ゴール直前に置かれた1級山岳で登坂勝負が勃発。ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)の攻撃を防ぎきったジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)がスプリント勝負を制し、メイン集団から抜け出したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)がタイムを稼いだ。



各賞ジャージがカスティーリャ・ラ・マンチャ州のエリンに置かれたスタートラインに並ぶ各賞ジャージがカスティーリャ・ラ・マンチャ州のエリンに置かれたスタートラインに並ぶ photo:CorVos
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第8ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2017第8ステージ image:Unipublicブエルタ・ア・エスパーニャ2017第8ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2017第8ステージ image:Unipublic


カスティーリャ・ラ・マンチャ州のエリンからバレンシア州ショレト・デ・カティまでの199.5kmで行われた第8ステージ。前日に引き続き200km前後のステージで、フィニッシュ手前にカテゴリー山岳が登場するレイアウトも前日と同じ。しかしこの日の登りはカテゴリー1級で、勾配は険しく、しかも頂上はフィニッシュから2.9kmしか離れていない。

ショレト・デ・カティの街はこれまで5回フィニッシュを迎えており、前回は現在ユーロスポーツのコメンテーターとして活躍するダヴィ・モンクティエ(フランス)が勝利した場所。この日は予想通りゴール手前に用意された1級山岳で総合争い、そしてステージ優勝争いが激化した。

この日はスタート前に、ツール・ド・フランスで山岳賞(マイヨ・アポワ)を獲得したワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)のDNSが発表され話題を呼ぶ。チームが配信したプレスリリースによれば、その理由は「チーム戦略に従わなかったための除外」。昨ステージでパンクした総合エース、ウィルコ・ケルデルマン(オランダ)を待たなかったためとされ、「作戦通りに動くことがチーム設立以来の成功の基礎であり、今回のバルギルの動きは看過できない」とリリース内で語られている。

バルギルは前日終了時点でチーム内成績トップの総合13位につけており、アシストとしてのメンバー入りであったものの、展開次第ではエースを担うことも十分に有りえた。来シーズンはサンウェブとの契約を1年残して地元ブルターニュのフォルトゥネオ・オスカロへの移籍を決めているため、バルギルが今後サンウェブのメンバーとしてレースに出場するかは不明瞭だ。

スタート会場に登場したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)スタート会場に登場したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:CorVos静かにスタートを待つアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)静かにスタートを待つアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVos
21名という大所帯になった逃げグループ21名という大所帯になった逃げグループ photo:Unipublic/Photogomez Sport
この日は逃げ切りのチャンスがあることから、21名という大きなエスケープグループが構成される。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)や、ステージ優勝に目標を切り替えたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)、ヤン・ポランツェ(スロベニア)とプシェメスワフ・ニエミエツ(ポーランド)のUAEチームエミレーツコンビ、このブエルタで引退する大ベテランのヘスス・エルナンデス(スペイン、トレック・セガフレード)ら強力なメンバーが入り、3分2秒遅れの22位につけるネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)がバーチャルリーダーとなってレースが進んでいった。

その後方でコントロールを担ったのは、もちろんマイヨロホのクリストファー・フルーム(イギリス)を擁するチームスカイ。37度という酷暑の中、逃げる21名に対して5分差でペースを刻んでいく。

111.1km地点と127.5km地点に用意された3級山岳では、ニエミエツとローレンス・デヴリーズ(ベルギー)、ブレンダン・カンティ(オーストラリア)の3名が争い、それぞれデヴリーズとニエミエツが先着。残り25kmを切ってもチームスカイは吸収の意思を見せずタイム差は4分半をキープしたため、逃げ切りにGOサインが灯った。

チームメイトに守られて集団前方で走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)チームメイトに守られて集団前方で走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:CorVos
1級山岳ショレト・デ・カティが近づくと、逃げグループ内ではマイカを勝たせるべくボーラ・ハンスグローエがペースアップを開始する。登坂まで5kmを残してデヴリーズが単独アタックしたものの、エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)がチェックに回る。一時は12秒のリードを稼いだデヴリーズだったが、本格的な登坂勝負を前に吸収された。

ブッフマンが頂上まで3kmを残してペースアップを図ると一気に集団が割れ、前に残ったのは僅かにマイカ、アラフィリップ、そしてセルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)。マイペースを刻んだポランツェが追いついた瞬間にマイカがアタックし、追従できたのはアラフィリップのみだった。

15%以上の勾配が続く区間で執拗にアタックを繰り返すマイカだったが、ゴール勝負に持ち込みたいアラフィリップは千切れない。牽制でペースが落ちる度にポランツェも復活してくるが、結局マイカは独走に持ち込めないまま、アラフィリップと二人でダウンヒル区間をクリアした。

