カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)はジロ・デ・イタリアでの闘いをやめることを拒否している。2008年ツール・ド・フランスでの優勝者であるサストレ。去年はジロでステージ優勝を2回果たしたが、今年はまた別の目標がある。それは個人総合優勝だ。

火曜の夜、ビトントに到着した時点では総合個人優勝はすでに手の届かないところにあるかに見えたが、翌日レースがイタリア半島のくるぶしから北にかかるにつれて状況が変わった。

最後の上りで追い上げるカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)最後の上りで追い上げるカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) photo:Kei Tsuji

サストレはいまや総合8位、総合トップでジロをリードしているリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)との差は7分だ。

「僕はロスト・タイムで差がついたからといって、すぐに降参するような人間じゃない」とサストレは語った。「特に何を大きな目標にということは考えていないんだ、そういうのは難しい。だけど僕は闘うためにここにいるんだ」。

サストレはラルプデュエズでの最終山岳ステージまで闘いを続けて、ツール・ド・フランスを勝ち取った男だ。去年はジロ・デ・イタリアの総合優勝こそかなわなかったが、モンテ・ペトラーノおよびヴェスヴィオというもっとも難しい二つの山岳ステージを勝ち取っている。

今年のジロ第1週は彼にとって落車や不運に満ちていたが、第11ステージで56人の逃げグループに入り込めたことによってそれも帳消しとなった。

「今年のジロは誰にとっても大変だよ。初めから速くてキツかった。もう山岳ステージ真っ只中かと思うほどだから、観ていてもきっと違いがわかるよね」

「僕はいつも決められる位置にいた。だけど落車やパンクに関する運がとても悪かった。それでタイムをロスしたんだ。それも勝負のうち。だけどレースはまだまだ終わってない」。

パンクしたがチームメイトに助けられたカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム)パンクしたがチームメイトに助けられたカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ・テストチーム) (c)CorVosサストレはレースがまだ終わっていないこと、そして彼のトレーニングメニューが正しかったことを身をもって証明した。ジロに参加する前に出場したレースは合計でたったの8日間。グランツールに参加する前のレース日程がこれしかないことは、これまでなかったことだ。

アレックス・サン・ベガ監督は言う
「彼は経験が豊富だから、何をしているか常に自分でわかっているよ。ジロの準備としては去年とほとんど同じさ。選手が自分自身で何をどう準備してけばいいか確信しているときは、その通りにすればうまくいくんだ。特に彼のようにたくさんの経験を積んだ選手はとくにね」。

「最初の何日かがきつかったせいで大概の選手がくたびれているから、今年のジロは今までにない難しさだよ。天候も悪いし、各ステージの距離も長いし、落車はあるし、その上移動距離も多いしね」。

再び優勝候補に躍り出たサストレ。まだ制したことの無いジロを、今年制することはあるのだろうか。



text: Gregor Brown
photo: Kei Tsuji, Cor Vos
translation: Yuko.Yamawaki