イタリアの老舗バイクブランド、ビアンキより18年モデルで新登場したミドルグレードエアロロード「OLTRE XR3」をインプレッション。振動除去素材カウンターヴェイルを搭載しつつ、上位モデルを踏襲したフォルムを獲得した1台を紹介しよう。



ビアンキ OLTRE XR3ビアンキ OLTRE XR3 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
チェレステカラーが特徴的なイタリアのバイクブランド、ビアンキ。130年以上の歴史を持ち、ロードバイクだけでなくMTBやシティサイクルまで幅広く手がける、現存する世界最古の自転車メーカーとしても知られる。その長い歴史は常にシースシーンとともにあり、ファウスト・コッピやフェリーチェ・ジモンディ、マルコ・パンターニといったレジェンド級の選手らも、ビアンキのバイクを駆り世界選手権優勝やグランツール制覇など数々の偉業を成し遂げてきた。

その中でビアンキのフラッグシップロードとして、2011年モデルより新たに追加されたバイクが「OLTRE」である。当時のレーシングラインであるInfinitoや928 SLといったバイクのデザインを引き継ぎつつ、独自のカーボンテクノロジーにより高い重量剛性比を追求。エアロフォルムを持たせることでよりオールラウンドな性能を獲得したハイエンドに相応しい1台として開発されたバイクであった。

シートステーには核となるテクノロジー、カウンターヴェイルのロゴが記されるシートステーには核となるテクノロジー、カウンターヴェイルのロゴが記される シートポストはXR4と同じ専用のエアロ形状シートポストはXR4と同じ専用のエアロ形状 フロントフォークは機敏なハンドリングを可能とするストレート形状フロントフォークは機敏なハンドリングを可能とするストレート形状

2012年にはカーボン積層を調整し軽量化とともに剛性を高めるマイナーチェンジを加えた「OLTRE XR」を発表。このシーズンよりUCIプロチームのヴァカンソレイユへ機材供給を開始し、2000年代前半に途絶えていたトッププロチームへのサポートをこのOLTREで復活させるに至った。その翌年にはフレーム形状にアップデートを加えた「OLTRE XR2」へと進化させ、このバイクが長らくビアンキのフラッグシップとして選手に愛用されることとなる。

さらに今年、同社各カテゴリーのハイエンドモデルに採用してきた独自の振動除去素材「Countervail(カウンターヴェイル)」をこのOLTREシリーズにも投入。よりコントロール性能、エアロ性能を高めた「OLTRE XR4」を登場させた。OLTRE XR4は市販より一年先にプロ選手らに渡され、昨年よりロットNLユンボがレースにて使用。今シーズンもXR4を駆るプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)がツール・ド・フランスにてステージ優勝を果たしている。

トップチューブからシートステーに流れるように繋がるデザインはXR4譲りトップチューブからシートステーに流れるように繋がるデザインはXR4譲り やや弓なりに湾曲したトップチューブやや弓なりに湾曲したトップチューブ
BBは広いシェル幅が可能となるPF86を採用BBは広いシェル幅が可能となるPF86を採用 フォーククラウンとヘッドチューブが一体化するインテグレーテッドデザインフォーククラウンとヘッドチューブが一体化するインテグレーテッドデザイン

そんなレーシングバイク「OLTRE XR4」のテクノロジーを受け継ぎつつもコストダウンを図った戦略モデルが、今回インプレッションを行った「OLTRE XR3」である。その最たる特徴が、従来ハイエンドバイクにしか投入されなかったカウンターヴェイルを、同社で初めてミドルグレードにまで採用したこと。快適性を高めライダーの負担を減らすことで、レース時のパフォーマンスを高めるというXR4の開発コンセプトをこのクラスでも再現することに成功している。

カウンターヴェイルとはアメリカのマテリアル・サイエンス社と共同開発することで誕生した振動除去テクノロジーだ。独自のカーボン繊維構造と粘弾性を持つ素材をフレームに織り込むことで、路面から伝わる低周波の微振動をカットし、最大で80%もの振動を除去する働きを持っている。振動吸収用のゴム素材やエラストマー等を使用しないため、フレームの剛性や強度をより高いレベルで確保でき、走行性能を犠牲とすることなく快適性を高めることが可能となっている。

シートクランプはフレーム内蔵の臼式タイプシートクランプはフレーム内蔵の臼式タイプ アウターワイヤーはチェレステカラーかつ多関節構造のものをアッセンブルアウターワイヤーはチェレステカラーかつ多関節構造のものをアッセンブル

