残り5kmを切ってなお20人以上が残る異例の展開となった今年のツール・ド・おきなわ男子チャンピオンレース。最後に勝負を決めたのは佐野淳哉のロングスパートだった。女子国際レース、ジュニア国際レースと合わせ詳細をレポートする。


今年最後の大一番となるツール・ド・おきなわ。今年29回目の開催となる日本最南端のレースは、シーズンの締めくくりとしてプロ・アマ問わず定着している。

本土では晴れも多かった11月12日だが、沖縄は曇り。最高気温は25℃ほどまで上がったが、強めの風の影響で肌寒さを感じるほど。予報では雨の可能性もあったが、幸い全てのレースがゴールするまで雨粒が落ちてくることはなかった。

男子チャンピオンレース210km
夜も明けきらぬ名護市街を後にする集団夜も明けきらぬ名護市街を後にする集団 photo:Satoru Kato
沖縄出身の内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ)の応援団沖縄出身の内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ)の応援団 photo:Makoto.AYANO与那の登り前に居た悪魔おじさん与那の登り前に居た悪魔おじさん photo:Makoto.AYANO
下りでするすると前に出るニコラス・マリーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ)下りでするすると前に出るニコラス・マリーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Satoru Kato先行するマリーニを追って5人の追走集団が形成される先行するマリーニを追って5人の追走集団が形成される photo:Satoru Kato

UCI1.2クラスとして行われた最高峰の男子チャンピオンロードレースには、国内外17チームの80人が出走。まだ薄暗い午前6時45分にスタートした集団は、沖縄本島の西海岸沿いに北上していく。

名護市街を抜けてリアルスタートが切られた直後、下りでニコラス・マリーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ)がするすると前に出る。追従する選手がいないと見るや、そのまま独走を開始。その後、普久原奨(沖縄選抜)、重満丈(鹿屋体育大学)岸崇仁(那須ブラーゼン)らを含む5人の追走集団が形成され、先行するマリーニに合流して6人の逃げ集団が形成される。メイン集団はルーマニアナショナルチームなどがコントロールするが、ペースアップを図るチームが無いことから、差は一気に16分まで開く。

1回目の与那の登りを行くメイン集団。逃げグループに遅れること16分1回目の与那の登りを行くメイン集団。逃げグループに遅れること16分 photo:Makoto.AYANO2回目の与那の登り、普久原奨(沖縄選抜)を先頭に登る2回目の与那の登り、普久原奨(沖縄選抜)を先頭に登る photo:Satoru Kato

与那の登り1回目の山岳賞を普久原奨(沖縄選抜)が先頭通過。その後も6人は逃げ続け、沖縄本島北端を回って2回目の与那の登りへ。登り始めてすぐにマリーニが遅れ、逃げ集団は5人。メイン集団のペースアップもあって差は縮まり始めるものの、5人はそのまま逃げ続ける。2回目の山岳賞も普久原が先頭通過して下りに入るとメイン集団との差は9分、やがて2分へと一気に縮まる。

逃げ集団では岸ら2人が遅れる一方、普久原、重満ら3人が粘る。しかし150km付近で吸収され、レースは振り出しに戻る。

逃げ続ける3人の背後に集団が迫る逃げ続ける3人の背後に集団が迫る photo:Satoru Kato
160km付近、アタック合戦が続くがなかなか決まらない160km付近、アタック合戦が続くがなかなか決まらない photo:Satoru Kato170km付近、内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ)を先頭に縦に長く伸びた集団170km付近、内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ)を先頭に縦に長く伸びた集団 photo:Satoru Kato

東海岸沿いに出るとアップダウンを利用してのアタック合戦が始まる。しかしレース終盤に向けて各チーム共逃げを許さず、集団は縦長に伸びた状態が続く。残り30kmを前に集団はなお30人以上を残していたが、冨尾大地(鹿屋体育大学)の飛び出しを追う展開の中で20人ほどに絞られる。その後もアタック合戦が続き、数名が先行する場面もあるものの、下りと平坦部分で後続が追いつく展開が繰り返される。

172km付近、単独で飛び出した冨尾大地(鹿屋体育大学)172km付近、単独で飛び出した冨尾大地(鹿屋体育大学) photo:Satoru Kato196km、ベンジャミ・プラデス(チーム右京)、西薗良太(ブリヂストンアンカー)ら5人が先行するも、差は広がらず196km、ベンジャミ・プラデス(チーム右京)、西薗良太(ブリヂストンアンカー)ら5人が先行するも、差は広がらず photo:Satoru Kato

