ここ10年ほどで、もっとも認知度を上げたブランドとしてサーベロを挙げても異論を唱える人は少ないだろう。

サーベロ R3サーベロ R3 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
実際ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアなどのグランツールからパリ~ルーベなどのクラシックレースにおいても数々の勝利を挙げてきた。もちろんライダー達の力が無ければ成し得なかったことであるが、サーベロのバイクの優秀さも忘れてはならないポイントだ。

サーベロは1995年にフィル・ホワイトとジェラルド・ヴルーメンによってスタートした新興ブランドだ。そもそも最初は革新的なタイムトライアルバイクを開発しようとしていたので、ロードレースよりトライアスロン界で先に名声を得た。

スクオーバルという名の通り、四角形に近いダウンチューブスクオーバルという名の通り、四角形に近いダウンチューブ 近くで見るとトップチューブもかなりのボリュームだ近くで見るとトップチューブもかなりのボリュームだ


CERVELOとはイタリア語の頭脳とフランス語の自転車を掛け合わせた造語だCERVELOとはイタリア語の頭脳とフランス語の自転車を掛け合わせた造語だ 2006年と2007年にパリ・ルーベを制したことが誇らしげに書かれている2006年と2007年にパリ・ルーベを制したことが誇らしげに書かれている


タイムトライアルバイクが得意というころから分かるように、最初にブレイクしたモデルは世の中にエアロロードという言葉を定着させたソロイストシリーズだ。UCIの6.8kgという車重規制があるなかで、軽量方向に持って行けなくなった技術力を空気抵抗の削減に回したモデルだ。

このモデルの成功により、サーベロは新しいバイクの開発に取りかかる。それはRシリーズである。サーベロの理念であるエアロダイナミクスではなく、軽量でありながら高い剛性をもったバイクを実現するべくR3は誕生した。

R3はSTW(スティフネス・トゥ。ウェイト=車重に対する強度の比率)を追求しており、軽さ、剛性、耐久性を兼ね備えており、山岳ステージなどで幾多の勝利を収めた。

フロントフォークもクリアランスが十分で太いタイヤに対応するフロントフォークもクリアランスが十分で太いタイヤに対応する 評価の高い3T・フンダフォークを装備する評価の高い3T・フンダフォークを装備する R3の快適性の秘密であるスーパースリムシートステーR3の快適性の秘密であるスーパースリムシートステー


『スクオーバルチェーンステー&ダウンチューブ』や、『スーパースリムシートステー』など、今ではライバルメーカー達が模倣している技術も、このバイクが源だ。またBBも『オーバーサイズボトムブラケットエリア』としてボリュームアップされていて、スクオーバル構造のダウンチューブからシートステーを繋ぐ重要な役割を果たしている。

そして興味深いのは『レイアップ・オプティマゼーション』という、チューブに強化プライを加える技術だ。通常のバイクが軽量性と剛性の追求だけに血道を上げているのに対して、R3はこの技術で曲がりに対する強化のみならず、破損に対する強化もしている。STWの概念がこんな所にも生きている。

また、ラフコンディションにも強く、太いタイヤと泥のためにクリアランスが必要な場合を考慮してあり、700×28Cのタイヤを履かせることも可能だ。極細のシートステーと合わさることで、ひと足先んじている快適な走りをもたらしてくれる。

特徴的な角形断面チューブであることがよくわかる特徴的な角形断面チューブであることがよくわかる ヘッド周辺も可九段目んチューブの流れを汲んだ形状だヘッド周辺も可九段目んチューブの流れを汲んだ形状だ ダウンチューブからBB、シートステーへのボリュームある流れダウンチューブからBB、シートステーへのボリュームある流れ



2008年には上位モデルR3SLもデビューしているが、R3は未だに高級モデルであり、十分な魅力に満ちている。その秘密をテストライダー両氏に確かめてもらおう。早速、インプレッションをお届けしよう。






― インプレッション


「いつでも何処でもペダルを踏み下ろせる高いバランスを持つ」 鈴木祐一(Rise Ride)


キビキビ走る小気味よさはサーベロ独特のものだ(鈴木祐一)キビキビ走る小気味よさはサーベロ独特のものだ(鈴木祐一) サーベロのバイクは運動性能がものすごく高い。学校で例えると、だいたいクラスに1人はいた「スポーツ万能な男の子」という感じだろうか?ものすごくキビキビと走る自転車だというのが第一印象だ。

上りも下り平坦全てを高い次元でこなす。フレーム自体の切れが良いバイクで、とても好印象を受けた。以前に2009年のSシリーズをインプレッションしたことがあるが、Rシリーズであっても、サーベロが造りたいバイクの特徴がよくでている。

ただ、RシリーズとSシリーズは根本的に違う。どんな部分が違うかというと、快適性だ。これは抜群に違う。それを言葉で表すと『シルキー』。よく使われる表現だが、この言葉がピッタリと来ると思う。

サーベロを駆るヨーロッパの選手が、北のクラシックなどの石畳の上や悪路のレースでこのバイクを積極的に使うというのも、振動吸収性に関しては「ああ、なるほど。絶対これを選ぶワケだ」というほど納得できるフィーリングを持っている。

