6月10日と11日の2日間、全日本学生選手権個人ロードレースが行われた。男子は日本大学の武山晃輔、女子は日本体育大学の谷伊央里が優勝した。



岩手県紫波町で開催された全日本学生選手権岩手県紫波町で開催された全日本学生選手権 photo:Satoru.Katou
前週のタイムトライアルに続き、全日本学生選手権の個人ロードレースが、岩手県紫波町で開催された。この大会は昨年まで長野県木祖村で開催されていたが、がけ崩れのためコースが使用できなくなったため、今年から会場を移して行われる事になった。男子のレースは、今年のツール・ド・北海道の出場権ポイントが懸かったレースでもある。

コースは、2016年のいわて国体のロードレースで使用された周回コースを元に、一部ショートカットするなどして新たに設定された1周9.4km。道幅が狭くテクニカルなアップダウンが繰り返される前半と、直線基調でほぼ平坦な後半で構成される。スタート・ゴール地点は国体に合わせて整備された「佐比内サイクルパーク」。残り200mからのホームストレートはスプリントするには辛い登りで、ホームストレート後に道幅が急激に狭くなる事とそのアップダウンを見据えて、アタックがかかるポイントにもなる。

ゆるやかな丘陵地にはぶどう畑などの果樹園が広がるゆるやかな丘陵地にはぶどう畑などの果樹園が広がる photo:Satoru.Katou
関東より西では晴れて夏日となる所が多かったが、岩手県は雲が多く気温が低めな2日間。女子のレースが行われた10日は晴れ間も出て気温は22℃まで上がったものの、男子のレースが行われた11日は朝から曇りで冷たい風が吹き、時折雨が落ちてくる天気。スタートした朝8時半頃の気温は15℃前後と、涼しいと言うより寒さを感じる中でのレースとなった。



男子 国体ロード優勝の武山晃輔が学生選手権でも優勝

男子 スタート男子 スタート photo:Satoru.Katou
冨尾大地(鹿屋体育大学)を先頭に行く6人の逃げ集団冨尾大地(鹿屋体育大学)を先頭に行く6人の逃げ集団 photo:Satoru.Katouレース中盤 5人になった逃げ集団レース中盤 5人になった逃げ集団 photo:Satoru.Katou


男子は15周141km。スタート直後からアタックと吸収が何度か繰り返されたのち、3周目に高橋優斗(中央大学)、小嶋健太(日本大学)、樋口峻明(京都産業大学)、冨尾大地(鹿屋体育大学)の4人が先行。これに須貝翔吾(法政大学)、藤田俊輔(京都産業大学)、安田開(日本体育大学)の3人が合流して7人の逃げ集団が形成される。その後安田が遅れて6人となった逃げ集団は、メイン集団に2分以上の差をつける。

7周目、逃げ集団から高橋が遅れて5人となり、メイン集団との差は1分まで縮まる。9周目、逃げ集団から樋口と冨尾の2人が先行。1分以内の差まで詰めたメイン集団は、小嶋、須貝、藤田を吸収しながら追走し、10周目までに先行する2人を吸収する。

12周目 単独で飛び出した齊藤瞭汰(日本体育大学)12周目 単独で飛び出した齊藤瞭汰(日本体育大学) photo:Satoru.Katou14周目 武山晃輔(日本大学)らが先行する齊藤瞭汰(日本体育大学)を捕らえる。後方には集団14周目 武山晃輔(日本大学)らが先行する齊藤瞭汰(日本体育大学)を捕らえる。後方には集団 photo:Satoru.Katou

中井唯晶(京都産業大学)を振り切ってゴールした武山晃輔(日本大学)中井唯晶(京都産業大学)を振り切ってゴールした武山晃輔(日本大学) photo:Satoru.Katou
ハンドルを叩いて悔しがる中井唯晶(京都産業大学)ハンドルを叩いて悔しがる中井唯晶(京都産業大学) photo:Satoru.Katouメイン集団の先頭は岡本隼ら日本大学勢が占めるメイン集団の先頭は岡本隼ら日本大学勢が占める photo:Satoru.Katou


