2009年3月13日、1級山岳ラ・モンターニュ・ド・リュールの頂上ゴールが設定されたパリ〜ニース第6ステージが行なわれ、長さ13.8kmの上りで飛び出したアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)が、ライバルを引き離して優勝。イエロージャージ奪回に成功した。

序盤から逃げるロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)ら序盤から逃げるロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)ら photo:Cor Vos総合争いを決する山岳4連戦の2日目、ついに1級山岳ラ・モンターニュ・ド・リュールの頂上ゴールが姿を現した。「モンヴァントゥーの妹」と呼ばれるこの上りは、ロードレース初登場で、長さ13.8km・平均勾配6.6%。そこに辿り着くまでに5つの山岳を越える厳しいステージだ。

レースは序盤からシリル・ルモワンヌ(フランス、スキル・シマノ)やニキ・テルプストラ(オランダ、ミルラム)を含む8名が飛び出し、遅れてジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)がこれに合流した。

前日にリタイアしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)が沿道で観戦前日にリタイアしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、サイレンス・ロット)が沿道で観戦 photo:Cor Vos前日のステージ優勝者ロワが逃げに乗る一方で、前日2位のトマ・ヴォクレール(フランス、Bboxブイグテレコム)は序盤に落車し、鎖骨骨折によりリタイアを余儀なくされている。

先頭グループのタイム差は最大6分30秒まで広がったが、トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)の山岳賞ジャージを脅かすロワが逃げに入ったことで、チームコロンビアが集団をコントロールして追走。結局ロワは2つの2級山岳を先頭で通過すると、メイン集団に引き戻された。

1級山岳ラ・モンターニュ・ド・リュールで独走するアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)1級山岳ラ・モンターニュ・ド・リュールで独走するアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vosロメン・フェイユ(フランス、アグリチュベル)らが諦めずに逃げ続けたが、アスタナがコントロールするメイン集団は、ラスト25kmで残る逃げメンバーすべて吸収。スピードを上げて最後の1級山岳に突入した。

13.8kmに渡る上りで最初にアタックを仕掛けたのは総合10位のイェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)。ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、アスタナ)が引くメイン集団からは次々と選手が脱落し、総合2位のフアンマヌエル・ガラーテ(スペイン、ラボバンク)や昨年総合2位のリナルド・ノチェンティーニ(イタリア、アージェードゥーゼル)が早々に姿を消した。

苦戦を強いられるケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)苦戦を強いられるケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ) photo:Cor Vosラスト8kmで満を持してアタックしたコンタドールは、フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)を引き連れて先頭フォイクトに合流。そしてサクソバンクの2人を置き去りにして単独トップに。

急勾配区間をリズミカルなダンシングで乗り切り、ハイケイデンスのシッティングでハイスピードを維持。コンタドールは他を寄せ付けないスピードで、沿道に雪が残る1級山岳を駆け上がる。後方ではシュレクやルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)が追走したが、コンタドールの背中を再び見ることは無かった。

ライバルたちを突き放してゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)ライバルたちを突き放してゴールするアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos独走でゴールにやってきたコンタドールはお馴染みの小銃で撃ち抜くポーズでゴール。58秒遅れでシュレクとLLサンチェス、上り中腹で失速したシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)は、新人賞ジャージのケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)と1分50秒遅れでゴールした。

個人タイムトライアルに続くステージ2勝目と、リーダージャージを同時に勝ち取ったコンタドール。大会最強をアピールしたが、本人は「明日からの2日間は非常に厳しい闘いになると思っている。他の選手と同じようにカラダが疲れ切っているから、慎重に走らないといけない。イエロージャージを奪回できて嬉しいけど、明日はまた違う闘いが待っている」と、あくまでも冷静だ。

58秒遅れでゴールに向かうフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)とルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)58秒遅れでゴールに向かうフランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)とルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ) photo:Cor Vosロードレース初登場の上りについては、「厳しい上りだった。でもチームの調子は良かったからレースを完全にコントロール出来たんだ。すべてが計画通りに進んだよ。ラスト4kmは本当に苦しかったけど、危険な2選手(シュレクとLLサンチェス)が追走していたから、最後まで全力で走った」と語っている。

イエロージャージ以外の各賞ジャージ着用者は変わらず。しかしいずれもランキング2位の選手が差を詰めている。この日ステージ8位に入ったジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)は、シールドライヤースから28秒遅れの新人賞ランキング2位に浮上した。

パリ〜ニース2009第6ステージ結果
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)4h47'46"
2位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+58"
3位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)
4位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)+1'27"
5位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)
6位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)+1'29"
7位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)+1'31"
8位 ジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)+1'34"
9位 クリストフ・モロー(フランス、アグリチュベル)+1'44"
10位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク)+1'46"

個人総合成績
1位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)23h21'08"
2位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン、ケースデパーニュ)+1'13"
3位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)+1'24"
4位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)+1'38"
5位 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)+2'01"
6位 イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)+2'06"
7位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)+2'14"
8位 ジョナタン・イヴェール(フランス、スキル・シマノ)+2'29"
9位 アントニオ・コロム(スペイン、カチューシャ)+2'35"
10位 ユーリ・トロフィモフ(ロシア、Bboxブイグテレコム)+3'09"

ポイント賞
ミルコ・ロレンツェット(イタリア、ランプレ)

山岳賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームコロンビア)

新人賞
ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)