フレームの形状はXR4を踏襲したセミエアロなルックス。後輪に沿ってカットオフされたシートチューブやクビレを持たせたヘッドチューブなど、エアロダイナミクスを高める設計が各所に盛り込まれている。その上で、XR4ではエアロハンドルに対応して設計されたヘッド部分をノーマルステムに対応した形状に、空力を考慮し外側に湾曲したフロントフォークをストレート形状に変更するなど、グレードに応じた最適化がなされている。

シートポストは上位モデルと同様のものを採用し、フレーム内蔵タイプのクランプとともにエアロでスマートな外観に貢献。ヤグラ部分を前後入れ替えることができ、セットバック量を25mmと10mmの2種類で使用が可能となっている。ヤグラ自体は上から挟み込むタイプのため、楕円のカーボンレールサドルにも対応している。

空力性能を追求し中央をくびれさせたヘッドチューブ空力性能を追求し中央をくびれさせたヘッドチューブ ボトルケージ用のボルトもチェレステカラーボトルケージ用のボルトもチェレステカラー 後輪に沿ってカットオフされたシートチューブ後輪に沿ってカットオフされたシートチューブ

ブレーキはXR4では前後ダイレクトマウントとされたが、今作ではノーマルキャリパーへ変更。その他、フル内装とされていたシフトワイヤーは、リアに限りBB下からチェーンステー外に沿ってアクセスする仕様となっている。チェレステカラーに合わせたボトルケージ用ボルトや、多関節構造のアウターワイヤー等細部で高級感を醸し出すのは、ビアンキならではの粋な計らいと言えるだろう。

完成車のみで販売され、5サイズ2カラーで展開する。今回はコンポーネントにシマノ105、ホイールにフルクラムRacing Sportをアッセンブルした完成車でテストした。早速、インプレッションに移ろう。



―インプレッション

「一定のペーシングが気持ち良い巡航型バイク」御園井智三郎(ミソノイサイクル)

古くから自転車を作るビアンキらしいバイクですね。ビアンキバイクの特色として、踏んだ瞬間に反応するような踏み味ではなく、踏み込んだ力を貯めて、後からバネのように推進力に変える踏み味がありますが、このOLTRE XR3もそのような踏み心地を有しています。いわばクロモリバイクのようなバネ感を感じます。

「一定のペーシングが気持ち良い巡航型バイク」御園井智三郎(ミソノイサイクル)「一定のペーシングが気持ち良い巡航型バイク」御園井智三郎(ミソノイサイクル)
最近のレーシングバイクにあるようなダイレクト感はないかもしれません。ですが、ある程度踏み込んでいくと一定の速度からペースが安定してきます。ですので中高速域で巡航するといったシチュエーションには最適ですね。それこそ日本でのブルベであったり、欧州であればグランフォンドのようなイベントには合うのではないでしょうか。

それに加えて、先進の振動除去技術カウンターヴェイルが非常に上手く機能しています。路面からの強い衝撃を吸収するのではなく、それらの振動はロードインフォメ―ションとして乗り手に伝えつつ、絶妙に振動の角を取ることでストレスを軽減していますね。これも昔ながらのクロモリバイクらしい乗り心地だと感じました。

登りはどっしりとした外見とは裏腹にバランスよく登ってくれます。登り方としてはある程度トルクを掛けてペダルを回していくというよりも、最適なペースでちょっと軽めのギアを回しながら登っていくのが良いでしょう。またダンシングというよりはシッティングで腰を据えて登っていくことで、自転車がブレずに安定した走りをすることが出来ます。

下りのハンドリングは低速域では少しラフな挙動を見せますが、高速域ではピッタリと乗り手の狙ったラインをトレースしてくれます。それこそツール・ド・フランスで見るようなつづら折りの下りでも安定して曲がってくれるような性能だと思います。ミドルグレードながら各性能に不安のない仕上がりです。

この性能で完成車32万円ほどということですが、非常にお手頃な値段設定だと思います。他社にはもっと良いコンポーネントが付いて同じくらいの値段帯の完成車もあるかもしれませんが、フレームの性能から考えれば非常に価値のあるパッケージだと思いますね。ここからホイールなどのパーツ類を変えていけば、良い相棒になってくれると思います。

「高い快適性でロングライドでも体への負担が少ない1台」村山智樹(ZING² FUKUOKA-IWAI)