残り5km、スプリント勝負を嫌う西薗良太(ブリヂストンアンカー)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)がアタック残り5km、スプリント勝負を嫌う西薗良太(ブリヂストンアンカー)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)がアタック photo:Satoru Kato
残り10kmを前に、登り区間でベンジャミ・プラデス(チーム右京)が仕掛けるものの決定打とはならず。残り5kmの「イオン坂」では、スプリント勝負を嫌う西薗良太(ブリヂストンアンカー)や増田成幸(宇都宮ブリッツェン)らがアタックするが決まらず。カウンターアタックに出た石橋学(ブリヂストンアンカー)も吸収され、残り1kmへ。

「このままスプリントだろうなという雰囲気の中で、勝つならこういうやり方しか無かった」と言う佐野淳哉がアタック。牽制する集団をよそに一気に差を広げる。ゴールまで残り500mのストレートに佐野が先頭で姿を現す。後方で横に広がりスプリントする集団が追いつかないことを確認した佐野は右腕を高々と挙げて雄叫びと共にゴール。何度もガッツポーズを繰り返した。

ツール・ド・おきなわ男子チャンピオンレースを制した佐野淳哉(マトリックスパワータグ)ツール・ド・おきなわ男子チャンピオンレースを制した佐野淳哉(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
優勝した佐野淳哉を支えたホセ・ビセンテ、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ)優勝した佐野淳哉を支えたホセ・ビセンテ、アイラン・フェルナンデス(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato「最後まで残るつもりではいましたが、自分が勝つよりもホセ(ビセンテ)とアイラン(フェルナンデス)に同調して動くことで、他のチームが動けば自分が反応するという方針でした。僕自身が率先してアタックするというよりも、逃げて動けたら行くというつもりでした。

西薗選手や雨澤(毅明・宇都宮ブリッツェン)選手らは積極的にレースをしていて、終盤にベンジャミ選手と西薗選手が登りで先行した時は登坂力が足りずについて行けませんでした。それでも展開に恵まれ、自分の力量をうまく活かして最後まで持って行けた事が今日の勝因だと思います」と、レースを振り返る佐野。

かつての強さを取り戻せたのでは?との問いには「まだまだだと思いますが、以前は無かった強さが身についた気がするので、それを活かしていきたいです。今年は前半が良くなかったので、来年はシーズンを通して安定させたいですね」と、来年の目標を交えて語った。

男子チャンピオンレース 表彰式男子チャンピオンレース 表彰式 photo:Satoru Kato山岳賞は地元沖縄出身の普久原奨(沖縄選抜)山岳賞は地元沖縄出身の普久原奨(沖縄選抜) photo:Satoru Kato

一方、序盤からおよそ150kmの逃げに乗り、山岳賞を取った普久原は「勝負するつもりでいましたが、集団の雰囲気が行けそうな感じだったので逃げにチャレンジしました。6人で逃げている時は協調して回し、最後に3人になった時も行けるところまで行こうと話していました。結果として山岳賞を取れたのは嬉しいです。

やはり地元沖縄でのレースなので、沖縄県勢として表彰台に乗る事は使命であると考えています。このレースから次の若い世代が育ってくれることも期待したいです」と、地元レースを走る意義を語った。

女子国際ロードレース 100km

普久川ダム頂上を通過する女子国際の先頭集団普久川ダム頂上を通過する女子国際の先頭集団 photo:Makoto.AYANOエレン・ファンダイク(WTC de アムステル)、中井彩子(鹿屋体育大学)、與那嶺恵理(FDJ)の逃げる3人エレン・ファンダイク(WTC de アムステル)、中井彩子(鹿屋体育大学)、與那嶺恵理(FDJ)の逃げる3人 photo:Makoto.AYANO
女子国際ロードはエレン・ファンダイク(WTC de アムステル)が優勝女子国際ロードはエレン・ファンダイク(WTC de アムステル)が優勝 photo:Satoru Kato女子国際ロードレース 表彰式女子国際ロードレース 表彰式 photo:Satoru Kato

