今年もサーヴェロ本社から豪華ゲストを迎え開催された講習&テストライドイベント「ブレインバイク」。新型Rシリーズについて開発ディレクターに聞いたインタビューの模様と、鈴木卓史さん(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)によるR5のインプレッションを紹介します。



サーヴェロ R5(デュラエースDi2完成車)サーヴェロ R5(デュラエースDi2完成車)
昨年はエンデュランスロードであるCシリーズの、今年3月にはトライアスロン用の「P5X」の国内正式発表の場となったサーヴェロの講習&テストイベント、「ブレインバイク」が再び開催された。今回のフィーチャーは、今シーズン序盤からサーヴェロがディメンションデータに供給し、先日ようやくアナウンスされた新型Rシリーズ(登場時のレビュー記事)。

展示車や試乗車が多数用意された他、サーヴェロ本社からはシニア製品ディレクターのフィル・スピアマン氏と、代表を務めるフィル・ホワイト氏が1年ぶりに来日。講習会では新型Rシリーズについてはもちろん、プロレースと密接に関わりを持つ歴史についても深く語られた。以下は開発を主導したスピアマン氏へのインタビューの模様を紹介。Rシリーズの開発意図とは?日本向けの改善とは?そしてどのようなユーザー向けなのかを聞いた。

成田市内のホテルで開催されたブレインバイク成田市内のホテルで開催されたブレインバイク サーヴェロのフィル・ホワイト氏(左)と、シニア製品ディレクターのフィル・スピアマン氏(右)サーヴェロのフィル・ホワイト氏(左)と、シニア製品ディレクターのフィル・スピアマン氏(右)


ーCW:今回のブレインバイクはいかがでしたか?

「新型Rシリーズでは日本を始め、アジア諸国のニーズに応えスモールサイズの乗り味を最適化しました」「新型Rシリーズでは日本を始め、アジア諸国のニーズに応えスモールサイズの乗り味を最適化しました」 とても良かったですね。初日はサーキットコースでのテストデイでしたが、ディーラーの皆さんが今サーヴェロが最も注力しているディスクブレーキロードを乗り比べていたことに価値を感じます。好印象を持ってくれていたことがよく分かりましたし、一緒に走って聞いてみたところ、新しいRシリーズに関しても非常にポジティブな意見を聞きました。他にも例えばスモールサイズに関してなど、現地でしか知りえない情報や要求・改善点を聞くこともできた。これこそ世界各国でブレインバイクを開催している大きな理由でもあります。

ーCW:全てを見直した、というRシリーズですが、開発時に最も重視したことは何でしょうか?

Rシリーズが常に追い求めてきたことは、重量剛性値を上げること。剛性強化はディメンションデータからの強い要望でもあったのです。R5とR3ではカーボン素材の原価を含め投入できるコストが異なっていることもあり、それぞれ独立した目標を定めることで個々の性能を高めるようアプローチしました。既にR5、R3共に必要十分な数値は達成していたため、具体的には、R5は重量を増やさずに剛性強化を、R3は剛性を変えることなく軽量化することが目標でした。

しかし剛性やコストの調整を図っているからといって、R3が一般ライダー向けという意味ではありません。最高クラスの重量剛性比をマークしているため、乗り味の好みによって実際にディメンションデータでもあえてR3を選んでいる選手は多く存在します。

ーCW:R5の850gというフレーム重量はマーケット最軽量クラスではないのですが、その部分はどう考えていますか?

プロレーサーを含めたほぼ大多数のユーザーにとって、ここまでの剛性値を誇る850gのフレームは必要にして十二分だと考えていますし、超軽量分野に関しては既に650gを誇るRcaが存在しています。

RcaやR5caを生み出した「プロジェクト・カリフォルニア」は、言うなれば自動車業界におけるフォーミュラ1ラボのようなもの。ありとあらゆる素材を試して可能性を追い、製造工程におけるプロセスの改善なども模索している研究部門であり、RcaとR5caはそうした技術の粋を集めて生まれたF1カーなのです。だから価格も跳ね上がりますし、今回発表した新Rシリーズは、それらとは別枠の、より身近な存在のもの。もちろんRシリーズに投入した技術を元にしたプロジェクト・カリフォルニアも進行中ではありますが、それらが市販品となって姿を現わすのはまだ先になるでしょう。現時点では「何かを進めている」とだけ言っておきます(笑)。

