600mの登りスプリントで勝利を掴みとったマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)、彼と争ったベルギー選手たちや、マイヨジョーヌを奪還したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)らのコメントをお届けします。



ステージ優勝を挙げたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)

2年連続でステージ優勝を飾ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)2年連続でステージ優勝を飾ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
今日勝利できてスーパーハッピーだよ。ものすごいプレッシャーがあったけれど、すべてが作戦通りだった。チームは一日中メイン集団の先頭に立って状況をコントロール。逃げグループとのタイム差を抑え込むために力を使ったので最後はチームメイトから孤立すると思っていたけど、最後まで2〜3人が自分の周りにいてくれたんだ。

2年前もこのロデーズで勝利を狙っていたのに、落車で肋骨を4本折った状態だったので勝負できなかった。だからこのステージに舞い戻って、勝利で締めくくるなんて夢のようだ。チームメイト全員が今日のために作戦を練って、その通りに動いてくれた。最高の勝利だ。

グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

観客からサイン攻めにあうグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)観客からサイン攻めにあうグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) photo:Tim de Waele / TDWsport今日の序盤はとてもゆっくりだったけれど、フィニッシュが近づくに連れて厳しい展開になっていた。勝負に絡める人数を絞り込むためにBMCは上手く立ち回ることができた。自分は今日脚があったので、ペースアップを行ってくれたチームメイトに感謝したい。最後は僕より強い奴に負けてしまったが、強者が勝つのが自転車競技さ。

リッチー(ポート)の離脱によってチームの目標が僕でステージ優勝を狙っていくことに切り替わった。挑戦して2位に終わったけれど、まだ狙えるチャンスのあるステージが残っている。今日のフィニッシュではあまり早掛けしたくなかったので、(オリバー)ナーセンと(フィリップ)ジルベールが飛び出してくれたおかげで絶好のポジションにつくことができた。そこからスプリントを狙ったけれど、マシューズの伸びは驚くほど強かった。勝利にふさわしい走りだったと思う。

ステージ3位、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)

グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)を抜いて先頭に立つマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)を抜いて先頭に立つマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsportチームメイトが上手く走ってくれて、特にスコット(スウェイツ)とレイニー(ヤンセファンレンズバーグ)の最終局面でのアシストには頭がさがる思いだ。登り始めでは突っ込みすぎないように注意していたが、先頭との差が広がり始めたので自ら詰めていく必要があった。

結果的にはスプリントが遅すぎたんだ。マシューズが勝ったことに驚きはない。彼の調子の良さは明らかで、だからこそ今日はずっと彼から目を離していなかった。

ステージ4位、フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)

エドヴァルド・ボアッソンハーゲンとフィリップ・ジルベールが3、4位にエドヴァルド・ボアッソンハーゲンとフィリップ・ジルベールが3、4位に photo:Makoto.AYANOフィニッシュへ向けて加速する集団の中でチャンスを待ち続けて、残り1kmで勝負への扉が開いた。右側から飛び出して、先に仕掛けていたオリバー・ナーセンの後ろへ。そこからフィニッシュラインまでは全力でもがいたんだ。

あれ以上待つことはできなかった。今日のようなシチュエーションでは待ちすぎるとスプリントのスピードが鈍ってしまうんだ。4位に終わったが、全力を尽くした結果なので満足している。決して落ち込んだりはしていない。

最後まで単独逃げを続けたトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)


ステージ敢闘賞を獲得したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)ステージ敢闘賞を獲得したトーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ステージ優勝のチャンスだと思って狙っていた。逃げることが僕が勝てる唯一の方法だから。マシューズとヴァンアーヴェルマートのチームが集団をコントロールしているとも知っていたし、5名の逃げで2分しかリードがなかったので、厳しい戦いにはなるだろうと思っていた。まだあと1週間残っているのでまだまだアタックを仕掛けていきたい。

