純白の日本チャンピオンジャージを着る西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)が、日本人史上3人目のステージ優勝!3月4日、マレー半島南部で行なわれたツール・ド・ランカウイ第4ステージで、西谷がスプリント勝利を達成。発射台を務めた盛一大もステージ4位でフィニッシュし、愛三はチームステージ成績トップに輝いた。

最大4分30秒のリードを得たアリ・ファラニー(マレーシアチーム)とシルヴェール・アッカーマン(スイス、フォアアールベルク・コラテック)最大4分30秒のリードを得たアリ・ファラニー(マレーシアチーム)とシルヴェール・アッカーマン(スイス、フォアアールベルク・コラテック) photo:Yufta Omataこれまでマレー半島東岸をひたすら南下してきたツール・ド・ランカウイは、大会4日目にして南シナ海と別れを告げる。第4ステージはマレー半島東岸のメルシンをスタートし、内陸部を通って西岸のパリ・スロンに至る163.5km。後半にかけて細かなアップダウンが続く。

15km地点のスプリントポイントは、ここまでスプリントで2勝を飾っているマイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)が先頭通過。この時点で、マシューズは暫定でアヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)からポイント賞トップの座を奪った。

メイン集団をコントロールするISD・ネーリとフットオン・セルヴェットメイン集団をコントロールするISD・ネーリとフットオン・セルヴェット photo:Yufta Omata逃げが決まったのは30km地点。地元マレーシアのアリ・ファラニー(マレーシアチーム)と、シルヴェール・アッカーマン(スイス、フォアアールベルク・コラテック)の二人が飛び出すと、タブリス・ペトロケミカルがコントロールするメイン集団はペースを弱めた。

ファラニーとアッカーマンは70km地点で4分30秒のリード。やがてメイン集団ではタブリスに代わってフットオン・セルヴェットとISD・ネーリがコントロールを担い、先頭2人とのタイム差を詰めて行く。

スプリント勝利を飾った西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)、後ろで盛一大も手を挙げるスプリント勝利を飾った西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)、後ろで盛一大も手を挙げる photo:Yufta Omataやがてラスト20km地点に差し掛かり、タイム差が2分を切ると、先頭ではアッカーマンが独走を開始。しかし単独では大集団を振り切ることが出来ず、アッカーマンはラスト6kmで吸収。この日もスプリント勝負に持ち込まれた。

集団を牽引したのはフットオン・セルヴェットとISD・ネーリ。しかしこの2チームは完全にスプリントを支配することが出来ず、全日本TTチャンピオンの盛一大が西谷を連れて集団から抜け出した。

念願のステージ優勝を果たした西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)!念願のステージ優勝を果たした西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)! photo:Yufta Omataハイスピードで飛び出した盛と西谷。マシューズやビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)がスプリントで対抗したが、盛に発射された西谷が先頭を守ったままゴールに向かって突進。スプリント2連勝を狙ったマシューズの追撃届かず、後方で盛が手を挙げる中、西谷が歓喜のポーズでフィニッシュ。盛との強力タッグで念願のステージ優勝を達成した。

ツール・ド・ランカウイでステージ優勝を飾った日本人選手は西谷が3人目。2005年には福島康司が、2007年には兄の福島晋一がステージ優勝を達成している。福島兄弟のステージ優勝はいずれも逃げ切りによるもの。大集団でのスプリント勝負を制したのは、西谷が日本人史上初。アジア人としては、昨年大会第4ステージのサマーイ(インドネシア)に次ぐ2人目の快挙だ。

メダルを見せる西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)メダルを見せる西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) photo:Yufta Omataボーナスタイムを獲得した西谷は総合7位にジャンプアップ。西谷はアジアンライダー賞争いでもトップのマナンから3秒差の2位につけている。また、盛がステージ4位に入ったことで、愛三工業レーシングチームは第4ステージのチーム成績トップに輝いた。

総合リーダージャージはトビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル)がキープ。ポイント賞ジャージは、マナンからステージ2位のマシューズの手に渡った。

日本人選手のコメントは後ほど現地レポートでお伝えします。

レース展開はレース公式サイトや現地情報より。


ステージダイジェストムービー


ツール・ド・ランカウイ2010第4ステージ結果
1位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)              3h50'11"
2位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)
3位 ビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)
4位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)
5位 レネ・ハーゼルバッハー(オーストリア、フォアアールベルク・コラテック)
6位 アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)
7位 ホセイン・ナテギ(イラン、アサド大学チーム)
8位 デニス・ポール(ドイツ、ジャイアント・アジア・レーシングチーム)
9位 レネ・ウェイジンガー(ドイツ、フォアアールベルク・コラテック)
10位 ドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)
34位 五十嵐丈士(日本、クムサン・ジンセン・アジア)
35位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)
92位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)
106位 別府匠(日本、愛三工業レーシングチーム)
112位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)              +45"

個人総合成績
1位 トビアス・エルラー(ドイツ、タブリス・ペトロケミカル)      15h36'13"
2位 デーヴィッド・ペル(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)       +05"
3位 ジェイ・トムソン(南アフリカ、南アフリカチーム)            +07"
4位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)   +2'39"
5位 アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)      +3'02"
6位 ビダル・セリス(スペイン、フットオン・セルヴェット)         +3'05"
7位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)
8位 ルスラン・トルバエフ(カザフスタン、カザフスタンチーム)       +3'09"
9位 アレックス・キャンデラリオ(アメリカ、ケリーベネフィット)
10位 ドミトロ・グラボフスキー(ウクライナ、ISD・ネーリ)         +3'11"
27位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)              +3'15"
53位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)
68位 品川真寛(日本、愛三工業レーシングチーム)             +3'23"
85位 五十嵐丈士(日本、クムサン・ジンセン・アジア)
87位 別府匠(日本、愛三工業レーシングチーム)
101位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)            +4'08"

アジアンライダー賞
アヌアル・マナン(マレーシア、クムサン・ジンセン・アジア)

ポイント賞
マイケル・マシューズ(オーストラリア、チームジェイコ・スキンズ)

山岳賞
ピーター・マクドナルド(オーストラリア、ドラパック・ポルシェ)

チーム総合成績
南アフリカチーム

アジアチーム総合成績
クムサン・ジンセン・アジア

text:Kei Tsuji
photo:Yufta Omata, www.ltdl.com.my