2009年3月15日、ティレーノ〜アドリアティコの総合争いを占う上で重要な第5ステージ・個人タイムトライアルが行なわれ、30kmのコースを41分32秒(平均43.3km/h)で駆け抜けたアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)が優勝。同時に総合9位から首位に躍り出た。

第5ステージ・コースプロフィール。2つの上りが選手たちを待ち構える第5ステージ・コースプロフィール。2つの上りが選手たちを待ち構える image:www.gazzetta.it第5ステージの個人タイムトライアル(以下個人TT)はイタリア中部のアドリア海側、ロレートからマチェラータまでの30kmで行なわれた。レース前半に標高278mの丘の上に佇むレカナーティを通過し、平坦区間をこなして最後にマチェラータを駆け上がる。

ゴール地点マチェラータに向かう上りはラスト4kmから始まり、平均勾配は約7%、局所的に勾配は10%を超える。平坦独走力とヒルクライム能力が問われる難コースだ。総合争いはこの「時間との闘い」と、翌日の山岳ステージで決定づけられる。

トップタイムを叩き出したアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)トップタイムを叩き出したアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ) photo:Cor Vos第一走者(総合成績最下位)は、何と昨年の総合優勝者のファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)だ。ツアー・オブ・カリフォルニア初日の個人TTを制しながらも翌日発熱のため戦線を離脱したカンチェラーラは、スイスでのトレーニング中に落車して右肩を痛めるなど、本来の調子を取り戻せていない。

昨年はモンテ・パスキ・エロイカ、ティレーノ〜アドリアティコ、ミラノ〜サンレモのイタリア3連戦をすべて制したが、今シーズンは明らかに低迷。この日も118位に沈み、昨年2位に入ったパリ〜ルーベなどのクラシックレースに向けて不安の残る結果となった。

ステージ3位&総合2位浮上のトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)ステージ3位&総合2位浮上のトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア) photo:Cor Vosトップタイムを記録したのは、「今日のコースは自分向きだった」と語る2007年大会総合優勝者のクレーデン。ステイン・デヴォルデル(クイックステップ)が記録していた暫定トップタイムを20秒更新したクレーデンがステージ優勝に輝いた。

「この2日間で3回落車して、自分の状態に確信を得ていなかった」というクレーデン。「自信をつけるために、わざと序盤からペースを上げて、最初の計測ポイントでトップタイムを記録したんだ。2つ目の計測ポイントでは2位だったけど、総合争いのライバルたちからはリードを守っていた。そこで気合いが入って、ラスト4kmの厳しい上りをハイスピードをクリアすることが出来た」と、勝利の秘訣を語る。

イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は1分14秒遅れのステージ19位イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は1分14秒遅れのステージ19位 photo:Cor Vos「調子はすこぶる良い」と語るクレーデンは、総合9位から1位まで一気にジャンプアップ。「数日前にブライコヴィッチを落車で失ったけど、チームには信頼のおける選手が揃っている。厳しい闘いが予想されるけど、リーダージャージを守り切ってみせる」と、2度目の総合優勝に向けての意気込みを語った。

昨年総合3位のトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)は、持ち味を発揮して3位に。常勝コロンビアのリーダーとしての風格を見せつけ、総合2位に浮上している。総合トップのクレーデンとの差は僅か6秒。新人賞のトップに立っている。

リーダージャージを獲得したアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)リーダージャージを獲得したアンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ) photo:Cor Vos地元イタリア注目のイヴァン・バッソ(リクイガス)は1分14秒遅れの18位、ダヴィデ・レベッリン(ディキジョヴァンニ)は1分23秒遅れの23位、ダニーロ・ディルーカ(LPRブレークス)は2分18秒遅れの44位。いずれも総合成績では後退した。

その一方でミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)やステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)は好走し、総合3位と4位に浮上。ディキジョヴァンニはスカルポーニにエースをスイッチする可能性が高い。

昨年の個人TTで落車して大怪我を負い、ツール・ド・フランスと北京五輪を棒に振ったリーナス・ゲルデマン(ドイツ、ミルラム)は9位でゴール。総合でも7位につけており、牛柄ジャージチームのリーダーとして表彰台を目指す。

選手コメントはチーム公式サイト(アスタナ)より。

ティレーノ〜アドリアティコ第5ステージ結果
1位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)41'32"
2位 ステイン・デヴォルデル(ベルギー、クイックステップ)+20"
3位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)+21"
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)
5位 ハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)+32"
6位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+40"
7位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)+41"
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア)+52"
9位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、ミルラム)+58"
10位 ジェローム・コッペル(フランス、フランセーズデジュー)+1'00"

個人総合成績
1位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、アスタナ)16h51'13"
2位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)+06"
3位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ディキジョヴァンニ)+21"
4位 ステファノ・ガルゼッリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)+41"
5位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、ディキジョヴァンニ)+1'02"
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)+1'07"
7位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、ミルラム)+1'22"
8位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)+1'25"
9位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン)+1'26"
10位 ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、サイレンス・ロット)+1'34"

ポイント賞
ジュリアン・エルファレス(フランス、コフィディス)

山岳賞
エルマーノ・カペッリ(イタリア、フジ・セルヴェット)

新人賞
トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)

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