ただ、これはレースを走るバイクなので、ライダーの力をわずかでも逃がしたくないという本音を裏切らない。この部分は不思議な感覚だ。通常なら振動吸収性が高ければ、伝わってくるロードインフォメーションも少なくなってしまうのだが、このバイクにはそれがない。

ペダルを踏みつけているときに路面から突き上げられてリヤタイヤから衝撃が伝わってくると、上から踏んでいる自分の力と下からくる突き上げで、一瞬のことだが足が跳ね返される感じがすることがある。その時はペダルを踏み下ろせなくなってしまい、力がロスしているように感じてしまう。

しかしR3にはそれがない。ペダルを踏んだ力が、リヤタイヤからの突き上げがあるときも止まらない。サスペンションバイクのようにリヤにたわみがあると、たぶん踏んでいる力がロスしている感覚になってしまうと思うが、そうした感覚がないのだ。

鈴木佑一鈴木佑一 抵抗感がないフィーリングでスッとペダルが下がっていく。足と地面からの力で振動が板挟みになっているはずなのだが、それが上手く吸収されている。それがこのバイクの素晴らしい振動吸収性に繋がっているのだと思う。

他にはちょっと存在しない特性のバイク。自分の知る中ではとてもレベルの高いフィーリングに成っている。そこがこのサーベロのもっとも強く推したいところだ。
 
サーベロの他の車種にも言えることだが、ダンシングの振りが軽いのが特徴的。やる気にさせてくれるのだ。とにかくキビキビ走る。

最初に言ったようにそれがキレがいいというところにつながってくるのだろうか。俊敏な動きでスッスッと自転車が前に進んでいくのは、同社のバイクの特徴であり、乗り手のやる気を刺激し、推進力に変える軽さを持っているな、と思う。

下りのコーナーリングなどは結構クイックだと思う。バイクの扱いに習熟していないライダーが乗ると、結構不安定に感じると思うので注意してもらいたい。もっともこのバイクで上手くなればいいだけの話ではあるが。

自分としてはとても好きなフィーリングだ。クイックさが気持ちよさに繋がって、バイクコントロールを積極的に出来る。安定とか、安心ではなくて、前向きに楽しんで攻めていけるハンドリング性能を持っている。

加速性も悪くない。ただ、Sシリーズほどの鋭さはない。そこは性格の違いだろう。とはいえレースで使えないほど鈍くはない。使用用途はやはり長距離のロードレースが向いている。もちろんロングライドもこなせる快適性をもっている。

アタックを決めて攻めていくというよりは、後半勝負、自分の体力を途中までは温存して、残った体力を爆発させていくというようなバイクだろうか。そういう良いイメージを抱かせてくれるバイクだと思う。



「クライミングバイクとしてとても優秀。剛性・軽さ・快適さ すべて高レベル」 浅見和洋(なるしまフレンド)


登坂性能に優れたクライミングバイク(浅見和洋)登坂性能に優れたクライミングバイク(浅見和洋) 非常に軽量で、加速性に優れたクライミングバイクという印象を受けた。とても優れている点は、登坂時の取り回しの良さだ。非常にダンシングがしやすい。

旧型と比べると、シートポストが27.2mmと細身のものに変更されているので、結果、シートチューブもサイズダウンが可能となり、それが振動吸収性の良さに繋がっているように感じる。

車体の上部の重量が非常に軽いと感じた。ジオメトリーでクイックな仕上がりを演出し、反応性なども良い仕上がりになっているので、それが取り回しの良さに繋がっているのだと想像できる。

このバイクは軽くて剛性も比較的高めなので、できれば体重の軽量なライダーに乗ってもらいたい。軽量であればあるほど、R3の加速性能を高められるのではないだろうか。

とても細身に仕上げられたシートステーが利いているせいか、振動吸収性は非常に高いレベルだ。

最適な用途としては、剛性が高くて軽量なので、やはりヒルクライムだろうか。しかし意外にもクリテリウムなどにも向いていると思う。

この高性能バイクが広く普及して欲しい。心からそう思った。





サーベロ R3サーベロ R3 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
サーベロ R3
フレームマテリアル:サーベロ・スクオーバルスマートウオールカーボン
フォーク:3T・フンダプロ
フレームサイズ:48、51、54、56
希望小売価格:37万8000円(フレームセット)、55万6500円(シマノ・アルテグラ完成車)


インプレライダーのプロフィール


鈴木 祐一鈴木 祐一 鈴木祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストンMTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


浅見 和洋浅見 和洋 浅見 和洋(なるしまフレンド)|

プロショップ「なるしまフレンド原宿店」スタッフ。身長175cm、体重65kg。かつては実業団トップカテゴリーで走った経歴をもつ。脚質は厳しい上りがあるコースでの活躍が目立つクライマータイプだ。ダンシングでパワフルに走るのが得意。最近の嗜好は日帰りロングランにあり、例えば東京から伊豆といった、距離にして300kmオーバーをクラブ員らと楽しんでいる。
なるしまフレンド



ウェア協力:カステリ(インターマックス)


text:吉本 司
photo&edit:綾野 真

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