ビアンキのハイエンドモデルOLTRE XR4に次ぐセカンドグレードということで、上位モデル譲りの軽快な走りを見せてくれます。またカウンターヴェイルが効いているのか、路面の細かい振動をいなしてくれるため、快適性は非常に高いですね。ロードバイクとしての全体的な性能のバランスが高いと感じました。

「高い快適性でロングライドでも体への負担が少ない1台」村山智樹(ZING² FUKUOKA-IWAI)「高い快適性でロングライドでも体への負担が少ない1台」村山智樹(ZING² FUKUOKA-IWAI) フレームは踏めば踏んだだけ前に進んでくれるロードバイクらしい反応感を持っていますが、ハイエンドモデルと比べると少しゆっくりと加速していくような踏み味に仕上がっています。その分、脚への反発は弱く、脚を消耗しにくいフレームとなっているため、疲労が貯まりにくいですね。

振動吸収性に関してはカウンターヴェイルのおかげか、細かい路面の振動や嫌な突き上げ感を打ち消してくれます。そのため、非常に快適な走り心地を実現しています。脚への疲労も貯まりにくい踏み味ですし、快適な乗り心地ですので、これならレースだけではなくロングライドにも重宝しそうなバイクだと思いました。

ややセミエアロなフォルムですが、エアロバイク特有の癖は無いですね。この外見にしてはオールマイティな乗り味で、エアロロードだからといって登りが極端に登りづらいということもありません。ただ重量的にも登りが得意という訳ではないですから、緩やかな登りと平地が続く長距離を淡々と走るのが向いているのではないかと思います。

完成車パッケージとしてよく出来たアッセンブルですが、パーツをアップデートしていく楽しみもありますね。走行性能と快適性のバランスの取れた良いフレームですので、まずはホイールとタイヤを性能の高いものに変えてみたり、ハンドル、ステムをより軽量なものに交換したりすると、その変えたパーツの部分がはっきりと良さに変わっていく思います。

ビアンキというと、街乗りのクロスバイクやエントリークラスのアルミロードも人気ですが、そういった方々が本格的にロードバイクに乗りたいという時にも非常に良い選択肢になると思います。全体的な走行性能のバランスが整っているので、ロードバイクの操作の仕方や漕ぎ方等も正しく身につけられる1台となるでしょう。

ビアンキ OLTRE XR3ビアンキ OLTRE XR3 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ビアンキ OLTRE XR3
サイズ:44、50、53、55、57
カラー:CK16/Black glossy、Black-CK16/Graphite matt
ホイール:フルクラム Racing 5 LG(アルテグラ完成車)、フルクラム Racing Sport(105完成車)
価格/パッケージ:
398,000円(税抜)/アルテグラ完成車
330,000円(税抜)/105完成車



インプレッションライダーのプロフィール

御園井智三郎(ミソノイサイクル)御園井智三郎(ミソノイサイクル) 御園井智三郎(ミソノイサイクル)

今年で創業120周年を迎えた、国内はもとより世界的にも最古参クラスの歴史を誇り、静岡県浜松市内に3店舗を構えるミソノイサイクルの5代目代表を務める。海外メーカー及び国内代理店と強い繋がりを持ち、ロードレーサーから実用車まで、あらゆるジャンルの機材で、新旧を問わない豊富な知識を持つ。また、かつてはトップアマとして国内レースで活躍した経験も。現在は地元浜松市と共に、走行環境の整備やイベントの企画・運営を行い、スポーツサイクルの更なる普及に注力している。

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ミソノイサイクル HP

村山智樹(ZING² FUKUOKA-IWAI)村山智樹(ZING² FUKUOKA-IWAI) 村山智樹(ZING² FUKUOKA-IWAI)

福岡市は天神地区に店舗を構えるZING² FUKUOKA-IWAIにて、セールス&メカニックやトライアスロンアドバイザーを担当する。モータースポーツを趣味にするほどの機械いじり好きが高じて自転車業界へ。自身は各地で行われるトライアスロンのレース会場へも、メカニックとして出向くほどTTバイクの扱いを得意とする。お客さんに向けたトライアスロン教室も行い、普段からトライアスロンのレース参加に向けたトレーニングとして自転車を嗜む。トライアスリートらしく愛車はサーヴェロのP3。

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ZING² FUKUOKA-IWAI HP

ウェア協力:カステリ
ヘルメット協力:カブト

text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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