ツール・ド・北海道の第3ステージが行われ、キナンサイクリングチームのマルコス・ガルシアが、函館山頂上ゴールを制してステージ優勝。個人総合優勝も勝ち取った。ポイント賞は岡本隼(愛三工業レーシングチーム)、山岳賞は冨尾大地(鹿屋体育大学)が獲得した。


各賞ジャージは日本人選手だけが並ぶ各賞ジャージは日本人選手だけが並ぶ photo:Hideaki TAKAGI
スタート前、日本大学は岡本隼(愛三工業レーシングチーム)を交えて作戦会議スタート前、日本大学は岡本隼(愛三工業レーシングチーム)を交えて作戦会議 photo:Satoru Kato宇都宮ブリッツェン清水監督と、ブリヂストンアンカー水谷監督が立ち話宇都宮ブリッツェン清水監督と、ブリヂストンアンカー水谷監督が立ち話 photo:Satoru Kato

ツール・ド・北海道第3ステージは77kmのショートステージ。距離は短かいが、ゴールは絶景スポットとして有名な函館山の山頂。ツール・ド・北海道史上初の試みで、今大会のハイライトとなるステージだ。

朝方まで雨が残っていた函館市内だが、レースがスタートする前にはあがって急速に青空が広がった。函館山からは青森県の竜飛岬が見えるほどの良い天気の下、最終ステージがスタートした。

15km地点の逃げ4人。山岳賞2位の冨尾大地(鹿屋体育大学)が逆転をかけて逃げる15km地点の逃げ4人。山岳賞2位の冨尾大地(鹿屋体育大学)が逆転をかけて逃げる photo:Hideaki TAKAGIKOMまであと1km 鹿屋体育大学勢が冨尾大地(中央右、鹿屋体育大学)のリードアウトをするKOMまであと1km 鹿屋体育大学勢が冨尾大地(中央右、鹿屋体育大学)のリードアウトをする photo:Hideaki TAKAGI

初日と同じ函館競輪場をスタート。まずは26.8km地点の4級山岳に向けて、日本大学と鹿屋体育大学の山岳賞をめぐる争いが始まる。

ハイスピードのアタック合戦から、山岳賞2位の冨尾大地(鹿屋体育大学)を含む4人の逃げが形成される。15秒ほどの差がつくが、山岳ジャージを着る草場啓吾ら日本大学勢が集団を牽引し、4級山岳を前に逃げを吸収。すると今度は鹿屋体育大学が列車を組み、徳田匠、山本大喜、黒枝咲哉の順にラスト50mで冨尾を発射。草場が追うものの冨尾がそのまま首位通過し、1点リードしてバーチャルの山岳賞首位に立つ。

50km地点 好天に恵まれた3日間。汐首岬付近50km地点 好天に恵まれた3日間。汐首岬付近 photo:Hideaki TAKAGI
65km地点 メイン集団は愛三工業レーシングチームが引く65km地点 メイン集団は愛三工業レーシングチームが引く photo:Hideaki TAKAGI68km地点 逃げる入部正太朗(シマノレーシング)と中田拓也(インタープロサイクリングアカデミー)68km地点 逃げる入部正太朗(シマノレーシング)と中田拓也(インタープロサイクリングアカデミー) photo:Hideaki TAKAGI

その後は平坦基調の海岸線を、リーダーチームの愛三工業レーシングチームが集団を率いていく。抜け出しを図る動きがあるも、決定打とならずに集団が吸収。入部正太朗(シマノレーシング)と中田拓也(インタープロサイクリングアカデミー)が抜け出し20秒ほどの差をつけるがこれも吸収される。

ラスト7km 函館山入口へ向けて位置取りが激しくなるラスト7km 函館山入口へ向けて位置取りが激しくなる photo:Hideaki TAKAGIラスト5km 函館護国神社前の急坂を佐野淳哉(マトリックスパワータグ)先頭で駆け上がるラスト5km 函館護国神社前の急坂を佐野淳哉(マトリックスパワータグ)先頭で駆け上がる photo:Hideaki TAKAGI
函館護国神社前は観客でいっぱい函館護国神社前は観客でいっぱい photo:Hideaki TAKAGIラスト4km 土井雪広(マトリックスパワータグ)先頭で函館山登山道路に入るラスト4km 土井雪広(マトリックスパワータグ)先頭で函館山登山道路に入る photo:Hideaki TAKAGI


残り10kmを切ると、函館山への登りで前に出たいチームが上がり始める。マトリックスパワータグがスプリントをするような隊列を組んで牽引、その後ろにキナンサイクリングチーム、NIPPOヴィーニファンティーニの順で、残り4kmから始まる函館山登山口に土井雪広(マトリックスパワータグ)を先頭に突入していく。

登りに入ると、NIPPOヴィーニファンティーニ5人が集団の先頭に集まってペースアップ。西薗良太(ブリヂストンアンカー)、マルコス・ガルシア、トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)、ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)らが続き、先頭集団は20名ほどに絞られる。

ラスト2km NIPPOヴィーニファンティーニが5人で先頭を固めるラスト2km NIPPOヴィーニファンティーニが5人で先頭を固める photo:Hideaki TAKAGIラスト1.8km マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がアタックラスト1.8km マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)がアタック photo:Hideaki TAKAGI

残り2km、ガルシアがアタック。これを中根英登らNIPPOヴィーニファンティーニが追いかけて吸収すると、今度はトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)がアタック。これも中根英登らNIPPOヴィーニファンティーニが吸収に行く。

