真っ赤なマイヨロホの他にもブエルタ・ア・エスパーニャには緑のマイヨプントス、青い水玉のマイヨモンターニャ、真っ白なマイヨコンビナーダが設定されている。3週間の戦いに彩りを添える3賞ジャージの仕組みと有力候補を紹介します。


マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)

2016年にマイヨプントスを獲得したファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード)2016年にマイヨプントスを獲得したファビオ・フェリーネ(イタリア、トレック・セガフレード) photo:CorVosプントスはスペイン語でポイントの意味。主にスプリンターを対象にしたポイント賞ジャージだ。ステージ上位15名と、中間スプリントポイント上位3名に与えられるポイントの積算により争われる。2009年にジャージカラーがツール・ド・フランスと同じグリーンに変更。ジャージスポンサーは2015年からツールのマイヨヴェールと同じ「シュコダ」が務めている。

獲得ポイントはステージ1位で25ポイント、2位20ポイント、3位16ポイント・・・15位1ポイント。中間スプリントポイントでは1位4ポイント、2位2ポイント、3位1ポイント。ツールとは異なり、平坦ステージでも山岳ステージでも同ポイントが与えられる。そのためスプリンターだけではなく、総合上位のオールラウンダーもポイント賞ランキングの上位に名を連ねる。

ロードステージの半数が山頂フィニッシュであり、平坦ステージの数の少なさはピュアスプリンターの数の少なさに比例する。どのチームも大柄でマッチョなスプリンターではなく、登りもこなせる軽量で俊敏なスプリンターをメンバー入りさせている。

2012年、2014年、2015年の3大会でステージ通算10勝を飾り、2014年にポイント賞に輝いたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)が出場するスプリンターの中で最も高い経験値をもつ。今年のツール・ド・フランスではトップ3フィニッシュが2回。ミラノ〜サンレモとパリ〜ルーベで優勝経験のある28歳はある程度の登りもこなせてしまう。

来季アスタナに移籍する次世代スプリンターのマグナスコルト・ニールセン(デンマーク、オリカ・スコット)にも注目。1年前のブエルタでは初グランツール出場ながら3週目にステージ2勝を飾っている。今シーズンはスペイン国内で2勝を飾っており、デゲンコルブ同様スペインレースと相性が良い。

他にも地元スペインのフアンホセ・ロバト(ロットNLユンボ)やホセ・ロハス(モビスター)、イタリアのサーシャ・モードロ(UAEチームエミレーツ)やマッテオ・トレンティン(クイックステップフロアーズ)、ベルギーのイェンス・デブシェール(ロット・ソウダル)、トム・ヴァンアスブロック(キャノンデール・ドラパック)、ヨナス・ヴァンヘネヒテン(コフィディス)らが有力。トラックレースの経験が豊富なアダム・ブライス(イギリス)とアーロン・ゲイト(ニュージーランド)の2人を揃えるアクアブルースポートは初出場のグランツールで金星を狙う。

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード) photo:CorVosマグナスコルト・ニールセン(デンマーク、オリカ・スコット) マグナスコルト・ニールセン(デンマーク、オリカ・スコット)  photo:Tim de Waele

ブエルタ歴代ポイント賞獲得者
2016年 ファビオ・フェリーネ(イタリア)
2015年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2014年 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ)
2013年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2012年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2011年 バウク・モレマ(オランダ)
2010年 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)
2009年 アンドレ・グライペル(ドイツ)
2008年 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー)
2007年 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)
2006年 トル・フースホフト(ノルウェー)
2005年 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)
2004年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2003年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2002年 エリック・ツァベル(ドイツ)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 ロベルト・エラス(スペイン)
1999年 フランク・ファンデンブロック(ベルギー)
1998年 ファブリツィオ・グイディ(イタリア)
1997年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1996年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 ジャモリディネ・アブドヤパロフ(ウズベキスタン)
1991年 ウーヴェ・ラーブ(ドイツ)
1990年 ウーヴェ・ラーブ(ドイツ)



マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)

2016年にマイヨモンターニャを獲得したオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)がマイヨモンターニャ獲得2016年にマイヨモンターニャを獲得したオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)がマイヨモンターニャ獲得 photo:TDWsport/Kei Tsujiモンターニャはスペイン語でマウンテンの意味。山岳の頂上通過順位に基づいて与えられるポイントの積算で争われる。ジャージデザインは青い水玉模様で、ジャージスポンサーは国営宝くじの「ロテリアス・イ・アプエスタス・デル・エスタド」。

これまで多くの山岳スペシャリストを輩出してきたクライマー大国スペイン。今年で開催72回目を迎えるブエルタで、実に49回にわたってスペイン人選手が山岳賞を獲得してきた。そのうち23回はスペイン人選手が山岳賞ランキングのトップスリーを独占している。

