2016年に伊豆大島で行われた全日本選手権を制した初山翔(ブリヂストンアンカー)がNIPPOヴィーニファンティーニと2018シーズンの選手契約を締結。イタリアを中心に世界のレースを転戦していく。



2016年の全日本選手権ロード男子エリートをワンツーフィニッシュで飾った初山翔(チームブリヂストン・アンカー)と西薗良太(チームブリヂストン・アンカー)2016年の全日本選手権ロード男子エリートをワンツーフィニッシュで飾った初山翔(チームブリヂストン・アンカー)と西薗良太(チームブリヂストン・アンカー) photo:Yuichiro Hosoda
NIPPOヴィーニファンティーニへと移籍する初山翔は1988年生まれの29歳。U23時代にNIPPOのサポートを受け、イタリアでアマチュアチームに所属し、本場のレース経験を積んできた。2011年からは日本に活動拠点を移し、宇都宮ブリッツェンで国内レースを戦う。

2013年にブリヂストンアンカーへと移籍。以降、5年間現チームで活動し続けてきた。2013年には、ツール・ド・おきなわで優勝、2015年にはツール・ド・シンカラの第9ステージを獲得するなど、頭角を現す中で2016年に全日本選手権ロードレースでチームメイトの西園良太と共にワンツーフィニッシュを果たし、全日本チャンピオンの座を手に入れた。

全日本チャンピオンジャージを纏って戦った今シーズンはツアー・オブ・ジャパンで山岳賞を獲得し、その力を証明。その活躍が今回の移籍に繋がったとも。以下、NIPPOヴィーニファンティーニのリリースより初山翔と大門宏監督のコメント。

今年のツアー・オブ・ジャパンにて、2日目の京都ステージ以降、山岳賞ジャージを着続けた初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)今年のツアー・オブ・ジャパンにて、2日目の京都ステージ以降、山岳賞ジャージを着続けた初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) photo:Satoru.Kato
初山翔のコメント
高校生のときからヨーロッパプロを目指してきました。かなり遠回りしましたが、曲がりなりにも到達できて率直に嬉しく思います。U23時代にNIPPOからのサポートを受けてイタリアアマチュアチームに所属していましたので、ヨーロッパでのプロ入りの厳しさは心得ているつもりです。来年は今まで以上に厳しい環境に身を投じ、成長スピードに拍車をかけたいと思っております。もう多くの時間は残されていませんので、後悔することのないよう選手活動を行うつもりです。

また5年間ブリヂストンアンカーにお世話になりましたが、入団当初は主にアシストとしてレースを走り、多くのことを勉強させていただきました。ここ数年はエースを任されるレースもあり、勝つことの難しさと責任を教えていただき、様々な面で成長させていただきました。5年間のチームメイト、スタッフ、ブリヂストンサイクルの皆様、並びにスポンサー各社様に大変感謝しております。

引き続きご声援のほどよろしくお願いします。

大門宏監督のコメント
初山も西村同様にU23カテゴリー1年目から注目していた選手の1人。イタリアでアマチュア時代を過ごしたのち宇都宮ブリッツェンに在籍。もうヨーロッパへの挑戦は懲りたのか、まだ気持ちのなかで "世界ランキングへの挑戦" に興味があるのか、と久しぶりに連絡を取り合ったことがあったが、まだ魂にみなぎるモノを感じ、ホッとしたことを覚えている。

その後、ブリヂストンアンカーに移籍したので、その ”狼煙"は再挑戦の証とも見受けられ、陰ながら見守っていた。昨年、全日本チャンピオンになったシーズン後半に打診を受けたが、タイミング的に遅かったので止むなく見送ったが、今シーズンは春からツアー・オブ・ジャパンにかけ、決して 全日本チャンピオン"に慢心することなく「さらに上を目指したい」と言う強い意志が彼の走りから伝わってきた。

実力はあるが結果には恵まれなかった選手に良くあることだが、全日本チャンピオンのタイトルを取ったということより、世間から注目されている大会で勝てたことで、周りからの評価されたことが彼にとって大きな自信になったのだと思う。

ツアー・オブ・ジャパンで3勝を挙げたカノラが初山の積極的な走りと結果(山岳賞獲得)を高く評価したことも決め手となった。もちろん20代前半、イタリアで試行錯誤を重ね苦労していたころ必死に覚えたであろうイタリア語で、彼とコミュニケーションが取れたこともプラスに作用したことは言うまでもない。

日本人のUCIポイントの獲得状況によっては、誰が勝ってもポイントが日本に加点される全日本選手権への出場をあえてキャンセルして、前後のレースを優先させることも容赦しないというチームオーダーの極端なシフト、スケジュールの割り当てもありえることを説明したときは、さすがに本人も戸惑っていたが、来季は、レースの数、レベル、転戦の移動距離、与えられるミッション等、これまでとは全く別世界だと言うことは、彼にはクドいくらい再確認した。他のメンバーと共に少しでも世界との距離を縮め、日本のレベルアップに貢献できる選手に成長してくれることを願っている。