カデル・エヴァンスは、第11ステージでの総勢56名の"メガエスケープ"に入り損ねたがために総合優勝を逃すかもしれない。大雨の丘陵地帯を越えるレースで総合優勝争いの順位はくつがえされ、総合1位の座は同じオーストラリアのリッチー・ポルトのものとなった。

エヴァンスのジロは終わってしまったのだろうか? 

遅れを喫したカデル・エヴァンス(BMCレーシング)遅れを喫したカデル・エヴァンス(BMCレーシング) (c)CorVos

エヴァンスはポルト率いる逃げグループから遅れること12分でゴール。この先頭逃げグループにはカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロテストチーム)およびダビ・アローヨ(スペイン、ケスデパーニュ)も入っていた。

カデル・エヴァンス(BMCレーシングチーム)カデル・エヴァンス(BMCレーシングチーム) (c)CorVosエヴァンスはアレクサンドル・ヴィノクロフのアスタナ、イヴァン・バッソとヴィンチェンツォ・ニーバリのリクイガスの両チームを非難したが、彼自身のチームもその前日チームメイトを2人失っており、弱いポジションであった。

山岳ステージを控え、ジロの個人総合優勝が誰のものになるかはまだわからない。が、エヴァンスにとって勝利は困難なものとなった。

― 昨日(第11ステージ)のリクイガスとアスタナの走り方はまずかったと思う?

「うん。普通はレースのリードをとったら集団をコントロールするのが役目だ。もちろん僕らはみんなヴィノクロフ(アスタナ)がそう走ると思っていた。コントロールできるチームに欠けているときに、集団の中に入る。後からそう言うのは容易いけど」

「本当に変なレースだったけど、今年のジロではこういう予期できない展開がまだまだ起こると思うな」。

― メイン集団のコントロールはBMCレーシングチームにかかっていた?

「僕たちには100キロ走ってくれるアシストがいて、僕が最後を引いた。僕らは何もしなかったってわけじゃない。逃げの集団にも僕らのチームから一人入っていたんだ。ブレント・ブックウォルターだ。逃げ集団に入っていたんだけど、後方集団に戻ってきて先頭を引いたよ

僕らがちゃんと走っていなかったって多くの人が非難してるみたいだけど、そういう人達は僕らのチームの二人が最初の100キロを引いている間、テレビの前で観戦していただけだろ?」

BMCレーシングも集団牽引に参加したが、差は縮まらなかったBMCレーシングも集団牽引に参加したが、差は縮まらなかった photo:Riccardo Scanferla

― カデル、まだ君にはジロ・デ・イタリアの総合優勝の可能性があると思う?

「思うよ。まだ終わったわけじゃないと思ってる。可能性は終わっているかもしれないけど、僕はそうは思ってないんだ。これからさ。山岳ステージではっきりするよ」。

― ポルト(サクソンバンク)をどう思う? この勝負に勝てる位置にいるかな?

「ちょっと驚かしてくれるんじゃないな。みんなが予想しているよりいいセン行くと思うよ」。

― サストレ(サーヴェロ・テストチーム)は油断できない相手?

「それなんだよね。サストレとかブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チーム・スカイ)といった優勝候補の選手にたくさんのタイムを許してしまったことを、とても心配してるよ」。

エヴァンズはツール・ド・フランスを2回総合2位で終えており、今年のジロ・デ・イタリアでは第一優勝候補としてスタートを切った。
1日はマリア・ローザを着て走ったものの、チームメンバーの経験が浅いため、ソロで走ることを何度も余儀なくされた。

来週からのドロミテとアルプスがジロの決定打だ。ポルト、エヴァンズ、サストレ、アローヨ、誰が勝者となるかは、難関山岳地帯の登りが決め手となるだろう。

カデル・エヴァンスのBMCレーシングチームには、もうこのなかの5人しかレースに残っていないカデル・エヴァンスのBMCレーシングチームには、もうこのなかの5人しかレースに残っていない photo:Kei Tsuji



text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos
translation: Yuko.Yamawaki