アシスト役をこなしながら、ツール・ド・フランス総合4位に入ったミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)の登坂力は突き抜けていた。超級山岳でライバル勢を封じ込め、区間優勝を挙げて総合リードをさらに開いた。



ブエルタ・ア・ブルゴス2017第3ステージブエルタ・ア・ブルゴス2017第3ステージ (c)www.vueltaburgos.comスペイン北部ブルゴス県で開催中のブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.HC)はいよいよ佳境、超級山岳アルト・ピコン・ブランコの頂上へと至るクイーンステージを迎えた。

この日の目玉は標高1400mオーバーの超級山岳フィニッシュだが、そこへ至るまでも1級、3級、3級、3級、3級と絶えずカテゴリー山岳を経由していくため、難易度はより高くなる。山岳コースへ向けて、この日はラッセ・ノーマンハンセン(ノルウェー、アクアブルー・スポート)やジャック・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)などを含む10名が逃げた。

チームスカイ率いるメイン集団から4分程度のリードを得たエスケープグループ内では、ガティス・スムクリス(ラトビア、デルコ・マルセイユKTM)が3つめのカテゴリー山岳から独走を開始する。快調にペースを刻んだスムクリスは独走を続け、アルト・ピコン・ブランコの序盤までリードを保ち続けた。

序盤から逃げた10名。タイム差は4分弱で推移した序盤から逃げた10名。タイム差は4分弱で推移した (c)www.vueltaburgos.comチームメイトに守られて走るミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)チームメイトに守られて走るミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) (c)www.vueltaburgos.com


スムクリスを飲み込み、登坂でツールを思い起こさせる列車を組んでペースを上げるチームスカイの後ろでは、たまらず選手たちが続々と千切れていく。ケニー・エリッソンド(フランス)が牽き終わる残り5km地点では15名ほどにまで減少し、ジャンニ・モスコン(イタリア)に代わった時点で残ったのはランダの他、ダビ・デラクルスとエンリク・マス(共にスペイン)のクイックステップフロアーズコンビ、ハイメ・ロソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA)、ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)のみ。スカイとクイックステップが2名ずつという状況で、クイックステップが先手を打った。

残り4kmを割って総合4位のマスがアタックし、15秒ほどのリードを稼ぎ出す。ランダは静観を続けていたが、モスコンが力尽きると軽やかに加速してマスをキャッチ。するとカウンターアタックでデラクルスが加速したものの、ランダは余裕を持って対応していく。

3つめのカテゴリー山岳から独走したガティス・スムクリス(ラトビア、デルコ・マルセイユKTM)3つめのカテゴリー山岳から独走したガティス・スムクリス(ラトビア、デルコ・マルセイユKTM) (c)www.vueltaburgos.comチームメイトに守られて走るミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)チームメイトに守られて走るミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) (c)www.vueltaburgos.com

先頭にたったミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)とダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ)先頭にたったミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)とダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) (c)www.vueltaburgos.comデラクルスを引き離してフィニッシュに飛び込むミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)デラクルスを引き離してフィニッシュに飛び込むミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) (c)www.vueltaburgos.com


この加速でマスとロソン、ロペスが千切れ、デラクルスはランダの様子を伺いながら、つづら折れが続き最大勾配15%に達する残り600m区間を通過。すると「今日はどうしてもステージ優勝が欲しいと思っていた」と言うデラクルスが残り300mでアタックする。しかしランダを千切ることはできず、残り200mを切って加速した総合リーダーの独走を許してしまう。そのまま踏み抜いたランダは9秒差を付けてステージ優勝を挙げ、総合リードを27秒にまで広げてみせた。

貫禄の横綱相撲を披露したランダは「とても厳しいフィニッシュだった。デラクルスはタフなライバルで、彼のことはよく知っていて、とてもリスペクトしている選手。最後は彼がこのまま勝ってしまうのではとも思ったんだ」とデラクルスを讃える。「厳しかったけれど、美しい勝利だった。総合リードを広げることができて良かった。最終日の超級フィニッシュでも勝てれば良いね」と余裕漂うコメントを残している。

ランダの先行を許したデラクルスは総合32位から2位へとジャンプアップ。「勝ちたかったが、僕よりも強い選手がいたということ。全力を出し切ったので走り自体には満足している。まだ自分はトップコンディションではないので、これからトレーニングを重ねていく必要がある。今はもう最終ステージの山頂フィニッシュで勝つためだけに頭を切り替えている」と語っている。

またこの日、NIPPOヴィーニファンティーニの小林海は11分48秒遅れ、西村大輝は21分27秒遅れでクイーンステージ完走を果たしている。
H3
ブエルタ・ア・ブルゴス2017第3ステージ
ステージ結果
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 4h36'40"
2位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +09"
3位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +41"
4位 ハイメ・ロソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) +47"
5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) +55"
6位 イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ) +1'06"
7位 メルハウィ・クドス(リトアニア、ディメンションデータ) +1'24"
8位 ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) +1'27"
9位 イェッツェ・ボル(オランダ、マンザナ・ポストボン) +1'33"
10位 セルジオ・パルディーリャ(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) +1'34"
69位 小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ) +11'48"
118位 西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ) +21'27"
個人総合成績
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 11h41'32"
2位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +27"
3位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +46"
4位 ハイメ・ロソン(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) +54"
5位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) +1'02"
6位 イゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ) +1'13"
7位 メルハウィ・クドス(リトアニア、ディメンションデータ) +1'31"
8位 ジャンニ・モスコン(イタリア、チームスカイ) +1'34"
9位 イェッツェ・ボル(オランダ、マンザナ・ポストボン) +1'40"
10位 セルゲイ・チェルネトスキー(ロシア、アスタナ) +1'42"
ポイント賞
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 50pts
2位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) 30pts
3位 マッテーオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 25pts
山岳賞
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) 40pts
2位 ラッセ・ノーマンハンセン(デンマーク、アクアブルー・スポート) 28pts
3位 スアザ・ベルナール(コロンビア、マンザナ・ポストボン) 26pts
ヤングライダー賞
1位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ) 11h42'18"
2位 ヘルナン・アグイレ(コロンビア、マンザナ・ポストボン) +1'41"
3位 アルデマール・レイェス(コロンビア、マンザナ・ポストボン) +3'27"
チーム総合成績
1位 アスタナ 35'09"12"
2位 クイックステップフロアーズ +57"
3位 モビスター +2'09"
text:So.Isobe
photo: (c)www.vueltaburgos.com

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