残り5周を切ったレースはゴールに向けてのアタック合戦が始まる。その動きの中から、12周目に齊藤瞭汰(日本体育大学)が30秒から40秒の差をつけて単独先行する。しかし最終周回の15周目を目前にメイン集団が吸収。その直後、武山晃輔(日本大学)と中井唯晶(京都産業大学)の2人が抜け出し、後続に20秒の差をつける。メイン集団は追走の意思がまとまらず、差は30秒以上に開く。勝負は先行する2人に絞られた。

残り200mの登りホームストレート、先行して姿を現したのは武山。中井に勢いが無い事を理解してか、後ろを確認せずにゴールラインを越えた。武山は昨年のいわて国体ロード(レポートはこちら)に続き、この場所で2勝目を挙げた。

「最終周回に入る直前、逃げを捕まえる動きに乗って行ったら(自分の)逃げが決まり、思わぬ形で優勝を掴む事が出来ました。」と言う武山。「今日は日大としてはツール・ド・北海道の出場権を取るために、確実に上位に3人を送り込む事を念頭にレースをしました。スプリンターを集団で温存し、自分のような小柄なメンバーが前半から積極的に動く予定でした。最終周回に中井選手と2人になった時も、吸収されてもスプリンターで勝負できるから自分はあまり前を引かずに足を温存しました。残り半周あたりで後ろが見えなかったので、自分で勝負する事を意識しました。」と、レースを振り返る。

国体に続き同じ場所で優勝した事については、「特に勝てると思ってはいませんでした。でも調子が良かったので、展開次第では勝てるかもしれないとは思っていました。」と、少し自信はあったようだ。

男子 表彰男子 表彰 photo:Satoru.Katou
一方2位の中井は、「悔しいです。単純に悔しいです。」と、率直な感想を口にする。「国体の時とコースの性格が変わって、登りが少なくて僕が勝てるコースじゃないなと感じていました。人数の多い逃げは決まりづらいけれど、小集団なら集団が止まるだろうと思い、人数が多い日大の選手と一緒に逃げれば確実に差が開くと考えていました。それで最終盤に日大の武山君と逃げられたので、このまま行けると思いました。残り1kmから自分が先頭を引き続けていたので、残り300mで行かれた時はもう追いきれませんでした。調子は良かったので、このまま優勝を目指す全日本選手権につなげて行きます。」と、最後は気持ちを切り替えた。
男子結果
1位 武山晃輔(日本大学) 3時間29分36秒
2位 中井唯晶(京都産業大学) +5秒
3位 岡本隼(日本大学) +28秒
4位 草場啓吾(日本大学) +29秒
5位 沢田桂太郎(日本大学)
6位 徳田匠(鹿屋体育大学)
7位 勝又高陽(法政大学) +29秒
8位 中村魁斗(日本体育大学) +30秒
9位 曽我部厚誠(京都産業大学)
10位 野本空(明治大学)
このレースの結果と、昨年のインカレ、前週のチームタイムトライアルの結果と併せて、今年のツール・ド・北海道出場推薦校が決まった。上位4校に出場権が与えられ、辞退などがあった場合は次点の2校に出場権が与えられる。
ツール・ド・北海道2017推薦順位
1位 日本大学 9p
2位 京都産業大学 11p
3位 鹿屋体育大学 12p
4位 中央大学 13p
5位 明治大学 19p
6位 朝日大学 20p


女子 日本体育大学4年の谷伊央里が初優勝

女子 スタート女子 スタート photo:Satoru.Katou
オープン参加の西加南子と樫木祥子を先頭に行く女子の集団オープン参加の西加南子と樫木祥子を先頭に行く女子の集団 photo:Satoru.Katou序盤に8人に絞られた女子の集団序盤に8人に絞られた女子の集団 photo:Satoru.Katou


