残り30km地点に登場した2級山岳を乗り越えた50名によるスプリント。リードアウトトレインを失いながらも自力で突破口を開いたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)がツアー・オブ・ターキー第5ステージで負けなしのスプリント4勝目を飾った。


UAEチームエミレーツが長時間メイン集団をコントロールUAEチームエミレーツが長時間メイン集団をコントロール photo:Brian Hodes / VeloImages
ツアー・オブ・ターキー第4ステージのフィニッシュはトルコ第3の都市イズミル。翌日のイスタンブール最終ステージを前に総合成績を動かす最後のチャンス。残り30km地点に設定された2級山岳が総合狙いのクライマーとステージ狙いのスプリンターの脚を試した。

166kmレースは前半から5名が逃げる展開。ボーラ・ハンスグローエはシェイン・アーチボルド(ニュージーランド)を逃げに送り込むことで集団牽引には加わらなかった。リーダーチームのUAEチームエミレーツにトレック・セガフレードが加わる形でメイン集団は逃げグループとのタイム差を2分以内に抑え込んだまま進んで行く。

逃げを1分差で追うメイン集団では大きな落車が連続して発生。ベネットのリードアウト役を担うミヒャエル・シュヴァルツマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)を含め、多くの選手が集団から脱落してしまう。構わずトレック・セガフレードとUAEチームエミレーツがハイペースを刻むメイン集団は最後の2級山岳中腹で逃げを飲み込んだ。

すると山頂手前で総合4位のダニエル・マルティネス(コロンビア、ウィリエール・トリエスティーナ)がアタック。先に飛び出していたイリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ウィリエール・トリエスティーナ)に合流したマルティネスが総合ジャンプアップを狙ったが、UAEチームエミレーツ率いる約20名の集団がこの動きを封じ込める。2級山岳で脱落していたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)を含む約30名の第2集団が残り7km地点で先頭に合流。こうして50名ほどに人数を増やした集団によるスプリント勝負に持ち込まれることに。

UAEチームエミレーツが先頭に陣取ったままイズミルの街に入り、ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF)の残り3kmからのアタックも吸収。どのチームもトレインを形成できない状態のまま最終ストレートに入ると、残り700mからボーイ・ファンポッペル(オランダ)とエドワード・トゥーンス(ベルギー)を引き連れる別府史之が一気に集団先頭に上がった。

リードアウトは別府からファンポッペルに引き継がれ、その後ろからトゥーンスがスプリント開始のタイミングを窺う中、残り150mから先に加速したのがポイント賞ジャージのベネット。すでに開幕3連勝を飾っていたベネットがこの日もライバルたちを寄せ付けない加速力で先頭フィニッシュを決めた。

スプリントで4勝目を飾ったサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)スプリントで4勝目を飾ったサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Brian Hodes / VeloImages
「キャリアの中で目標の一つでもあったシーズン10勝を初めて達成できてとにかく嬉しい」と、今大会スプリントで負けなしの4連勝を飾ったベネットは成功のシーズンを喜ぶ。「昨日は登りで苦しんだけど、表彰式を久々にパスできたおかげで10時間たっぷり寝てリカバリーできた。明日(最終ステージ)に向けてエネルギーを節約するべきか悩んだけど、トゥーンスも苦しんでいたし、勝負することにした。総合争いには加われないのでスプリントでUCIポイントを重ねる必要がある。欲張りになるつもりはないけど、明日も勝って大会を締めくくりたい」。

ターコイズブルーのリーダージャージを守ったディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)は「明日は大きな登りもないので、今日と同じように状況をしっかりコントロールして、良い位置でフィニッシュしたい。そして今日3位だったコンソンニのスプリント勝利を狙う。仮にライバルたちが攻撃を仕掛けてきても迎え撃つ戦力がUAEチームエミレーツにはある」とコメント。初の総合優勝に王手をかけた。

サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が再び表彰台の真ん中に立つサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が再び表彰台の真ん中に立つ photo:Brian Hodes / VeloImages
ツアー・オブ・ターキー2017第5ステージ結果
1位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 4:06:51
2位 アフメット・オルケン(トルコ、トルコナショナルチーム)
3位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
4位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
5位 ミハル・パルタ(ポーランド、CCCスプランディ・ポルコウィチェ)
6位 リカルド・ミナーリ(イタリア、アスタナ)
7位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニ・シデルメク)
8位 ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニ・シデルメク)
9位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニ・シデルメク)
10位 グレゴリー・アボー(ベルギー、WBベランダスクラシック)
46位 別府史之(日本、トレック・セガフレード)
個人総合成績
1位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 23:07:41
2位 ジェスパー・ハンセン(デンマーク、アスタナ) 0:00:12
3位 ファウスト・マスナダ(イタリア、アンドローニ・シデルメク) 0:00:24
4位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、ウィリエール・トリエスティーナ) 0:00:29
5位 ヨンデル・ゴドイ(ベネズエラ、ウィリエール・トリエスティーナ) 0:00:30
6位 イルダール・アルスラノフ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)
7位 フランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、アンドローニ・シデルメク) 0:00:42
8位 プシェメスワフ・ニエミエツ(ポーランド、UAEチームエミレーツ) 0:00:47
9位 アンドレイ・ツェイツ(カザフスタン、アスタナ) 0:00:50
10位 ヤルリンソン・パンタノ(コロンビア、トレック・セガフレード) 0:01:03
ポイント賞
1位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) 60pts
2位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) 53pts
3位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 46pts
山岳賞
1位 ミルコ・マエストリ(イタリア、バルディアーニCSF) 14pts
2位 ダニーロ・チェラーノ(イタリア、カハルーラル) 12pts
3位 アレッサンドロ・トネッリ(イタリア、バルディアーニCSF) 8pts
チーム総合成績
1位 ウィリエール・トリエスティーナ 69:24:56
2位 UAEチームエミレーツ 0:00:21
3位 ボーラ・ハンスグローエ 0:01:27

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