残り1kmを切って追いつきざまにアタックしたポランツェの攻撃は交わされ、アラフィリップの加速を機にスプリントがスタートする。マイカとポランツェが追従したものの、後ろを振り向きながら軽やかにダンシングしたアラフィリップが2秒差を付けて勝利を飾った。

急勾配区間でアタックを繰り返すラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)急勾配区間でアタックを繰り返すラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos追いつきざまにアタックしたヤン・ポランツェ(スロべニア、UAEチームエミレーツ)追いつきざまにアタックしたヤン・ポランツェ(スロべニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

3名のゴール勝負を制したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ)3名のゴール勝負を制したジュリアン・アラフィリップ(フランス、クイックステップフロアーズ) photo:CorVos
チームスカイではなく、サンウェブの牽きでショレト・デ・カティに突入したプロトンでは、まずサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)がアタック。ここにアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が反応したものの、遅れてフルームが最前線に上がってくる。ハイケイデンスでペースアップしたフルームにはコンタドールだけが食らいつき、粘ったヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)も含め、ライバル達は軒並み遅れを喫した。

協力して先を急ぐフルームとコンタドールは、最終盤にヘルナンデスの力を借りてアラフィリップから1分27秒差でフィニッシュ。ニーバリとファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)、イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ)に対して17秒、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)やダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)に対して28秒差をつけ、総合タイム差を稼ぎ出すことに成功している。

アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が山岳序盤でペースを上げるアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)が山岳序盤でペースを上げる photo:Unipublic/Photogomez Sport
1級山岳ショレト・デ・カティでアタックするクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)1級山岳ショレト・デ・カティでアタックするクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Unipublic/Photogomez Sportフルームに先んじてフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)フルームに先んじてフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:CorVos

ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)やエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)は1分44秒差でフィニッシュファビオ・アル(イタリア、アスタナ)やエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)は1分44秒差でフィニッシュ photo:CorVos1分55秒差でフィニッシュするティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)グループ1分55秒差でフィニッシュするティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)グループ photo:CorVos


これによってフルームと総合2位チャベスの差は11秒→28秒となったほか、総合4位ヴァンガーデレンと5位ニーバリの順位が逆転し、アルは総合8位から6位に、ザカリンは12位から10位に、そしてコンタドールは24位から17位に順位を上げている。

グランツール初勝利を飾った25歳のアラフィリップは、「素晴らしい気分だよ。ここまでは体調が良くなかったので勝てるなんて思ってもみなかった。今日はマッテーオ・トレンティンと一緒に逃げに乗ったことも上手く働いた。7日間でチームとして3勝しているけれど、まだまだ終わっていないよ」と喜びを語っている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2017第8ステージ
ステージ結果
1位ジュリアン・アラフィリップ (フランス、クイックステップフロアーズ)4h37'55"
2位ヤン・ポランツェ(スロべニア、UAEチームエミレーツ)+02"
3位ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)
4位セルジュ・パウェルス(ベルギー、ディメンションデータ)+26"
5位ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター)+28"
6位ミシェル・クレダー(オランダ、アクアブルースポート)+32"
7位マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル)
8位バルト・デクレルク(ベルギー、ロット・ソウダル)+34"
9位アルベルト・ロサダ(スペイン、カチューシャ・アルペシン)+37"
10位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)+1'04"
13位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)+1'27"
14位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)
16位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)+1'44"
17位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)
18位イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ)
20位エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)
23位アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)+1'55"
24位マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック)
26位ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)
27位ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)
29位ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
DNFジェスパー・ハンセン(デンマーク)
DNFチェザーレ・ベネデッティ(イタリア)
DNSスヴェンエリック・ビストラム(ノルウェー)
DNSワレン・バルギル(フランス)
マイヨロホ(個人総合成績)
1位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)32h26'13"
2位エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット)+28"
3位ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング)+41"
4位ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)+53"
5位ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)+58"
6位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +1'06"
7位ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)+1'08"
8位アダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)+1'18"
9位マイケル・ウッズ(カナダ、キャノンデール・ドラパック)+1'41"
10位イルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ)+1'57"
マイヨプントス(ポイント賞)
1位マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ)49pts
2位パウェル・ポリャンスキー(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)44pts
3位マテイ・モホリッチ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)43pts
マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)
1位ダヴィデ・ヴィレッラ(イタリア、キャノンデール・ドラパック)38pts
2位トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)17pts
3位ダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)12pts
マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)17pts
2位ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ)32pts
3位エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)40pts
チーム総合成績
1位モビスター96h40'18"
2位UAEチームエミレーツ+35"
3位アスタナ +7'12"
text:So.Isobe
photo:CorVos
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