男子の前日10日に行われた女子は、雷をともなう大雨によりスタートを30分遅らせる事に。また、距離はコースを10周する94kmの予定だったが、スタート時間繰り下げにより7周65.8kmに短縮された。

急速に天気が回復して青空の下スタートしたレースは、2周目までにオープン参加の西加南子(LUMINARIA)と樫木祥子(AVENTURA AIKHO VICTORIA RACING)を含む8人に絞られる。8人は平坦区間では2列の先頭交代をきれいに回しながら周回を重ねていく。

2列の先頭交代を回しながら進む先頭集団2列の先頭交代を回しながら進む先頭集団 photo:Satoru.Katou
レース終盤に6人になった先頭集団レース終盤に6人になった先頭集団 photo:Satoru.Katou登り区間では西加南子(LUMINARIA)や福田咲絵(慶應義塾大学)らがペースをあげる登り区間では西加南子(LUMINARIA)や福田咲絵(慶應義塾大学)らがペースをあげる photo:Satoru.Katou


6周目、登り区間で西と福田咲絵(慶應義塾大学)がペースアップを図ると、2人が遅れて6人に。最終周回の7周目に入るとさらに2人が遅れる。残ったのは、西、福田と、谷伊央里(日本体育大学)、菅原朱音(八戸学院大学)の4人。残り3kmを切ったところで、福田が単独アタック。西が谷と菅原を連れて追走して残り500mで福田を捕まえ、勝負は最後のスプリントへ。

ゴールまでの登りに先頭で現れたのは谷。その後ろに西と菅原が一列で続いてくる。残り50mを切ったところで西が並びかけるが、僅差で谷が先着して優勝した。

僅差ながら谷伊央里(日本体育大学)が先着僅差ながら谷伊央里(日本体育大学)が先着 photo:Satoru.Katou
「大学最後の年に大きな大会で勝てて本当に嬉しいです。なかなか勝てなくて、ここで勝てなかったら今まで何やってきたんだろうと追い込まれていたので、本当に良かったです。」と、喜ぶ谷。「福田選手が先行したのを西さんが追いかけていったので、ついて行きました。ちょっとずるかったかもしれないけれど、西さんが追わなければ勝てなかったかもしれないですね。」と、レースを振り返る。そして、「ここで勝てた勢いを2週間後の全日本選手権の結果に結び付けたいです。そしてインカレでも勝ちたいです。」と、次の目標への意慾を語った。

ゴールしてくる日本体育大学のメンバーが次々と谷伊央里を祝福するゴールしてくる日本体育大学のメンバーが次々と谷伊央里を祝福する photo:Satoru.Katou
女子 大学生上位3人表彰女子 大学生上位3人表彰 photo:Satoru.Katou女子オープン 表彰女子オープン 表彰 photo:Satoru.Katou


一方、僅差で2位の西は「全日本選手権に向けてより練習になると考えて、長めの距離を走れるこのレースに出場しました。」と、学生のレースに出た理由を話す。「実はオープン参加という立場にちょっと迷いがあって、最後に福田さんを追いかけたのは良かったのかな……と。あのまま追わなかったら福田さんが逃げ切っていたと思うんですが、私が追った事で流れを変えてしまったから、福田さんには悪い事をしてしまったかなと。最後のスプリントもちょっと迷いがありました。レースですから全開で走って良いとは思うんですけどね。」と、苦笑いしながら話す。

2週間後の全日本選手権については「正直どこまでついて行けるのかなという感じですが、3日前に変えたポジションを今日試したら思ったより良かったのは大きな収穫です。出来る限りの事をやって全日本に臨みたいと思っています。」と語った。
女子結果
1位 谷伊央里(日本体育大学) 1時間50分39秒
2位 西加南子(LUMINARIA) +1秒
3位 菅原朱音(八戸学院大学) +13秒
4位 福田咲絵(慶應義塾大学) +26秒
5位 古山稀絵(日本体育大学) +1分10秒
6位 樫木祥子(AVENTURA AIKHO VICTORIA RACING) +1分56秒
text&photo:Satoru.Katou
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