品であるために、セラミックベアリングへのグレードアップも可能だという。購入後のアップグレードも可能という拡張性は、ヘビーユーザーにとっては朗報だろう。

ニップルはブラス(真鍮)を採用。強度を損なわないためだニップルはブラス(真鍮)を採用。強度を損なわないためだ ハイセンスデザインのオリジナル クイックリリースハイセンスデザインのオリジナル クイックリリース


また、リーズナブルな価格ながらプロテクション効果十分なホイールバッグが付属するのも嬉しい。2本を収める合体型のバッグで、高級感ある付属品だ。こういう点からもメーカーの良心やこだわりを感じ取ることができる。

さて、インプレッションを行うライダー山本はどのような印象を受けたのだろうか。今回の使用機材は、バイクにジェイミス ゼニスSL、タイヤはハッチンソン カーボンコンプを使用している。早速インプレッションをお届けしよう。





―インプレッション

「普段使いしたくなる扱いやすく堅実なカーボンホイール」 山本健一(バイクジャーナリスト)

「高性能ながら使いやすい堅実なホイールだ」山本健一「高性能ながら使いやすい堅実なホイールだ」山本健一 プロチームのクイックステップに供給される以前から知る存在ではあったが、ファストフォワードはとにかくコストパフォーマンスに優れるというホイールブランドという印象だった。

大手ホイールブランドと比較しワンランク低い価格でリリースされており、お手頃な価格というのは実際のところうれしい。

しかし、今季クイックステップに供給を開始し、カンパニョーロやシマノ、マヴィックといった常連メーカーと同じ土俵に上がったが、それら多くのメーカーと同様に、すでにプロのレースで活躍し、遜色のない完成度の高さを見せつけている。

価格だけでなく性能も優れているとしたら、ホビーレーサーにとっては願ってもいないホイールではないか。


「優等生的性能のカーボンホイール」

テスト用のF5Rは、カーボンホイールの中でももっとも競争率が高いディープリムタイプのホイールだ。リム高は50mmとやや高めのリムハイトといえる。ボリュームがある分、踏み出しはしっかりとした感触を想像したが意外にも軽く鋭く伸びる。低速〜中速の加速感はよく、切れ味は良さそうだ。

巡航速度まで上げると気持ちいいスピード感を持続しやすい。剛性レベルはほどほどで、硬すぎず柔らかすぎずといったレベルだろう。上りでのパフォーマンスも高く、軽快に走る。

ただし、コーナリングなどで縦から横方向へ加重が移ったときに柔らかさを感じる。高めのリムハイトであることも理由として挙げられそうだが、スポーク径がもう少し太くても良いかもしれない。テンションバランスは良好で、しっかりと組み付けられている。

リムサイドはブレーキングフィールを最適化するために、表面処理が加えられている。バイクにアッセンブルしているシューはカンパニョーロ純正のカーボン用ブレーキシューだったが、制動パフォーマンスは良好。なんの不安もなくブレーキングできた。摩擦感は高めだが急激に制動力が増すこともなく、速度やブレーキタッチに関わらず一様な挙動であった。

ブレーキングフィールを最適化するために、表面処理が加えられているブレーキングフィールを最適化するために、表面処理が加えられている
平坦に特化したホイールならば重量を気にすることは無いので、思う存分、剛性と耐久性に注力すべきだろう。真鍮ニップルを用いるなど、そういった「潔さ」を感じることができるので、信頼できるメーカーとも言える。

さらに性能に次ぐ要素であるグラフィックはモチベーションを高める攻撃的なデザインだろう。ブラック×ホワイト×レッドという、3色を組み合わせた人気のある配色は、近年のレーシングバイクに多い流行の組み合わせなので、ドレスアップしやすい。走っている姿は従来よりもスタイリッシュに見える。ビジュアルにこだわることは、乗るための動機付けにもなる(笑)。

軽量ながらも不安になることはなかった。あらゆるパフォーマンスが安定しており、使いやすい堅実なホイールだろう。致命的な欠点がないマルチなホイールといえる。

フロントはリムハイトが高めなので、強風の場合は十分に注意して走行する必要がある。ハブの耐久性や堅実なスポークパターンから日常使いや週末のトレーニングライドにあてても良いだろう。もちろんレースユースには好ましい。




FFWD F5R 240SFFWD F5R 240S

ホイールバッグ(2本入り)が付属するホイールバッグ(2本入り)が付属する FFWD F5R 240S
リムハイト:50mm
リム素材:ユニディレクションレイヤードカーボンファイバー+3Kカーボンファイヤーコート、チューブラー
スポーク:DTスイス エアロライト
スポーク取り:フロント ラジアル組、リヤ 2クロス組
スポーク数:フロント20本、リヤ24本
ニップル:プロロックブラスニップル
ハブ:DTスイス 240S
互換性:シマノ用、カンパニョーロ用
重量:フロント 595g、リヤ 765g
付属品:クイックリリース、ホイールバッグ
カラー:カーボンブラック×レッド×ホワイト
希望小売価格(税込み):194,250円(チューブラー)







インプレライダーのプロフィール

山本健一(バイクジャーナリスト)山本健一(バイクジャーナリスト) 山本健一(バイクジャーナリスト)

身長187cm、体重68kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質はどちらかといえばスピードマンタイプで上りは苦手。1000mタイムトライアル1分10秒(10年前のベストタイム)がプチ自慢。インプレッションはじめ製品レビューなどがライフワーク的になっている。インプレ本のバイブル、ロードバイクインプレッション(エイ出版社)の統括エディターもつとめる。






ウェア協力:ETXE ONDO(エチェオンド)(サイクルクリエーション)



text&edit :Kenichi.YAMAMOTO
photo:Makoto.AYANO
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の画像 ロードバイクライフ6 (エイムック 1959)
投稿者:
出版社: エイ出版社 (2010)
装丁: 大型本, 142 ページ