マイヨジョーヌを取り戻したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

ファビオ・アルからマイヨジョーヌを取り返したクリス・フルーム(チームスカイ)ファビオ・アルからマイヨジョーヌを取り返したクリス・フルーム(チームスカイ) photo:Makoto.AYANO
2年前にこのコースで、ヴァンアーヴェルマートとサガンがタイム差を付けてフィニッシュしていたのを覚えていたことが役に立った。チームとしてはタイム差をつけられるだろうと思っていたんだ。僕は少し懐疑的だったんだけれど。イエロージャージを取り戻せたのは信じられないよ。特にピレネーの激しい戦いから2日しか経っていないんだ。

今日のチームの働きにはとても感謝している。ジャージを奪還できたのは、ひとえに最後の局面でみんながプッシュし続けてくれたから。僕をトラブルから守り、どのコーナーでもベストなラインで走ることが出来るように、常に集団の前方で展開してくれていた。そのおかげで、最後の登りでも先頭集団に残ることが出来たんだ。

マイヨジョーヌを手放したファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

フルームに遅れてマイヨジョーヌを明け渡すことになったファビオ・アル(アスタナ)フルームに遅れてマイヨジョーヌを明け渡すことになったファビオ・アル(アスタナ) photo:Makoto.AYANOフィニッシュに近づくにつれて、どんどんペースが上がっていって、集団は細切れになってしまった。その中でポジションを落としてしまったんだ。ラスト1kmで全力を尽くして前へと戻ろうとしたんだけど、上手くいかなかった。それが今日起こったことだ。

もちろん、リーダージャージをキープ出来ればよかったんだけれど、そこまで悲観するような事態でもない。明日はまたとても厳しいステージになるだろうし、最終周は山岳ステージが目白押しだ。この遅れは、ここからまた挽回して見せる。今年のツールはまだまだ先が見えないから、どんなことだっておきるはずだ。

総合3位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)

25秒遅れたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)とロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール)25秒遅れたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)とロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール・ラモンディアール) photo:Kei Tsuji / TDWsportとても難しいステージだったね、フィジカルな争いというよりも頭脳戦に近かった。特に総合争いの選手たちは互いを徹底的にマークしあっていた。ツールも半分を過ぎているのに、こんなに差がついていないというのも珍しい。まだまだツールは距離を残していて、僕にとってもチャンスは開かれている。パリで悔しい思いをしないように戦いたい。

個人的にはとても調子が良いんだけれど、マークがきつくてなかなか自由に動くのは難しい。付け加えるなら、今日のフィニッシュは僕には不向きなレイアウトだった。キンタナやコンタドールらは、タイムを失っているけれど偉大なチャンピオン。彼らはきっとこの戦いに戻ってくるはず。ランダももちろん大きな脅威だ。だから皆が皆に注意を払っている。動きづらいのは残念だけど、今の状況はなかなか面白くもあるよ。

アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード

マイケル・マシューズから22秒差でフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)マイケル・マシューズから22秒差でフィニッシュするアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANO集団の後ろの方にいた時に、中切れが起こったんだ。タイムを失うのは嫌だったから、前へ上がろうとしたらアルがいて、少し驚いてしまった。でも、それは少し順位を上げる可能性もあったということだったね。登りゴールだったから、3秒ルールはこのステージでは適用されなかった。明日はまたタフな一日になりそうだ。僕としてはどうにか安全に過ごして、休息日に回復できるように努めるよ。

ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

とても速い一日だったし、昨日のステージでの疲れもあった。ラストの急坂は僕の脚質にもあまり合っていなかった。集団の中で良い位置取りを続けるのはとても難しかったね。ステージ優勝を狙う、大柄な選手たちが入り乱れる中で、落車のリスクを避けて前方をキープするのは至難の業だ。

残りのチャンスを無にしないためにも、危険を避けた走り方をしていきたい。高いリスクを負って20秒を節約するよりも、安全にフィニッシュする方が正しい時もある。明日のステージで、またチャレンジしていくよ。昨日のステージがもう一度戦おうという闘志に火をつけることになった。チームも僕を信頼してくれているから、戦うことはやめないよ。

text:CW編集部