26回目を迎えたジャパンカップがいよいよスタートする。宇都宮市街を熱狂に包む土曜日のクリテリウム、そして屈指のアタック合戦が繰り広げられる日曜日の舞台をチェックしておきたい。



メモリアル大会としてスタートした日本最大のワンデーレース

26回目を迎える、アジア最高峰のワンデーレース26回目を迎える、アジア最高峰のワンデーレース photo:Kei Tsuji
コース脇にジャパンカップの歴史ボードが併設されているコース脇にジャパンカップの歴史ボードが併設されている photo:Makoto.AYANO今から24年前の1990年に宇都宮でロード世界選手権は開催された。使用されたのは宇都宮市と鹿沼市をまたぐ時計回り(現在と逆回り)の周回コース。公式の記録によると、コースに詰めかけた観客の数は12万人。ルディー・ダーネンスとディーク・デヴォルフのベルギーコンビがワンツー勝利を飾っている。

その2年後の1992年、ジャパンカップはロード世界選手権のメモリアルレースとして初開催された。初回大会を制したのはパリ〜トゥールでの優勝をひっさげて来日したヘンドリック・ルダン(現ユナイテッドヘルスケア監督)。1993年からは、世界屈指のクライマーとして知られたクラウディオ・キャプッチ(イタリア)が3連覇を果たしている。

1996年にはUCIワールドカップの最終戦に組み込まれ、「ウツノミヤ」や「ジャパンカップ」の名前がヨーロッパでも知られた存在に。以降、毎年晩秋の宇都宮に世界のトップ選手が集結し、シーズン最後のレースとしてバトルを繰り広げた。1997年には、当時の世界トップチームであるマペイに所属していた阿部良之が日本人選手として初めてジャパンカップを制している。

2008年からは、アジア最高峰のカテゴリーであるHC(超級クラス)レースとして開催。2010年からは宇都宮市のど真ん中でクリテリウムレースが併催され、2日間にわたって宇都宮を盛り上げる巨大イベントに成長した。



ジャパンカップクリテリウム:宇都宮の目抜き通りを駆ける

宇都宮市大通り周回コース
周長:1周=2.55km
総距離:38.25km(2.25km/パレード2周+レース15周)

2010年に初開催されたクリテリウム。今年もHCレース前日の土曜日に開催される。宇都宮市の目抜き通りである宇都宮市大通りを規制して作られた直線的なコースが舞台だ。

駅前大通のコーナーを折り返す集団駅前大通のコーナーを折り返す集団 photo:Makoto.AYANOレーススタート前のパレードも見逃せないレーススタート前のパレードも見逃せない photo:Kei Tsuji


昨年、25回大会を記念して西側に延伸したコースの総延長は1周2.25km。選手たちはパレード走行としてこの周回を2周後、15周合計38.25kmのバトルに挑む。クライマー有利なジャパンカップ本戦とは異なり、クリテリウムはスプリント力のある選手たちの活躍の場。毎年平均45km/h前後の高速レースが繰り広げられる。

ラスト650mの最終180度ターンを好位置で抜け、熾烈なポジション争いを制し、宇都宮の空に両手を突き上げるのは果たして誰か?別府史之(トレック・セガフレード)は3連覇狙いを公言しており、その走りは必見。世界屈指のトップ選手たちがコース全周に渡って詰めかけた観客を大いに沸かすことになる。

ジャパンカップ2017クリテリウムコースジャパンカップ2017クリテリウムコース image:Japan Cup


ジャパンカップ:古賀志林道を14回通過する全長144.2kmコース

宇都宮市森林公園周回コース
周長:1周=10.3km
総距離:144.2km(10.3km×14周)

アジア最高峰のUCI.HCクラスとして開催される日曜日のジャパンカップ本戦。今年も3年連続で萩の道から多気、射撃場、鶴カントリー倶楽部のルートを除いた1周回10.3kmのコースで争われることとなる。

最大の見所は毎年おなじみ、標高差185mを一気に駆け上がる古賀志林道の上り坂。毎年大勢の観客が詰めかけ、思い思いの方法で選手たちに声援を送るポイントであり、この頂上部分には4回(3、6、9、12周回)の山岳賞が設定されている。

古賀志林道を登るプロトン古賀志林道を登るプロトン photo:Kei Tsuji田野町交差点からは細かいアップダウンの連続。アタックを誘発し、集団の追走を難しくする田野町交差点からは細かいアップダウンの連続。アタックを誘発し、集団の追走を難しくする photo:Makoto.AYANO


ジャパンカップ2017周回コースジャパンカップ2017周回コース image:Japan Cup頂上を越えると、カーブが連続するハイスピードダウンヒルが登場。普段から交通量が少ないため、苔に覆われている箇所もあり、雨が降れば落車が発生する危険な下りになる。危険が伴うため古賀志林道の頂上から県道に至るまでの約3.5kmは観客の立ち入り禁止区域。逆にこの下りで集団から飛び出す選手も出てくるだろう。

下りを終えて県道に入り、田野町交差点を左折してからは細かいアップダウンの繰り返し。スプリント勝負に持ち込みたくないチーム/選手がこの起伏を利用してアタックしてくるはず。なお、古賀志林道の頂上からゴールまでは約8kmだ。

昨年は最終周回の古賀志林道で抜け出したダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)が独走勝利しており、雨予報が出ている今年はどのような展開が待ち受けるのか。なお狭い古賀志林道では安全を確保するために、傘の使用を控えるよう案内が出ているので注意されたい。



ジャパンカップ2017スケジュール
10月20日(金)
19:00〜21:00 チームプレゼンテーション(オリオンスクエア)

10月21日(土)
9:00〜 オープニングフリーラン(森林公園周回コース)
9:50〜 チャレンジレース(森林公園周回コース)
11:00〜 オープンレース男子/女子(森林公園周回コース)
14:40〜 ホープフルクリテリウム(宇都宮市大通り周回コース)
15:00〜 ガールズケイリンスペシャルレース(宇都宮市大通り周回コース)
15:40〜 ジャパンカップクリテリウム(宇都宮市大通り周回コース)
18:30〜 クリテリウム表彰式(オリオンスクエア)

10月22日(日)
10:00〜 ジャパンカップ(森林公園周回コース)

text:So.Isobe