ストレート形状のリアバック。前作よりもボリュームが増しているストレート形状のリアバック。前作よりもボリュームが増している ダンシングの振りに影響するヘッドチューブ。プロからの要望を得て剛性を強化したダンシングの振りに影響するヘッドチューブ。プロからの要望を得て剛性を強化した ストレート形状のフロントフォーク。トレール量を調整することでハンドリングを高めたストレート形状のフロントフォーク。トレール量を調整することでハンドリングを高めた


Rシリーズはユーザーはもちろん、フィッター、プロショップ、そしてプロチームからの声を全て吸い上げることで生まれました。ここまでは従来サーヴェロでも行ってきたことですが、ここ数年ブレインバイクで日本をはじめとしたアジア圏を訪れ、強かったニーズを落とし込んだことが特徴です。それが48サイズと51サイズのジオメトリーやカーボン積層を最適化し、これまでスモールサイズが抱えてきた問題を克服したこと。

ジオメトリー面では48サイズと51サイズのスタンドオーバーハイトを低くすることが目標でしたが、単純に低くしただけではBB位置が下がるため、ペダルを地面にこすってしまう可能性が高くなったり、乗り味が悪くなったりします。各サイズで乗り味を均一化することが我々の目標であり、カーボン積層やジオメトリーを煮詰めることで克服したのですが、簡単な課題ではありませんでした。

二重のクランプを内蔵し、シートポストの下がりを防ぐ二重のクランプを内蔵し、シートポストの下がりを防ぐ Sシリーズとも思えるほどボリュームを増したダウンチューブSシリーズとも思えるほどボリュームを増したダウンチューブ

サーヴェロ独自のBBrightを引き続き採用。最高レベルの剛性を誇るサーヴェロ独自のBBrightを引き続き採用。最高レベルの剛性を誇る BBハイトを低くしたことでチェーンステーも縦長に。不要なねじれを抑えるBBハイトを低くしたことでチェーンステーも縦長に。不要なねじれを抑える


そしてディスクブレーキです。当初の予想よりは広がりが遅いものの、特に北米の一般ユーザーを中心に使用率は上昇の一途を辿っています。ディスクブレーキのメリットは使えば明らかですし、サーヴェロでは他社に先んじて2011年から試験を行ってきました。重量や乗り味が硬くなるというネックもRシリーズではカーボン積層を徹底的に煮詰めることで改善でき、レバーを90度ひねるだけで固定できるフォーカスのR.A.T.システムを改善したC.R.A.システムをスルーアクスルに導入するなど、多くの新機構を盛り込んでいます。

ーCW:ここ1〜2年で登場したハイエンドバイクは乗り味のチューニングを謳ったものが多いのですが、これは軽量化がほぼ限界に達しつつあるからなのでしょうか?今後この流れはより強くなっていくのでしょうか?

その意見には同意できますね。単なる軽量化は走行性能には繋がりません。それにサーヴェロとしては、現在市場に存在する超軽量バイクは安全だと言い切れません。もちろんRcaは我々が定めている安全テストを全てクリアしていますが。もちろん私たちとしてももっと軽量で剛性の高い、かつ安全なバイクを製作することは可能です。ただし市販化するにしても莫大な金額となるでしょうし、UCIが6.8kgルールを定めている以上、軽量化はある一定ラインに止め、剛性や走り心地など、その他のファクターを伸ばす方がトータル性能を上げられると判断しています。それを形にしたのが新Rシリーズなのです。

新開発のAB06カーボンハンドルとCS26カーボンステム新開発のAB06カーボンハンドルとCS26カーボンステム 新開発のCS26カーボンステム。Di2ケーブルを空力に影響しない部分から出す形だ新開発のCS26カーボンステム。Di2ケーブルを空力に影響しない部分から出す形だ


ーCW:どのような一般ユーザーにRシリーズを手にしてほしいですか?