女子国際ロードレースは、沖縄本島北端の奥をスタートし、与那の登りを1回通過して名護にゴールする100km。与那の登りを過ぎるまでに、昨年2位で今年のチームTT世界選優勝メンバーのエレン・ファンダイク(WTC de アムステル)、女子全日本ロードチャンピオンの與那嶺恵理(FDJ)、中井彩子(鹿屋体育大学)の3人が残る。残り10kmで中井が遅れ、ファンダイクと與那嶺のマッチレースに。最後はスプリント勝負になり、僅差でファンダイクが優勝した。

「昨年も僅差で2位だったけれど、今年は勝ててとても嬉しい。おきなわのコースはとてもハードだから、昨年も3人が残る展開になったけれど、最後は2人になった。恵理はとても強かったから最後まで気が抜けなかった」と、ファンダイクはコメント。

ジュニア国際レース 140km

羽地ダムへの登りでペースが上がるジュニア国際のメイン集団羽地ダムへの登りでペースが上がるジュニア国際のメイン集団 photo:Makoto.AYANOジュニア国際の先頭集団後方に細田 悠太(南大隅高校)と古林 一夢(南大隅高校)がつくジュニア国際の先頭集団後方に細田 悠太(南大隅高校)と古林 一夢(南大隅高校)がつく photo:Makoto.AYANO
ジュニア国際レースは細田悠太(南大隅高校)が優勝ジュニア国際レースは細田悠太(南大隅高校)が優勝 photo:Satoru Katoジュニア国際レース 表彰式ジュニア国際レース 表彰式 photo:Satoru Kato

ジュニア国際レースは、国頭村をスタートして与那の登りを2回通過し、名護にゴールする140km。2回目の与那の登りの後、細田悠太(南大隅高校)が単独で逃げるも、残り20km付近で吸収。最後は13人のスプリント勝負となり、逃げていた細田が優勝した。

細田は「捕まるなら残り10km手前の羽地ダムを過ぎてからと考えていましたが、その前で捕まってしまったので、そこからは脚が辛かったです。でも登りさえついて行ければ足が回復出来ると思っていたので、攣りそうな脚を揉みながら登りました。

最後のスプリントは自分が思っていたよりも早いタイミングで出てしまったので、すぐ後ろに来ていると思って後ろを見る余裕がありませんでした。でもスプリントになったら勝てる自信はあったので、自分を信じて踏み切りました。

次の目標は3月の高校選抜です。ロードもトラックも全部勝つつもりで行きます」と、語った。
ツール・ド・おきなわ2017 国際レース結果
男子チャンピオンロードレース 210km
1位佐野淳哉(マトリックスパワータグ)5時間28分48秒
2位カーズ・ヨルン・コース(WTC de アムステル)+0秒
3位畑中勇介(チーム右京)
4位ジャイ・クロフォード(キナンサイクリングチーム)
5位吉岡直哉(那須ブラーゼン)
6位プーチョン・ジァウドムシン(タイナショナルチーム)
7位中島康晴(キナンサイクリングチーム)
8位小森亮平(愛三工業レーシングチーム)
9位平塚吉光(チーム右京)
10位ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
山岳賞:普久原奨(沖縄選抜)
U23賞:ルイス・ライナウ(チームサワーランド)
女子国際ロードレース 140km
1位エレン・ファンダイク(WTC de アムステル)3:10:57
2位與那嶺恵理(FDJ)+0秒
3位中井彩子(鹿屋体育大学)+1分42秒
4位合田祐美子(BH BIORACER)+8分43秒
5位牧瀬翼
6位樫木祥子(AVENURA AIKOH VICTORIA RACING)
7位大堀博美(YOKOSUKA UNO Racing)+8分44秒
8位フェデダリン・ソマラ(タイナショナルチーム)+9分28秒
9位金子広美(イナーメ信濃山形・バイクサンド)+10分8秒
10位西加南子(LUMINARIA)+11分23秒
ジュニア国際ロードレース
1位細田悠太(南大隅高校)4時間6分0秒
2位吉原愛喜(石田高校)+1秒
3位成海大聖(普天間高校)
4位古林一夢(南大隅高校)+2秒
5位天野壮悠(千里高校)
6位ヴィクター・ブローエックス(WTC de アムステル)
photo:Makoto AYANO,Satoru Kato
text:Satoru Kato
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