残り1km、ガルシアが再びアタックすると、ついて行けたのは西薗良太(ブリヂストンアンカー)だけ。西薗は残り150mで先行するも、ガルシアは残り50mで西薗を抜き去る。山頂に集まった多くの観客の前に先頭で姿を現したガルシアは、10mを残して勝利を確信。両手を大きく広げてゴールした。

10mを残してマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が勝ちを確信10mを残してマルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)が勝ちを確信 photo:Satoru Kato
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)は15位。リーダージャージを守れず。岡本隼(愛三工業レーシングチーム)は15位。リーダージャージを守れず。 photo:Satoru Kato草場啓吾(日本大学)は最終日に山岳賞を手放す草場啓吾(日本大学)は最終日に山岳賞を手放す photo:Satoru Kato

リーダージャージの岡本は52秒遅れの15位でゴール。これにより、ガルシアが逆転で個人総合優勝を決めた。

「函館山の最後の登りが勝負のカギになると思っていたから、ここにかけていた。調子も良かったし、3日間を通してチームも強かった。勝てて本当に嬉しい」と、総合優勝の感想を語る。

キナンサイクリングチームの石田監督は「一度メンバーを決めた後、函館山登りゴールと聞いてマルコスを入れたメンバーに組み直した事と、最終日の残り10kmまで勝負できる位置に残れた事が今回の勝因だと思います。2日目までに大逃げが発生して大差がついてしまう事を心配していましたが、そうならずに最終日まで来た事も幸いしました。マルコスはようやく本領発揮出来てきたと感じています。ツアー・オブ・ジャパンでは(チーム右京のオスカル)プジョルにやられてしまっているので、次は勝ちたいですね」と、次の目標を交えて今回の勝因を語った。

個人総合優勝・マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)、2位・西薗良太(ブリヂストンアンカー)、3位・ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)個人総合優勝・マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)、2位・西薗良太(ブリヂストンアンカー)、3位・ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ) photo:Satoru Kato
ポイント賞 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)ポイント賞 岡本隼(愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru Kato山岳賞 冨尾大地(鹿屋体育大学)山岳賞 冨尾大地(鹿屋体育大学) photo:Satoru Kato

リーダージャージを失ったものの、岡本はポイント賞を獲得。ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)とポイントは並んだが、第2ステージの優勝により上位となった。それでも、第3ステージの15位1点の加算が無ければデネグリに逆転されていたという薄氷の獲得だ。

岡本は「総合優勝は出来なくても、ポイント賞は守りたかった。ホットスポットが取れなかったので、最後の坂しかないと思ってヒヤヒヤでした。昨日のステージ優勝は自信になりました。」と、3日間を総括した。

大学生の争いとなった山岳賞は、冨尾が逆転で獲得。最後は草場との直接対決を制して1点差で奪い取った。冨尾は、「チームが僕のために働いてくれたおかげで山岳賞を取る事ができました。積極的なレースをする事で、自分の持ち味を出せたと思います」と語った。

チーム総合優勝 NIPPOヴィーニファンティーニチーム総合優勝 NIPPOヴィーニファンティーニ photo:Satoru KatoU26チーム総合優勝 鹿屋体育大学U26チーム総合優勝 鹿屋体育大学 photo:Satoru Kato

3日間のツール・ド・北海道が終わった。今回は大学生の活躍が目立ち、ポイント賞と山岳賞を獲得した。これまでもリーダージャージや各賞ジャージを大学生が着る事はあったが、獲得したのは今大会が始めて。U23世代が育ってきている事の現れでもあり、明るい材料だ。

一方で、最終日はトップチーム勢が力を見せ、終わってみれば実力のある選手が上位を占める結果となった。優勝したマルコス・ガルシアはクライマーだが、スプリント勝負になった第1、第2ステージではきっちりと先頭集団に残り、最小限のタイム差にとどめている。優勝候補と目された他の選手も同様で、ステージレースの進め方のお手本と言えよう。
ツール・ド・北海道2017 第3ステージ(函館市-函館山:77km)
1位マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)1時間43分47秒
2位西薗良太(ブリヂストンアンカー)+2秒
3位ホセ・ビセンテ(スペイン、マトリックスパワータグ)+6秒
4位トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
5位ジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
6位サルヴァドール・グアルディオラ(スペイン、チーム右京)+9秒
7位中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)+11秒
8位エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チーム右京)+13秒
9位ドリュー・モレイ(オーストラリア、トレンガヌサイクリングチーム)+18秒
10位ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)+25秒
個人総合時間賞(第3ステージ終了時)
1位マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)9時間44分28秒
2位西薗良太(ブリヂストンアンカー)+6秒
3位ホセ・ビセンテ(マトリックスパワータグ)+12秒
4位ジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)+16秒
5位トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)+16秒
6位サルヴァドール・グアルディオラ(スペイン、チーム右京)+19秒
7位エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チーム右京)+23秒
8位ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)+25秒
9位中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ)+26秒
10位ドリュー・モレイ(オーストラリア、トレンガヌサイクリングチーム)+28秒
個人総合ポイント賞(第3ステージ終了時)
1位岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)42p
2位ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)42p
3位鈴木 龍(ブリヂストンアンカー)37p
個人総合山岳賞(第3ステージ終了時)
1位冨尾大地(鹿屋体育大学)13p
2位草場啓吾(日本大学)12p
3位マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)7p
チーム総合成績(第3ステージ終了時)
1位NIPPOヴィーニファンティーニ29時間14分36秒
2位キナンサイクリングチーム+1分17秒
3位チーム右京+1分33秒
チーム総合U26順位(第3ステージ終了時)
1位鹿屋体育大学29時間27分35秒
2位京都産業大学+23秒
3位セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム+1分46秒
text&Photo:Hideaki TAKAGI,Satoru Kato
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