それはもう、どんな方にでも。Rシリーズを”クラシックバイク”と呼んでいるのは、様々なシチュエーションで使うことができるからです。グランツールのような場面からロングライドにも良いですし、(エンデュランスモデルの)Cシリーズが得意とする荒れた路面にも切り込んでいける。実際にそう走れるよう開発した自信作です。様々なユーザーがこの走り心地を楽しんでくれると確信していますよ。



R5インプレッション

「軽さ、剛性、エアロのバランスがより高まったフラッグシップに相応しい性能」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)

乗っていて本当に気持ちのよいバイクで、総じてフラッグシップモデルに相応しい性能を有していると感じますね。軽量性がフォーカスされがちなRシリーズですが、今回のモデルチェンジはむやみに軽量化を図らず、Sシリーズの技術も取り入れることで剛性とエアロダイナミクスがより高まった、トータルバランスが良く考えられたバイクとして誕生していますね。

剛性はレースバイクらしく高めで、踏んだ時にハッキリ足で感じられる部分ですし、見た目からもBB周りのボリューム感には圧倒されます。Rシリーズが得意とするヒルクライムでは、BB周り含め必然的に高いパワーがフレーム全体にかかりますが、このR5の硬さであればそれを受け止めて推進力に変える剛性感が分かりやすいのではないかと思います。Rシリーズに特長的な走りの軽さも手伝って、軽快に登ってくれることでしょう。

「ぐっと全体のバランスが上がった。フラッグシップにふさわしい走り」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)「ぐっと全体のバランスが上がった。フラッグシップにふさわしい走り」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
ジオメトリーも今回刷新され、より扱いやすくより安定した乗り心地を感じられました。ダンシングした時にはクセがなくナチュラルな感覚でバイクを振っていけますし、BBドロップが下がったことで低重心になり走りに安定感が生まれましたね。それでいて、ロングライドバイクのようなドッシリ感ではなく、機敏に反応してくれるクイックさも持ち合わせています。短くなったヘッドチューブも、プロの間で増えている前乗りかつハンドルを下げる乗り方に対応させた結果なのかなと思います。

硬い乗り心地の中にも、一定の快適性は確保されていますね。最近はダイレクトマウントブレーキ仕様のレースバイクが増えましたが、このR5はノーマルマウントのためシートステーもしなりが活かせているのだと思います。ただ、シートステーは前作に比べ太くなった部分ですので、そこでも剛性のアップを狙っているのでしょう。フロントフォークも形状が変わっており、エアロ性能を追求したのかやや外側にカーブを描く形になりましたね。

R3とも比較して乗ってみましたが、R5の方が硬くつくられていると感じます。ただ、R3でも十分な剛性を持っていますので、R5はやはりプロスペックと感じるところです。硬すぎるのはちょっとなあと言う方にはR3でもマッチするでしょう。今回シートポストの形状もR5とR3で異なりますので、そのあたりも含め両者の差別化を図ってきていると感じますね。

新しいスクオーバル形状のチューブやチェーンステーに装着されたプロテクター、BB下のケーブルの取り回しなど、細部を見ていけばサーヴェロらしいこだわりが随所に施されつくりの良さを感じることができます。各種性能は文句なしなので、レースで勝つためのレベルの高い走りを感じて欲しいですね。

サーヴェロ 新型R5(ディスクブレーキモデル)サーヴェロ 新型R5(ディスクブレーキモデル) (c)www.cervelo.com
サーヴェロ R5
フォーク:Cervélo All-Carbon, Tapered R5 Fork
ヘッドセット:FSA IS2 1-1/8 x 1-1/2"
シートポスト:Cervélo Carbon SP18
カラー:ブラック/グリーン、ブラック/フルオロイエロー
サイズ:48、51、54、56
価 格:
フレームセット 580,000円(税抜)
シマノデュラエースDi2完成車 1,400,000円(税抜)
シマノデュラエース機械式完成車 1,000,000円(税抜)
スラムRED eTap完成車 1,370,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ) 鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)

スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役を務める。大手自転車ショップで修行を積んだ後、独立し現在の店舗を構える。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。「買ってもらった方に自転車を長く続けてもらう」ことをモットーに、ポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考える。

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text&photo:So.Isobe
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