激しい雨が降り続き、道路が冠水状態になったジロ第9ステージ。バリーとイグナチエフを含む逃げはスプリント争いに備えるチームたちの戦略を狂わせた。ラスト15kmで発生した中切れ、そして予想以上の上り坂フィニッシュが待っていた。

表彰台に向かうマシュー・ゴス(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)表彰台に向かうマシュー・ゴス(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) photo:Kei Tsujiマシュー・ゴス(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)
本当に嬉しいよ。これがキャリア最大の勝利だね。本当に嬉しい。
ラスト10kmで集団分裂が起こった時もまだ僕はアンドレ(グライペル)をアシストしようと彼を探していたけど、彼はそこにはいなかった。

彼が戻ってきて、ラスト数キロは彼を引いていた。ラスト400mだったかな、彼がまだ後ろについているならスプリントで僕をパスしていくだろうと思ったけど、彼はいなかった。そこで僕が勝利する機会をもらったというわけだ。

僕らはこのジロでずっと強いプレッシャーにさらされてきて、今日まで何も勝利がなかった。今朝カヴェンディッシュがカリフォルニアで勝ったと聞いていたので、この2日はチームにとって良い日になったね。我々チームの目標はもっとステージ優勝すること。僕かアンドレ、または他の誰かが。


トリスタン・ホフマン監督(チームHTC・コロンビア)
4人の逃げがあったけれど、僕らはいつでもそれを捕まえられると思っていた。
天気が本当に悪かった。コースが川のようになっていて参ったね。ともかく僕らチームの目標は集団スプリントに持ち込むことだった。
他のチームの助けがなかったから、狂ったように働かざるをえなかった。チームは素晴らしい働きをしたね。
コースの最後は登っていて、いつもと違うメンバーがミックスされていた。でもマット(ゴス)がうまくすり抜けたね。このジロではステージ優勝目指して毎日ハードにやってきたけど,今日はやり遂げた。

上りゴールにステージ優勝が期待されたフィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)上りゴールにステージ優勝が期待されたフィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ) (c)CorVosフィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)
今日もまた雨でハードなステージだった。今日のステージはゴールのプロフィールが僕に合っていたから狙っていた。イグナチエフが前を逃げたからチームは働かずに済んだ。2位は悲しいね。最後のスプリントでは総合争いの選手たちが前に出てきて、どのホイールにつくべきか分からなかったんだ。


カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
なんて一日だったんだ。スタートから速くて、中盤も速かった。そして雨に降られ...。あんなにずぶ濡れになったのはいつのことだったか、もう思い出せないよ。
終盤に向けては横風が吹いてつらかった。そして僕がパンク...。モトに乗ったカメラマンが追いつくのにいい仕事をしてくれた。そしてチームもよく働いてくれた。
"ビッグミッキー"(ミヒャエル・シェアー)は、もし彼の状態がいいならこういう場面でのスペシャリストだよ。

パンクで遅れたカデル・エヴァンスを集団へと牽き戻すBMCレーシングチームパンクで遅れたカデル・エヴァンスを集団へと牽き戻すBMCレーシングチーム (c)CorVosラスト15kmでの集団分裂は興味深かったね...。あんなときに中切れするなんておかしいよ(プロフェッショナルじゃない)。最後までには集団が一緒にまとまったけれど。
ヴィノクロフに着いてアタックしたとき、ちょうど向かい風が吹いていて押し戻されて、いつものスプリンターたちが出てきた。

先の日曜日にゴスの後輪に着いてストラーダ・ビアンケの最初の未舗装路区間を走った。そのとき彼に引いてもらい、ガルゼッリとヴィノクロフに追いついたから、彼が勝ったのは僕にとって驚くことじゃなかった。若いオージーがまたやってくれたのは嬉しいね。


ファブリツィオ・ボンテンピ監督(ランプレ・ファルネーゼヴィーニ)
悪天候がレースの最終局面を非常に危険にした。しかしダミアーノ(クネゴ)は危険信号が出たとき素早く反応したね。

今日は逃げが最後まで続かなかったけど、こんなときにペタッキがもういないのは悲しかった。彼ならこのバトルに勝てたね。
ホンドは昨ステージの闘いのおかげで最高レベルになかった。彼は次にチャンスがあるステージまでにエネルギーを取り戻さないといけない。

逃げたマイケル・バリー(カナダ、チームスカイ) 後方の選手に冠水の危険を伝える逃げたマイケル・バリー(カナダ、チームスカイ) 後方の選手に冠水の危険を伝える (c)CorVosマイケル・バリー(カナダ、チームスカイ)
僕はとても調子がいい。疲れからはよく回復出来ていて,今朝は脚に疲労を感じていなかった。チームの士気は高いよ。「僕らは心からレースを楽しんでいる。それが疲れを感じない原因にもなっている」ってクミングスが昨夜の夕食の際に言ってたけど、皆が同意したよ。

今週(ジロ第2週)からはステージ優勝を挙げることと、ブラッド(ウィギンズ)とダリオ(チオーニ)の総合を上げることを目標に走るよ。
タイム差は大きいけど、ジロ最終週の、とくに3つのステージがはとても厳しいから、まだレースは終っちゃいないんだ。


ショーン・イェーツ監督(チームスカイ)
こんな悪天候のなか、マイケル(バリー)の走りは素晴らしかった。おかげでチームは一日中集団を引き続ける必要がなかったから、体力を温存できた。

彼の調子はすごくいいようだ。それは彼のプロフェッショナリズムの証明だろう。私たちが彼に何かを求めたい状況の時、彼はいつでもそこにいて、自分が何をしなくてはいけないかを知っているんだ。

グレッグ(ヘンダーソン)がスプリント争いに加わったのは良かったが、フィニッシュは我々が想像していたよりもずっとタフなことがわかった。彼がそれだけの脚をもっていなかったが、運がなかった。

これでHTCコロンビアとガーミンはともにスプリントステージを勝った。我々もそれに続きたい。今日のHTCコロンビアには脱帽だね。彼らはレースの最初から働きっぱなしで、最後にはそれがマット(ゴス)によって報われた。

諦めないなら今日のような逃げのチャンスも生まれるはずだ。選手たちは私が要求したことはすべてやってくれているよ。



ソースは現地取材、記者会見、チーム公式ウェブサイト、主催新聞ガゼッタ・デッロ・スポルト紙、選手個人のウェブサイトおよびTwitterなど。

text:Makoto.AYANO
photo:Kei.TSUJI、CorVos