アタックに次ぐアタックの末の石畳登坂勝負。バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が今期初勝利を掴み、ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)が7秒差の総合首位に浮上した。



スタートを待つ別府史之(トレック・セガフレード)スタートを待つ別府史之(トレック・セガフレード) (c)CorVos
セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ2018 第2ステージセッティマーナ・コッピ・エ・バルタリ2018 第2ステージ
セッティマーナ・コッピ・エ・バルタリの第2ステージは、サンマリノ共和国にほど近い沿岸都市リッチョーネをスタートし、ソリアーノ・アル・ルビコーネへとゴールする130km。距離こそ短いが、後半にはモンテ・ティッフィ(距離4.4km/平均勾配7.7%)を含む山岳コースを3周するクイーンステージであり、やゴール前には250mの石畳急登坂が待ち構える。

この日勝利するバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)に「130kmと短いのに常にアップダウンを繰り返す上に、トリッキーなダウンヒル、急勾配の登りが続く超タフコース」と言わしめる山岳ステージに向けて別府史之(トレック・セガフレード)を含む168名がスタートした。

曲がりくねったテクニカルな下りを走る曲がりくねったテクニカルな下りを走る (c)CorVos
前日逃げ切り総合リーダーとなったパスカル・エーンクホーン(オランダ、ロットNLユンボ)は早々に遅れ、終盤に入るとアンドローニ・シデルメク・セライタリアがフルメンバーでメイン集団の牽引をスタート。ラスト13km地点からアレックス・アランブル(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)が抜け出し、メイン集団がもう一段階スピードを上げたため集団の人数が一気に絞り込まれる。

アランブルは飲み込まれ、次いで2016年ジロ・デ・イタリア第10ステージで逃げ切り優勝しているジウリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF)と、新鋭クライマーとして注目されるギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)がアタック。雪が残るモンテ・ティッフィを勢い良く駆け上がった2人を精鋭のみとなったメイン集団が追撃し、ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)がリカルド・カラパス(エクアドル、モビスター)とバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)を引き連れ、2名を飲み込みながらKOMを通過した。

集団内で走るダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)集団内で走るダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) (c)CorVos
つづら折れが続く上に、雪解け水が所々流れる危険なダウンヒルでクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)とラミロ・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア)が追いつき、間髪入れずにカラパスが単独アタック。しかしモレマとローザの率きで引き戻され、一瞬のお見合いから今度はボウマンが仕掛けた。

勢い良くリードを稼ぎ、2km先のフィニッシュを目指したボウマンだったが、コーナリング中の雪解け水でバランスを崩してクラッシュしてしまう。再びオープンになった展開からマルタンが逃げ、ソリアーノ・アル・ルビコーネのフィニッシュに至る石畳急坂の麓に到達した。

石畳を避けて道路中央部のコンクリート(排水路)上を駆け上がったマルタンだったが、後方から飛ぶように加速したモレマがパス。下ハンドルを握ったダンシングでローザやカラパスを引き離し、そのままガッツポーズ。極めて目まぐるしい展開となったクイーンステージで今季初勝利を挙げた。

後続を振り切ったバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)後続を振り切ったバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) (c)CorVos
終盤のアタック中に落車し、唇を切りながら6位で終えたクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ)終盤のアタック中に落車し、唇を切りながら6位で終えたクーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) (c)CorVos
「今日は調子の良さを感じていたけれど、終盤の下りで前の選手が遅れて30秒差を詰めるのに若干脚を使ってしまったんだ。チームメイトに助けられて戻った時には集団の人数が30名ほどに絞られていたよ。ラストはとにかくトリッキーだったけれど、チームメイトの(トムス)スクインシュ(当時キャノンデール・ドラパック)が勝利した昨年ステージの動画を見ていたので動き方は把握できていたんだ。マルタンを追い抜くときに石畳を走らなくてはいけなかったから、スピードを殺してしまわないか心配だった。でも全部上手くいった。とてもハッピーだ」と喜ぶモレマ。直前のパリ〜ニースでは体調不良に悩まされ、活躍できないままでいた。

また、総合リーダージャージは2秒差のステージ2位になったローザが獲得。昨日のチームタイムトライアルで優勝したことが総合首位浮上へと繋がった。
ステージ結果
1位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 3h36’23”
2位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ) +02”
3位 ジウリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) +03”
4位 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール)
5位 リカルド・カラパス(エクアドル、モビスター)
6位 クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) +11”
7位 ラミロ・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +13”
8位 ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +33”
9位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +55”
10位 ニールソン・ポーレス(アメリカ、ロットNLユンボ)
105位 別府史之(トレック・セガフレード) +17'23"
個人総合成績
1位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ) 6h04’53”
2位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) +07”
3位 クーン・ボウマン(オランダ、ロットNLユンボ) +26”
4位 ラミロ・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) +33”
5位 ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) +36”
6位 リカルド・カラパス(エクアドル、モビスター) +38”
7位 ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +47”
8位 ギヨーム・マルタン(フランス、ワンティ・グループゴベール) +50”
9位 ジウリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF) +51”
10位 ニールソン・ポーレス(アメリカ、ロットNLユンボ) +1’10”
116位 別府史之(トレック・セガフレード) +19'13"
ポイント賞
1位 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) 10pts
2位 パスカル・エーンクホーン(オランダ、ロットNLユンボ) 10pts
3位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ) 8pts
山岳賞
1位 ローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック) 16pts
2位 マルコ・ミナールド(オランダ、ワンティ・グループゴベール) 14pts
3位 パスカル・エーンクホーン(オランダ、ロットNLユンボ) 14pts
ヤングライダー賞
1位 ラミロ・ソーサ(コロンビア、アンドローニ・シデルメク・ボッテキア) 6h05’26”
2位 ルーカス・ハミルトン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +14”
3位 ニールソン・ポーレス(アメリカ、ロットNLユンボ) +37”
チーム総合成績
1位 ロットNLユンボ 17h46’49”
2位 アンドローニ・シデルメク・ボッテキア +1’00”
3位 モビスター +1’29”
text:So.Isobe
photo:CorVos

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