初の本格的な山岳争いが行われたツール・ド・フランス第5ステージ。1級山岳ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユでアタックを決め、勝利を飾ったファビオ・アル(イタリア、アスタナ)や、マイヨジョーヌを獲得したクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)らのコメントを紹介します。



本大会初の山岳ゴールを制したファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

ツールで初めてステージ優勝を挙げたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)ツールで初めてステージ優勝を挙げたファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Makoto.AYANO
ラ・プランシュデルフィーユを駆け上るファビオ・アル(イタリア、アスタナ)ラ・プランシュデルフィーユを駆け上るファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Makoto.AYANOラスト3kmでアタックすることは作戦通りだったし、実際ベストなタイミングだったと思っている。調子はとても良かったから、アタックポイントで仕掛けることを決めたんだ。フィニッシュまでは全力全開だったよ。残り1kmでまだかなりのタイム差を残していることを知ったから、最後まで諦めることなく踏み続けられた。

今日の勝利は、本当に信じられないくらい特別なこと。こんな特別なステージで勝てるなんて、ずっと夢見ていたことが現実になった。ジロとブエルタでステージ優勝の経験はあったけれど、ずっとツールで勝ちたいと願っていたんだ。去年のツールでの経験が大きく役立った。しかもイタリアチャンピオンジャージで勝てるなんて最高だ。

このシーズンは厳しい時もあったけど、チームは僕を信じて支え続けてくれた。アスタナのスタッフみなに感謝している。今日は勝つことが出来たけれど、レースは始まったばかり。今日のような走りを続けていきたいね。

早くもマイヨジョーヌを手にしたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

早くもマイヨジョーヌに袖を通したクリス・フルーム(チームスカイ)早くもマイヨジョーヌに袖を通したクリス・フルーム(チームスカイ) photo:Makoto.AYANO総合成績で1位と2位を独占している僕らのチームは特別な立ち位置にいると思っている。どちらのカードを切るのか、戦略的な選択肢が増えるということだからね。今日はおおむね理想的な展開の一日だった。チームは、僕をトラブルから守ってくれたし、ラ・プロンシュ・デ・ベルフィーユでは完璧なペーシングを行ってくれた。1つだけミスがあったとすれば、アルのアタックにタイム差を与えすぎてしまったことだろうか。でも、最終的にはダメージは最小限に抑えることが出来た。アルはドーフィネで既に強さを見せていた。今日は調子の良さを証明した結果になったね。

2位に入ったダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)

16秒差のダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)16秒差のダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsportタフな一日だった、最後の一級山岳はとても暑くて、アスファルトが溶けてタイヤに張り付いているんじゃないかと思うほど。アルはとても強かった。素直に祝福するよ。僕自身は2位という結果だったけれど、とても満足しているんだ。

大きなプレッシャーもないから、レースを本当に楽しむことが出来ている。ツールは始まったばかりでこれから何が起こるかは分からないけれど、ここまでで多くの結果を残すことが出来ているのは、良い気分だよ。

4位のリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)

ファビオ・アルに続くリッチー・ポート(BMCレーシング)を先頭としたセカンドパックファビオ・アルに続くリッチー・ポート(BMCレーシング)を先頭としたセカンドパック photo:Makoto.AYANO
チームメイトは感謝の言葉が見つからないほど大きな働きをしてくれた。最終的にはアルが抜け出すことに成功したけれど、ツールの最初の山岳ステージとしては十分満足のいく内容だった。まだまだレースは残っているから、いい結果を残していきたいね。

今日のレースを作ったのは僕らのチームだった。ミヒャエル・シェアとシュテファン・キュングがレースの大部分を牽引してくれた。少し速すぎると思って、ペースダウンを提案するほどだったけれど、彼らはペースを維持しつづけた。僕たちの強さを証明することが出来たステージになったね。

フルームはドーフィネの時よりも明らかに調子を上げているけれど、チームスカイは去年のツールほどのチーム力は無いようにも見えるね。彼らはかなり大きなプレッシャーを感じているはずだ。

ステージ8位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)

クリス・フルームらに遅れを取ったアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)クリス・フルームらに遅れを取ったアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Makoto.AYANOフルームがラスト2kmでアタックしたとき、まだ距離がありすぎると判断して、ペースを維持することを選んだんだ。間違った判断ではないと思っている。実際、出力は高い数値をキープ出来ていたし、最終的にはフルームと大きな差はつかなかった。

スプリントで少しタイム差を付けられてしまったけれど、タフな一日を少ないダメージでこなすことが出来たのも事実。1週間で終わるようなレースとは違って、ツールでは多くのことが起こりうる。まだ一度のTTと山岳ステージを終えただけ。もちろん、力を測る良いテストにはなったけれど、週末が本当の闘いになるだろう。

アルがとても強い選手だというのは、ドーフィネで体感していたけれど、今日、僕が注意していたのはフルームとポートの二人だった。総合でのタイム差はもちろん大切だけれど、今日の登りで見せたパフォーマンスこそが最も重要な指標になる。僕が仕掛けるとしたら、大好きなアルプスが舞台になるだろうね。今年のツールで、勝利のために最も重要なことは安定感になるだろう。一日でもバッドデイを迎えてしまえば、全てを失うことになってしまうだろうね。バッドデイを避けるためにも、様々なオプションは用意しておかないといけない。

ステージ9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

ステージ9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ステージ9位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:CorVosとてもタフな山岳ステージだった。スタートからペースは速かったし、気温も高かったからね。僕にとってはベストな一日とはならなかったよ。今日の目標はライバル達にタイム差を付けられないことだったけれど、最後のペースアップにはついていくことが出来なかった。僕にできたのは、ただベストを尽くしてフィニッシュを目指すことだけだった。

まだ第5ステージだから、ここから調子を上げていきたいね。ジロの疲れからも回復しつつある。アルがとても調子がいい状態でツールに臨んでいるのは知っていたから、今日のアタックは驚かなかったよ。ニーバリが仕掛けたのと同じポイントでアタックしていたしね。彼は有力な優勝候補だと思っている。ここから始まる山岳ステージで、どう戦うのか期待していてほしい。まだツールは始まったばかりだ。


敢闘賞のフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)

敢闘賞を獲得したフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)敢闘賞を獲得したフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
今週、もし逃げ切りが成功するとすればこのステージだと思っていたから、逃げに入ることを計画していた。大きなタイム差を得ることは出来なかったけれど、どうにか状況を逆転できるものだと信じて逃げ続けていた。メイン集団はとても良く統率されていたね。

最後にヤン・バークランツと逃げ続けたけれど、ステージ優勝には手が届かなかった。とても楽しいレースになった一日だったけれど、最後の登りは厳しかったね。映像で確認していたときは簡単そうな印象だったから、かなり苦しめられたよ。

text:Naoki.YASUOKA

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