獲得ポイントは「シーマ・アルベルトフェルナンデス(大会最高地点)」に指定された第15ステージの超級山岳オヤ・デ・ラ・モラ峠先頭通過で20ポイント。 超級山岳先頭通過で15ポイント、以下1級山岳10ポイント、2級山岳5ポイント、3級山岳3ポイント。

山岳賞争いは本命の総合争いの展開に左右されるため候補をズバリ言い当てにくい。どれだけ山岳に強いクライマーでも、チーム内に総合狙いのオールラウンダーがいる場合は自由な動きが許されないのだ。ポイント賞同様、狙わずとも総合上位の選手の名前が山岳賞上位に並ぶ可能性が高い。

2年連続で山岳賞を獲得したオマール・フライレ(スペイン、ディメンションデータ)が最有力候補だ。フライレは今年のジロでステージ1勝を飾って山岳賞3位。過去にブエルタで山岳賞を獲得したサイモン・クラーク(オーストラリア、キャノンデール・ドラパック)やルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ)も出場する。逃げのスペシャリストであるトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)にもチャンスがあるだろう。

マイヨロホを諦めたオールラウンダーが山岳賞に狙いをスイッチする可能性も。ツール山岳王ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)やロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)ら、ツールで総合争いを繰り広げていた選手は山岳賞を狙ってくるかもしれない。

ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsportファビオ・アル(イタリア、アスタナ)ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsport

ブエルタ歴代山岳賞獲得者
2016年 オマール・フライレ(スペイン)
2015年 オマール・フライレ(スペイン)
2014年 ルイスレオン・サンチェス(スペイン)
2013年 ニコラ・エデ(フランス)
2012年 サイモン・クラーク(オーストラリア)
2011年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2010年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2009年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2008年 ダヴィ・モンクティエ(フランス)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 エゴイ・マルティネス(スペイン)
2005年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2004年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2003年 フェリックス・カルデナス(コロンビア)
2002年 アイトール・オサ(スペイン)
2001年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
2000年 カルロス・サストレ(スペイン)
1999年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1998年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1997年 ホセマリア・ヒメネス(スペイン)
1996年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1995年 ローラン・ジャラベール(フランス)
1994年 リュク・ルブラン(フランス)
1993年 トニー・ロミンゲル(スイス)
1992年 カルロス・エルナンデス(スペイン)
1991年 ルイス・エレラ(コロンビア)
1990年 マルティン・ファルファン(コロンビア)



マイヨコンビナーダ(複合賞ジャージ)

2016年にマイヨロホとマイヨコンビナーダを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)2016年にマイヨロホとマイヨコンビナーダを獲得したナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsujiコンビナーダはスペイン語でコンビネーションの意味。つまり複合賞ジャージだ。デザインは白色で、ジャージスポンサーは肥料メーカーの「フェルティベリア」。初登場は1970年で、2度のブランクを経て2002年に復活した。以前はツールやジロでも採用されていた賞だが、現在はヤングライダー賞に取って代わられている。つまり現在グランツールで複合賞を採用しているのはブエルタだけだ。

総合順位とポイント賞順位、山岳賞順位の3つを合計し、その最も少ない選手が複合賞に輝く。この複合賞だけを狙ってブエルタに出場選手はいない。山岳やスプリント、タイムトライアルでコンスタントに上位を狙えるオールマイティーな選手が必然的に対象となっており、近年は総合1位もしくは総合2位の選手がこの複合賞を獲得するのが通例だ。

その他、ブエルタにはチーム総合成績(スポンサー:ダクサ社)やステージ敢闘賞(スポンサー:フェニエ・エネルジア社)、ヤングライダー賞(スポンサー:AS社)といった様々な賞が設定されている。

ブエルタ歴代複合賞獲得者
2016年 ナイロ・キンタナ(コロンビア)
2015年 ホアキン・ロドリゲス(スペイン)
2014年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2013年 クリストファー・ホーナー(アメリカ)
2012年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2011年 ファンホセ・コーボ(スペイン)
2010年 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)
2009年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2008年 アルベルト・コンタドール(スペイン)
2007年 デニス・メンショフ(ロシア)
2006年 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)
2005年 デニス・メンショフ(ロシア)
2004年 ロベルト・エラス(スペイン)
2003年 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)
2002年 ロベルト・エラス(スペイン)



text:Kei Tsuji
Amazon.co.jp 
の画像 新・自転車“道交法"ブック (エイムック 3721)
投稿者: 疋田智, 小林成基
出版社: エイ出版社 (2017)
装丁: ムック, 142 ページ
の画像 アタック
投稿者: 佐藤 喬
出版社: 辰巳出版 (2017)
装丁: 単行本(ソフトカバー), 192 ページ
の画像 僕のジロ・デ・イタリア
投稿者: 山本 元喜
出版社: 東京書籍 (2017)
装丁: 単行本(ソフトカバー), 221 ページ