7月29日から8月4日までの7日間、ポーランドで第74回ツール・ド・ポローニュ(UCIワールドツアー)が開催される。丸坊主になったペテル・サガンやヴィンチェンツォ・ニーバリ、ボブ・ユンゲルス、別府史之らが出場する伝統ステージレースの見どころをチェック。



ポーランド南部の険しい山岳ステージが連続

ポーランド南部のクラクフで行われたチームプレゼンテーションポーランド南部のクラクフで行われたチームプレゼンテーション photo:LC / TDWsport
ドイツ、チェコ、スロバキア、ウクライナ、ベラルーシ、リトアニア、ロシアと国境を接する国ポーランド。同国最大のロードレースであり、1928年に第1回大会が開催されたツール・ド・ポローニュが7日間の日程で開催される。その歴史はグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャ(1935年〜)よりも長く、2005年からUCIプロツアー(現UCIワールドツアー)に組み込まれているステージレースだ。

クラクフで開幕する第74回大会はポーランド南部の山岳地帯を走るステージがずらり。序盤の第1ステージと第2ステージ、最長238kmコースで行われる第4ステージはスプリンター向きだが、その他の4ステージはいずれもクライマーにチャンスがあるレイアウト。ステージの平均距離も短いため、密度の濃いバトルが予想される。

4つの1級山岳を越えてから最大勾配20%の激坂を登ってフィニッシュする第3ステージが大会最初の総合セレクションの舞台。第5ステージは終盤にかけて2級山岳を連続して越えるため、逃げ切りもしくは小集団によるスプリントに持ち込まれるだろう。

そしてタトラ山脈を走る最後の2日間で総合成績にシャッフルがかかる。第6ステージは5つの1級山岳が登場する険しいものだが、最終日の第7ステージはそれをさらに上回る難易度。ブコビナの66km周回コースを2周する132kmのショートステージには合計6つの1級山岳が詰め込まれており、最後は登坂距離5kmの山頂フィニッシュだ。この最終日のクイーンステージを制した者が総合優勝に輝く可能性が高い。

ツール・ド・ポローニュ2017第3ステージツール・ド・ポローニュ2017第3ステージ image:www.tourdepologne.pl/ツール・ド・ポローニュ2017第5ステージツール・ド・ポローニュ2017第5ステージ image:www.tourdepologne.pl/
ツール・ド・ポローニュ2017第6ステージツール・ド・ポローニュ2017第6ステージ image:www.tourdepologne.pl/ツール・ド・ポローニュ2017第7ステージツール・ド・ポローニュ2017第7ステージ image:www.tourdepologne.pl/


ツール・ド・ポローニュ2017ステージリスト

7月29日(土)第1ステージ クラクフ〜クラクフ 130km
7月30日(日)第2ステージ タルノフスキェ・グルィ〜カトヴィツェ 142km
7月31日(月)第3ステージ ヤヴォジュノ〜シュチルク 161km
8月1日(火)第4ステージ ザビエルチェ〜ザブジェ 238km
8月2日(水)第5ステージ オリンプ・ナガフチナ〜ジェシュフ 130km
8月3日(木)第6ステージ ヴィエリチカ岩塩坑〜ザコパネ 189km
8月4日(金)第7ステージ ブコビナ・リゾート〜ブコビナ・タトシャンスカ 132km


サガンやニーバリらに注目 別府史之は7度目の出場

出場するのはすべてのUCIワールドチームにノボノルディスク、ガスプロム・ルスヴェロ、CCCスプランディ・ポルコウィチェ、ポーランドナショナルチームを加えた22チーム。1チームにつき7名ずつの出場であり、グランツールのように1チームが完全にレースを支配するような展開にはならないと思われる。

別府史之(トレック・セガフレード)は4年連続7度目の出場。7度という数字は出場選手の中で5番目に多く、地元のポーランド出身者を除くとセルゲイ・ラグティン(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ)と並んで最多だ。

経験豊かな別府史之を擁するトレック・セガフレード経験豊かな別府史之を擁するトレック・セガフレード photo:LC / TDWsportヴィンチェンツォ・ニーバリ率いるバーレーン・メリダヴィンチェンツォ・ニーバリ率いるバーレーン・メリダ photo:LC / TDWsport

ジロ・デ・イタリアを総合3位で終え、ブエルタ・ア・エスパーニャへの出場を予定しているヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)が1ヶ月ぶりのレース出場。ブエルタ開幕を3週間後に控えた今、イタリアが誇るグランツールレーサーの調子が気になるところだ。

ツールを落車リタイアしたラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ)は開催国ポーランドの期待を背負っての出場。マイカは2014年にポーランドで総合優勝を飾っている。他にも2012年の総合優勝者モレーノ・モゼール(イタリア、アスタナ)もスタートに並ぶ。

ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)やイルヌール・ザカリン(ロシア、カチューシャ・アルペシン)、ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)といったベテランの他、若手のボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)やアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)も総合優勝候補に名前が挙がる。タイムトライアルが設定されないクライマー有利なレイアウトだけに、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼール)に代表される登坂力に秀でたクライマーたちにもチャンスがある。

丸坊主で登場したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)丸坊主で登場したペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:LC / TDWsportサガンのスプリントとマイカの総合を狙うボーラ・ハンスグローエサガンのスプリントとマイカの総合を狙うボーラ・ハンスグローエ photo:LC / TDWsport
ユアンのスプリントとイエーツの総合を狙うオリカ・スコットユアンのスプリントとイエーツの総合を狙うオリカ・スコット photo:LC / TDWsportプールスを中心に山岳系選手を集めたチームスカイプールスを中心に山岳系選手を集めたチームスカイ photo:LC / TDWsport

ツールで失格処分を受けたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は長い髪をバッサリ切り、坊主姿でチームプレゼンテーションに登場した。序盤の平坦ステージでサガンはカレイブ・ユアン(オーストラリア、オリカ・スコット)やダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)、サーシャ・モードロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)らと火花を散らすことになるだろう。

text:Kei Tsuji